90年台のファッション誌を中心に、昔のファッション誌のアーカイブを兼ねてご紹介する企画、90sアーカイブ。これまでの記事はこちら。
1987年7月1日号POPEYE
さて、今回は90sアーカイブと銘打っていながら80年代の雑誌をご紹介します。1987年7月1日号のPOPEYEです。
1987年ってどんな年?
1987年、僕は7歳。なので、ファッションに目覚めるのはまだまだ先。というか記憶もあいまいなので、そもそも1987年ってどんな年だったんだっけ?と思ってウィキペディアを調べてみました。
「安田火災がゴッホの「ひまわり」を53億円で落札」「東京都の1年間の地価上昇は85.7%。銀座などで1坪1億円を突破するところも」なんて話題からは日本の経済が上り調子だったことが伺えます。
ファッションと馴染みが深いのは「西武百貨店渋谷店隣にロフト1号店が開業」あたり。
個人的には「神戸市営地下鉄西神・山手線の学園都市駅 - 西神中央駅間が開業し全通」というニュースに強く時代を感じました。
アサヒスーパードライが発売されたのも1987年。実家はずっとこれでした。
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1987年のヒット曲は名曲揃い
当時のカルチャーはどんな感じだったんでしょうか。僕の記憶に強く残っている1987年のヒット曲をピックアップしてみました。飛鳥涼が手掛けていた光GENJIの2曲はやっぱり名曲ですねぇ。
光GENJI「STAR LIGHT」
「ガラスの十代」
TM NETWORK「Self Control」
THE BLUE HEARTS「リンダリンダ」
徳永英明「輝きながら…」
アニメも名曲揃い
1987年に放送されていたアニメはこんな感じ。NHKのアニメ三銃士は、オープニング曲の夢冒険が最高過ぎます。
シティハンターのエンディング、TM NETWORKのGet Wildはもちろん不朽の名曲。
ビックリマンも見てましたねぇ。
人気ゲームシリーズが始まった1987年
ファミコンもやってました。ロックマンシリーズやファイナルファンタジーシリーズが始まったのも1987年。
ドラクエは2が発売されました。
1987年はバブル景気真っ只中
ウィキペディアによると、バブル景気のスタートは1986年12月から。つまり、この号が出た頃の日本はバブル景気真っ只中。以下の記述のように、世相はかなり浮かれていたようです。
1987年に入ると現象は経済全体に波及し、土地に対する需要が高い限り決してこの景気は終わらないという楽観論が蔓延した。特に株式は1987年10月に起こった米国ブラックマンデーによる世界同時株安の影響を世界で最初に脱出し、高値を更新したことから日本株に対する信任が生じた。その後、投機が投機を呼ぶ連鎖反応が起こり、「岩戸景気」「神武景気」に続く景気の呼び名を公募する記事が、雑誌を賑していた。
表紙はヨウジヤマモト
そんな好景気もあってでしょう。特集は「夏休み幸せ(ウッシッシ)読本」
ウッシッシはおそらく、当時の人気司会者だった大橋巨泉さんからでしょう。
目次下に表紙のクレジットが。
こちらのコーディネートは全てヨウジヤマモト。今のヨウジは硬派な印象が強いので、こうやった花束を持って微笑んでいるっていうビジュアルは新鮮ですね。
4店舗目のハードロックカフェがダラスにオープンしたそうです。
アルバの時計の広告。
この赤の、格好良いですね。
富士フィルムのVHSテープ広告。時代です。
ジェットスキーの広告なんて初めて見ました。バブリー!
100万円くらいするんですね。
左ページはファッション小ネタ。今だとかなり値上がりしてそうなユーロアディダス。
キャプテンサンタが人気だったんですね。
「60年代ポップスは不果たして復活するか!」
サントリーの缶ビール、これどなたでしょ。サングラスしててもわかるくらいの当時の人気アイドルでしょうか。
キース・ヘリング来日。
ニコンのカメラ。
オートフォーカス。
マンダムの広告は松田優作。
パトリックのプラティニモデル。
バブリーなリゾート特集
モダンなデザインのニッカウイスキー広告。
血液型占いはお金がメイン。これもやっぱりバブル期ってことなんでしょうか。
これは確実にバブルですね笑。リゾート特集。
アイドルキスマーク。こういう企画、令和のアイドル雑誌とかでもあるんでしょうか?
村上里佳子さん。
森口博子さん。
森口博子のETERNAL WINDはガンダムシリーズ中最高の名曲だと思っています。
こういうページからも、なんかお気楽な時代の空気が感じられるような。
西海岸スケーターを打ち出すビームス
さて、ファッション。ビームスです。「ビジョンのパンツにヴァンズの靴この夏の定番です」だそうで。西海岸スケーターな雰囲気ですね。
イタリアのゼニア。
スウォッチとタイメックス。
テクニクスってコンポも出してたんですね。
当時の僕は自動車が大好きで、新聞紙の折込の自動車の広告を熟読していました。当時の自動車のデザインは今も大好きですし、自動車に関わらず僕のデザイン的な好みのベースはこの時代に形作られた気がします。
ムーンスター広告。
ベンチャースニーカー。クラリーノということは合皮ですね。この頃は合皮がウリになってたんでしょうか?
アイドル的人気時代のダウンタウン
「僕の幸せ私の幸せ」という特集。いとうせいこうさんの肩書が「キング・オブ・クリエーター」
ダウンタウン!
若い!
関西でアイドル的人気だった頃ですね。
「あきまへんねん」とか「やさかいなあ」って笑
ホンダ広告。
パイオニアCDSプレイヤー広告。
レーザーディスク。
古臭さを感じないファッションページ
ファッションアイテムプレゼントページ。全体的にあまり古臭さを感じません。
右端のエスピエーグルというブランド、調べてみるとヒロミチナカノの中野裕之さんが手掛けていたVIVAYOUのメンズラインだそうです。ジャケットのカタチがかなり特徴的ですね。パンツはスウェットでしょうか?ぽってりとした革靴も面白いですね。
真ん中は後にマルイ系の代表格となるジュンメン。
右ページ右はメンズフランドル。後にイネドなどを展開するフランドルのメンズブランドでしょう。
右ページ左のシューシャインボーイというブランド、僕シャツ持っているんですよ。15年位前に実家近くのリサイクルショップで購入して今でも着ているんですが、80年代のブランドとは知りませんでした。
左ページ左は僕も一時期お世話になったメンズビギ。ナンバリングのポロシャツの下にクルーネックでスラックスにタックインという、かなり個性的なスタイリング。
タイムレスな魅力のアニエスベー
左ページ左のブルーのセットアップはアニエスベー。このスタイリング、2021年のキャンペーンフォトと言われても気付かなさそうな、タイムレスな良さがあります。
リゾート感たっぷりのジンの広告とプレゼントページ。
家電。テレビにラジオが付いていたんですね。ケンウッドのスピーカーのデザインが格好良いです。
留守番電話も当時はまだ新しい機能だったんですよね。
スポーツアイテム。
アシックスのミルフォードαというモデル。多分当時小学2年生の僕が穿いていたのも、こんな感じのスニーカーだったんでしょう。
このアシックスのサルティスというモデル、ウォーキングシューズのようですがなかなかのナイスデザイン。復刻しませんかね。
アディダスのバッシュ、トップテンとサッカーシューズ。こちらにもクラリーノの文字が。当時のトレンド素材だったぽいですね。
そしてナイキ。ザ・マックという初見モデル。「ジョン・マッケンローのアドバイスによって発売されたシューズ」とありますが、今でいうシグネチャーモデルということでしょうか。
グルーミング系、そして当時のプレゼントの定番だったテレホンカード。
全国バーゲン情報
モノクロページはバーゲン情報。
アバハウスやチューブ、ミルクボーイ、ヒステリックグラマーなど。
先述のシューシャインボーイ。マルイや百貨店に店舗があったようです。
原宿にビブレがあったんですね。
ビームスFのセール。
コールハーン、定価が28,000円とかなりお安いですね。
知らないショップもたくさんありますね。
デザイナーズを主に扱うインターナショナルギャラリービームス。ピエロ・バンケッティとニック・コールマン、両方知らないんですが、当時の人気ブランドだったんでしょうか。
デプト、アストアロボット、ボイス、ハリランなど。
ファッションビル、マルセルのセール広告。
「人気のD/Cブランド」。
ロート製薬の目薬、ジーの広告。「目がシベリアだ。」というキャッチコピーもデザインも、かなり個性的。
日立広告。
1987年の理想のライフスタイル
「男の幸せ追求読本」。シャープ提供による家電を軸としたライフスタイル&インテリア提案ページ、って感じでしょうか。多分、当時の理想のライフスタイルがこんな感じだったのでは。
「ロフト少年」。部屋の写真にイラストの人物、そして右下にはライフスタイルを想起させる短編小説的なのが。
「音はラジカセで、という考え方が新しいと思う。そんな考え方をする僕はやっぱり新しい。」…なんか凄い文章ですが、これってマジなんでしょうか?それとも、ちょっと風刺が入っていたりするのでしょうか。今の僕には当時の空気感がわからないので判別できません…。
「流行少年」。ロードバイクとかサイクリングジャージとか流行っていたんですね。テレビの下にあるの、ファミコンとディスクシステムが一体になった、ツインファミコンでしょうね。友達の中でも持っているの1人くらいのレアな存在でしたね。
「アート少年」。スケボーの上にはダンクらしきナイキのスニーカーが。
「メカ少年」。
「16ビットの理想形を追求したこのワークステーション」、本体とディスプレイ合わせて50万円近く。
泉麻人さんのコラム。
トーストマニュアル。今のポパイの誌面にも通ずる雰囲気。
S-VHSデジタル編集ビデオ、27万円也。
最後は分類集計機能つき電卓のPR。
ソニー広告。
先程も出ていたアシックスのミルフォードα。非常に良い配色。
カラーバリエーションもいい感じ。
カセットテープ広告。玉置浩二。
コラムページ。
カルチャーページ。
シンプリー・レッド。
メカ系。やっぱり当時の自動車のデザインは大好きです。
書評ページ。
次号は韓国特集。
マクセルのカセットテープ広告。
「カ・キ〜ンと抜ける高音が、ボリウム感あふれる中低音が、耳に飛びこんでくる。このセパレーションのこきみよさに鋭く反応してほしい。1日25時間、ずっとずっときいていたくなる。」というかなり個性的なキャッチコピー。
Be-inという味の素のジュースの広告。リゾート感。
日産の求人広告4ページ
なんのページかとよく読んでみたら、どうやら日産自動車の求人広告ページのようです。
ファッション誌に4ページの広告を出すほどのコストをかけないと人が集まらないほどの景気だったんでしょうね。
めざせプールキング!
ビリヤードが流行っていたんでしょうね。
「理知的でかつ野性味のあるハスラーっぽい男のコは、そのシブさで女のコの人気度も高いのだ」だそうで。
ところで、2/3スケールのビリヤード台って練習になるんでしょうか?
カシオのサンプルキーボード!これ普通に欲しいですね笑。デザインもいい感じ。
左ページは日立の広告ページ。
このセンス、当時でどんな感じだったんでしょう…左下の「いっそのことTOKYOラッパーになっちゃえ」の服はミルクボーイ。
パナソニックのカセットプレイヤー広告。F1も人気でしたね。僕も下敷きとか持ってました。
バーゲン情報関西版。
神戸。
トアウエストのプレジャードーム、ありましたねぇ。今はもうないんでしたっけ。
大阪のモード系セレクトショップの代表格、スペース。以前は古着屋さんだったんですね。
京都のロフトマン。
ビームスではチャーチやジャンフランコ・フェレ。
アイワの広告。フォントが格好良い。
「やっぱりディスコ、ディスコ、ディスコ。」
モノクロページは素人女子大生グループからのお誘い?ページ。時代を感じるセリフの数々。
「家まではちゃんと送って行ってほしい」
「ファストフードだけは絶対駄目」
「海に行きたい。もちろん車でね。」
「もうお洒落なところは飽きちゃって駄目。」
「ビリヤード教えて!」
「絶対に車を持っていて、ゴルフに連れていってくれる人。」
「やっぱりディスコ、ディスコ、ディスコ。」
…と、こう仰っていた方々は今は50代半ばなんですね。
スズキアルト。格好良い。
男にとっての服は、すべて何かをするための作業着
山本耀司!若い!
このインタビュー、結構貴重では。
「うちの母は、いわゆる戦争未亡人というやつで、女手ひとつで、洋裁店を経営しながら僕を育ててくれました。」
「母の仕事が、現在の僕に直接影響したとは考えていません。時代的にも、男が着るものに気をつかうなんてのは下の下、という頃でしたから、洋服の仕事に憧れたということは全くありませんでした。」
「僕は、男っていうのは何かをするものだと思っているので、男にとっての服は、すべて何かをするための作業着だと考えています。だから、こういうのを着てこうすりゃ人に誉められるとか、女のコにモテるとか、そういうことに関心はないですね。」
↑この一節、素晴らしいですね。
何のページか一瞬わからなかったのですが、どうやら東芝の技術PRぽいです。
斬新恋愛お散歩講座。講師・田中康夫。バブルで贅沢なデートが一般的だから逆に散歩、って感じでしょうか。
ホテルのプール完璧使いこなし術。多分こういうのが一般的なデートだったのではないかと。
新鮮なデザインの広告の数々
巻末が近づき広告が多くなってきますが、どれもデザインが新鮮に見えます。
高橋幸宏が手掛けたヨウジヤマモトのコレクションの音楽のレコード。
エドウィンのユーズド・ウォッシュ。
スウォッチ広告。
わたせせいぞう無双期
わたせせいぞうによる、日本たばこ(現JT)広告。
時計のオリエント広告。
ボーナスが当たり前に貰える時代だったんですねぇ。
1986オメガトライブのDJスペシャル。
YouTubeにありました。便利な時代です。
トレーニングマシーンの広告、「円高差益徹底還元!」という時代を反映したキャッチコピー。
確かに重低音がズンズン響きそうなデザインのラジカセ。
角松敏生のニューアルバム広告。
こちらもYouTubeにありました。
最近のシティポップブームの流れで角松敏生も再評価されていますね。こちらは人気の韓国人DJによるミックスです。
オロナミンCのイラスト、雰囲気が独特…。
裏表紙はNEC広告。こちらもわたせせいぞう。相当な人気だったんですねぇ。
ネタ大量に仕入れました!
今回のポパイは先日神保町でディグったのですが、他にも沢山の雑誌を仕入れています。順次アーカイブしていきますので、お楽しみに!
マグニフ、無限にいられる…良いネタたくさんディグれました。 pic.twitter.com/ae4WyZexgm
— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」発売中! (@yamada0221) 2021年2月18日
今日の戦利品!
— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」発売中! (@yamada0221) February 18, 2021
80sから10sまで、とても幅広いラインナップになりました。読むのが楽しみです。
少しずつではありますがブログにもアーカイブしていきますね。 pic.twitter.com/o4u0heVhH6