目次:
- その頃のリアルなファッションがわかるスナップ特集
- late90sのリアルなモードファッションがわかる
- 1999年好きなブランド1位はビューティービースト
- ワンランク上のおしゃれを目指すために古着をミックス
- 細身カーゴパンツが新鮮だった時代
- 人気のシューズはコンフォート系とベルクロスニーカー
- “作りすぎ、やりすぎの人が多い”スナップ
- 人気のスニーカーブランド、セボとルーディックライター
- 1999年のリアルなファッションの特徴
- みんなが待ちに待ったヘップファイブが大阪にオープン!
- 大阪ではパンクが大流行!
- ヴィヴィアンの支持率43%の名古屋
- デザイナーズ系セレクトショップ最盛期
- モード系インディーズブランド林立期
- 1999年のモード系ティーンズのライフスタイル
- 中田商店のメールオーダーが激安!
その頃のリアルなファッションがわかるスナップ特集
今回ご紹介するのは『FINE BOYS』1999年2月号です。
2024年現在、メンズファッション誌の数はかなり少なくなりましたが、『FINE BOYS』は未だ健在。
FINEBOYS(ファインボーイズ) 2023年 06 月号(Amazon)
近年はティーンズ向けの内容になっていますが、ティーンズ向けのメンズファッション誌が数多く刊行されていた90年代は、それぞれの雑誌のファッションテイストが明確に異なっていました。
例えば、『Boon』は古着やスニーカーなどに強いストリート寄りの内容。
『MEN'S NON-NO』はデザイナーズブランドを中心としたモード寄り。
そして、『FINE BOYS』は『MEN'S NON-NO』と同じモード寄りながら、主にティーンズがターゲットでした。(あくまで僕の予想ですが)
モード色が強くなると、「街でこんな服装の人おらんやろ」的な、ファッションとして現実味がない打ち出しが多くなる場合がありますが、『FINE BOYS』は低価格ブランドの掲載も多いこともがあり、当時のリアルなファッションが比較的わかりやすいと思います。
しかも、この号は、“ボクらの街の流行事情”と銘打った、通常の誌面よりも格段に当時のファッションがよくわかるスナップ特集です。
late90sのリアルなモードファッションがわかる
ちなみに、1980年生まれの僕は当時大学2年生。
高校生の時にエアマックスと古着でファッションに目覚めた僕でしたが、1999年当時はデザイナーズブランドにどっぷりハマっていました。購入するのはほぼコムデギャルソンでしたが、デザイナーズブランドを扱うセレクトショップは色々訪れていたのでこの『FINE BOYS』を読むと、「ああ、こういう服装の人いたなぁ」と感じることしきり。当時を経験した人には懐かしく、この頃を知らない若者にはlate90sのリアルなモードファッションがわかる貴重な資料になると思います。
1999年好きなブランド1位はビューティービースト
さて、誌面のご紹介に入りましょう。
まずはスナップ参加者からのデータをベースにした“’99おしゃれの傾向と対策”。
好きなブランドランキング、堂々の1位はなんとビューティービーストです。
レッド×ブルーのポップなカラーのバッファローチェックやデジタル迷彩柄は、ビューティービーストを象徴とするモチーフ。
ビューティービーストや5位の20471120については、こちらの過去記事で詳しくご紹介しています。
そして、2位に入っているのはなんと80年代はDCブランド、00年代はマルイ系となる老舗ブランドのアバハウス。
誌面で“アバハウスの適度なトレンド”とあるように、流行りのデザインをちょっとモードっぽくして展開していた記憶があります。
late90s、おそらく99年頃のアバハウス。
— 山田耕史 ファッションアーカイブ研究 (@yamada0221) 2024年4月24日
ナンバー44が牽引したユーロミリタリーの影響がこれでもかというくらい感じられるデザイン笑#楽天古着ディグhttps://t.co/3cKohfGeHD pic.twitter.com/odteEo1sL3
3位以下は、ヴィヴィアン・ウエストウッド、ミルクボーイ、20471120と、アヴァンギャルドな作風のブランドがずらり。
解説文では、人気ブランドのトータルコーディネートをしている参加者が多く、自由度が失われていると指摘されています。
ビューティービーストが“モードとストリートの境界を超える”と紹介されていますが、確かにモードとストリートの両方の要素を併せ持っていたのが、ビューティービーストの良さだったと思います。
ワンランク上のおしゃれを目指すために古着をミックス
ファッションスタイルの人気ランキング。
当然、スナップ参加者の多くが『FINE BOYS』読者でしょうから、モードが1位なのは当然でしょう。が、2位にパンクが入っているのがかなり印象的です。
3位が古着系。
4位の原宿系は後の裏原系。
前ページで指摘されている同ブランドトータルコーディネートから“抜け出して、もうワンランク上のおしゃれを目指す”ために提案されているのが、古着とモードのミックス。
マルイ系ブランド、イネドオムに古着を合わせています。
人気トップス。
ダッフルコートとタートルネックセーターが1位。
そういえば、比翼仕立てのウールコート、当時着てました。
そうそう、こんな感じの。メンズビギが展開していたブランド、ラッドメスの神戸ビブレのお店で買いました。
細身カーゴパンツが新鮮だった時代
ボトムス。
スリムパンツの次に人気なのはレザーパンツ、そしてその次はチェックパンツと、かなりアクの強いパンツが人気だったようです。
レザーパンツは当時“定番化”していたよう。
“シルエットや素材が新しいカーゴパンツ”。そうそう、この頃はまだウール素材だったり、細身のシルエットのカーゴパンツが新鮮なアイテムだったんです。
“七分丈より八分丈!”とのこと。
このシルエット、丈のパンツにブーツという組み合わせは、今見るとかなり新鮮です。
カラー。
こちらの記事でも触れていますが、グレーは当時人気だったミニマルのベースカラーとして人気でした。
“オリーブグリーンの台頭”には上掲ツイートにもある通り、人気セレクトショップ、ナンバー44の影響が強かったと思われます。
こういうレッドを差し色にするのはまさにナンバー44的。
“カミングスーン”としてピックアップされているのが白。これはプラダスポーツの影響が強かったと思われます。
MR99年3月号。プラダスポーツ。素敵。 pic.twitter.com/Ic8VbEKCJK
— 山田耕史 ファッションアーカイブ研究 (@yamada0221) 2018年4月5日
人気のシューズはコンフォート系とベルクロスニーカー
シューズ。
欲しいシューズ1位はデザインシューズ。
その中でも当時人気だったのが、“コンフォートシューズ系”で、その筆頭がビルケンシュトック。
ランキング4位のベルクロスニーカー。
当時、僕も履いていました。
僕の作業靴の思い出。
— 山田耕史 ファッションアーカイブ研究 (@yamada0221) 2024年4月18日
ルーディックライターやセボなどのミニマルなレザースニーカーが流行ってた1999年頃、三宮センター街の靴屋さんで見つけたアディダスセーフティのオレゴンという作業靴を履いていました。
この画像は今探したんですが、改めて見ても良いデザインですね。 pic.twitter.com/j2eJnBZwEd
当時はまだシューズしか展開していなかったミハラヤスヒロ。
コンバースオールスタータイプのビューティービースト。
アクセサリー。
アクセサリーでもバッグでも、ビューティービーストがランク入り。
カバンドズッカの腕時計は本当に人気でした。
“作りすぎ、やりすぎの人が多い”スナップ
“全国スナップ対象グランプリ”。
大賞賞品はバング&オルフセンのプレイヤー。
各地区の大賞受賞者。評価が高い人はアクが強いアイテムを使いながらも、全体的にはシンプルな雰囲気であることが共通しているように思えます。
審査員。当時の人気クリエイター、亀石三兄弟の長男剣一郎さんのお名前も。
各地区大賞続きと特別賞。
『FINE BOYS』編集長による総評。このスナップは街角で声をかけられた人ではなく、事前に告知された会場に撮影されることを目的に集まった人たちなので、ある程度は仕方ないのでしょうが、それでも“作りすぎ、やりすぎの人が多い”傾向があったようです。
人気のスニーカーブランド、セボとルーディックライター
スナップが開催された各都市の情報。まずは東京。
荒川眞一郎とセレクトショップのヴィアバスストップのコラボブランド、0センチメートルキューブは当時僕もパンツを持っていました。確かアウトレットで買ったような。“スロバキアの老舗メーカーセボ”も当時人気でした。
調べてみると、まだブランドは存続しており、商品も買えますが、1999年当時人気だったミニマルなデザインのスニーカーはもう展開していないようです。
青山の“ギャルソンストリートが最近騒がしい”。ギャルソンストリートとは、コムデギャルソン青山店がある、表参道から延びる通りのこと。
掲載されているショップの多くは、今はもうこの場所にはありません。
ナンバー44の店長、田村貴之さんは当時ファッション誌に引っ張りだこでした。
現在はT-PLANNINGというPR会社を運営されています。
ビューティービースト情報が続々。こちらのレザーアーマーはオーダーメイド。
東京続き。
コージクガとか、マサキマツシマとか、90s東京モードブランドの数々。
このマサキマツシマのデニム、格好良いですねぇ。着たい。
上掲のセボと同じく、ミニマルスニーカーブームの牽引役だったのがこのルーディックライター。
現在もブランドは存続しています。
1990年代と変わらないスタイルのスニーカーも販売されています。
が、359ユーロ…現在のレートで約6万円です。1999年当時と比べると、2.5倍くらいの価格。
1999年のリアルなファッションの特徴
東京のスナップ参加者。こうやって見ると、やはりシルエットが非常にタイト。
俯瞰で見ると、ダークカラーやブルー系をベースにレッドなどの暖色系をポイントにしているのがよくわかります。
東京のショップ情報。
ナンバー44。後に大阪の堀江にも店舗ができたんですが、その頃にはもう…な感じでした。
メインドインザワールドやリフトなどは、当時神戸在住だった僕にとっては雑誌の中の憧れのお店でした。
カネボウの整髪料、ヌーディ広告。
みんなが待ちに待ったヘップファイブが大阪にオープン!
大阪情報。
“みんなが待ちに待ったヘップファイブついにオープン!”。なんか笑ってしまいますが。確かに当時、新しいランドマークとして人気の場所でした。僕も大学生の時、この観覧車に乗ったことがありました笑。
“今までくすぶっていた原宿ブランドがとうとう大阪を侵食し始めた!”。裏原系ブームのときの東京の雰囲気は知りませんが、確かに大阪や神戸では裏原系は大流行!という訳ではなかったという肌感があります。
大阪はビューティービーストの地元なので、ショップも多数展開されていました。“店内にあるUFOキャッチャー。1回300円、2回500円。これでしか手に入らないコスパラインTシャツがあるぞ”とのこと。
大阪続き。
南船場が新しいファッションスポットとして認知されつつある、とのこと。堀江はもうちょい後でしたっけね。
大阪のスナップ参加者。
大阪ではパンクが大流行!
大阪ショップ情報。
スペースやレクレルールなどのデザイナーズブランドを扱うセレクトショップは当時僕もちょくちょく覗いていました。
大阪ショップ情報続き。
ブランド古着屋のコンフォートはコムデギャルソンも多く取り扱っていたので、よく通っていました。
“大阪よまやまデータ”。大阪で流行っているファッションスタイルはパンクが30%で1位になっています。が、それほどパンクって流行っていた記憶はないんですが…ヴィヴィアン・ウエストウッドやミルクボーイなんかもパンクに入れての1位なんじゃないかなと思います。
ヴィヴィアンの支持率43%の名古屋
続いて、名古屋。