少し前ですが、横浜仲町台の洋品店Eauphonicaさんの質問箱で興味深いやりとりがありました。
発端となったのは、日本でのファッションブランドビジネスを語る上で切っては切れない存在である、大手総合商社のライセンスについてです。
おっと…なかなか当たり障りのあるご質問ですね…
— Euphonica 横浜仲町台の洋品店 (@Euphonica_045) 2021年2月15日
大きな商社さんのブランドビジネスは、当然ではありますがその「もの」ではなく「ブランド」でどう大きな収益を生むかという発想に特化しています。
そのため…
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日本のコンバースはパチもん?
ファッションブランドと商社のライセンスに関して最も知られているのが、↑の質問でも触れられている伊藤忠商事のコンバースについての事例でしょう。質問への回答でも詳しく解説されていますが、ウィキペディアのコンバースの項目にも記載されているので、要点をピックアップします。
日本国内で、「コンバース」ブランドのシューズを伊藤忠以外の者が独自に輸入または販売した場合、伊藤忠が日本国内において独占的に所有する「コンバース」ブランドの商標権を侵害するため、違法となる。
2011年8月に東京税関において、日コンバースからの米CONVERSEシューズに関する輸入差止申立てが受理され、それ以後は販売目的ではない個人輸入に関しても、全て税関で没収されることになった。個人が海外で直接買ったものを国内に持ち込む場合も、税関で没収される恐れがある。
もちろん、コンバースはアメリカ発祥のブランド。アメリカのコンバースがいわば本家本元の筈ですが、日本ではアメリカのコンバースはコンバースと認められない、という不思議な事態になっているのです。
なので、並行輸入をはじめとした米コンバース企画の商品は日本では販売することはできない…はずなのですが、Amazonでも楽天市場でも米コンバースの商品が普通に売っていました笑。「本物のオールスター」という呼び声高い、人気のCT70というモデルです。
[コンバース] チャックテイラー’70復刻三ツ星 ローカット 162058C
¥15,800(記事執筆時の価格です)
コンバース CONVERSE スニーカー オールスター チャックテイラー CT70
¥17,800(記事執筆時の価格です)
この楽天市場のページでも紹介されているように、日本企画のオールスターとは仕様が大きく違っており、特に1年位前にはインスタグラムなどで人気が高まっていました。
ファッション好きの中からは、日本企画のコンバースはコンバースとして認めない、という意見はよく聞こえますし、日本の総合商社が海外のブランドのライセンスを取得して日本で展開することに反感を持つ人も少なくありません。
世界中で日本人だけがパチもんのコンバース買わされてるんだぞ
— 齋藤 (@saito_d) 2020年6月5日
確かに、伊藤忠のコンバースの件の詳細などを知ればそう思う気持ちも理解はできます。コムデギャルソン好きの僕に当てはめてみると、日本では川久保玲の精神が全く反映されていないライセンス商品しか買えない、みたいなイメージでしょうか。だとしたら、「そんなコムデギャルソンなんてパチもん!」と感じるかもしれません。
ですが、僕はアメリカ企画のコンバースに対してそれほど思い入れがある訳ではないので、「アメリカ企画の方がなんかテンション上がるけど、別に日本企画でも構わない」くらいのスタンスでした。
ガンホーもコンバースと同じ運命に?
今回の質問箱では、ガンホーも伊藤忠がライセンスを取得したことに触れられています。
そのようですね。
— Euphonica 横浜仲町台の洋品店 (@Euphonica_045) 2021年2月16日
これからロゴ入りの帽子やらバッグやらが出て、知名度も上がりそうです。 #Peing #質問箱 https://t.co/sq1jR4DgfZ
ガンホーは、アメリカのテキサス州で1972年に創業したブランド。ワークパンツなどのワークアイテムが人気で、日本でも数多くのアメカジショップやセレクトショップでも取り扱われています。
現在、楽天市場やAmazonなどでは普通に並行輸入商品が購入可能ですが、こちらもそのうち買えなくなるかもしれません。
ガンホー GUNG HO ベイカーパンツ キャンプファティーグトラウザー (アメリカ製 米国製 CAMP FATIGUE TROUSER コットンダック)
¥9,990(記事執筆時の価格です)
GUNG HO/カーゴパンツ MADE IN U.S.A. #401B RIPSTOP 6POCKET (BLACK)
¥6,380(記事執筆時の価格です)
人気のチャンピオンの並行輸入も買えなくなる?
同じ方からと思われる投稿では、アウトドアプロダクツやチャンピオンの並行輸入に対しても規制が強化されるということにも触れられています。
若い層はインポートに対する「こうでなければならない」といった思いも薄いでしょうし、マスマーケットのビジネスではメリットのある方針だとは思いますけど、あまりにそうした規制を強めると最終的には自らの首を締…
— Euphonica 横浜仲町台の洋品店 (@Euphonica_045) 2021年2月17日
続きは質問箱へ #Peing #質問箱 https://t.co/sImUdwaW23
現在大人気のチャンピオンもガンホー同様現在ではAmazonや楽天市場などで数多くの並行輸入商品が購入可能です。
並行輸入のメリットで真っ先に挙げられるのが、日本でも展開されているのと同じ、あるいは似た商品が比較的安価で購入できること。また、同じ商品でも海外企画は大きいサイズを中心にサイズ展開が豊富だというメリットもあります。
【チャンピオン】CHAMPION POWERBLEND CREWNECK SWEAT パワーブレンド フリース クルーネックスウェット S0888 [並行輸入品]
¥4,069(記事執筆時の価格です)
【チャンピオン】CHAMPION POWERBLEND FLEECEPANTS パワーブレンド フリース スウェットパンツ P0894 [並行輸入品]
¥4,680(記事執筆時の価格です)
Champion reverse weave チャンピオン正規品 リバースウィーブ ジップアップパーカー フーディFULL ZIP HOODIE GF69並行輸入インポートブランド海外買い付け
¥6,990(記事執筆時の価格です)
また、日本企画ではなかなかお目にかかれない、個性的なデザインや仕様の商品が楽しめるのも、海外企画商品のメリットです。例えばこのチャンピオンのホッケーシャツやスニーカー、そしてアウトドアプロダクツのデイパックはアメリカ企画だそうですが、どれも個性的。特にアウトドアプロダクツのデイパックは普通に欲しいと思えました。
Champion USA チャンピオン ホッケーシャツ ゲームシャツ
¥7,150(記事執筆時の価格です)
[チャンピオン] スニーカー USAモデル RALLY LOCKDOWN CP100241M グレー [並行輸入品]
¥14,300(記事執筆時の価格です)
[アウトドアプロダクツ] バックパック レザーボトム グレー OUTDOOR PRODUCTS 005[並行輸入品]
¥6,380(記事執筆時の価格です)
|画像タップでAmazon商品ページへ|
僕の愛用するグラミチが買えなくなる!?
とはいえ。チャンピオンもアウトドアプロダクツも僕の大のお気に入りブランドという訳ではないので、ここまでの質問箱の内容を見ても「ふ〜ん」くらいにしか思っていませんでした。
ですが。この内容を見て大慌てしました。
グラミチはもはやこの国では何のブランドだかわからなくなってますし、ユーザーのほとんどはクライミングパンツ云々にも興味ないでしょうから、これも国内のブランディングには有用かも知れませんね。 #Peing #質問箱 https://t.co/Qiywp1s5aE
— Euphonica 横浜仲町台の洋品店 (@Euphonica_045) 2021年2月17日
!!!
— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」発売中! (@yamada0221) 2021年2月17日
米Amazonのグラミチが日本に発送できなくなっているそうです!夏場の短パンに米国企画のグラミチを愛用しているので、これは非常に痛い… https://t.co/e4k9bIbbnV
僕が夏場、ほぼ毎日着用しているのは米Amazonで購入したアメリカ企画のグラミチのナイロンショーツです。現在、ブラックとオリーブの2着を所有して日替わりで穿いている状態ですが、手持ちの2着が穿けなくなってしまった場合、代替が手に入らない可能性が高くなってしまったのです。
これまでは対岸の火事的な総合商社のライセンス問題でしたが、ここに来て僕にも火の粉が飛んでくるようになりました。もちろん、正式発表があった訳ではないので、あくまでも噂レベルなんですが。
グラミチ、日本企画でも良い商品を出してくれるんならいいんですけど、最近の動向を見ているとどうもあまり期待が持てそうにないんですよね…。
グラミチさん…以前は本当に大好きでした…
— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」発売中! (@yamada0221) 2021年1月31日
GRAMICCI PERFORMANCEの2021年春夏コレクションが公開 https://t.co/3jrWTqQUbm pic.twitter.com/y2ltDadTzf
リーとグラミチコラボのテーラードジャケットって笑 pic.twitter.com/1ktNjiRZoh
— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」発売中! (@yamada0221) 2019年6月14日
いつまでも 買えると思うな 海外企画
以前、レッドキャップのワークシャツをアメリカのAmazonから購入したことをご紹介しました。非常にお買い得価格で入手できたのですが、この方法もいつまで使えるのかわからない、とある程度は覚悟しておいたほうが良さそうです。
ということで、今回得た教訓としては
いつまでも 買えると思うな 海外企画
てな感じでしょうか。
とはいえ、自分の気分なんかいつ変わるかわかりませんし、もっと良い商品が見つかる可能性も十分あるから、買い溜めはちょっと躊躇われるんですよね。下着なんかの消耗品は別として。ここらへんの悩みは尽きることはなかなかなさそうです。
この記事があなたのお役に立てれば幸いです!