山田耕史のファッションブログ

ファッションは生活であり、文化である。

コムデギャルソンが時代を超越する理由。

こんにちは。兼業主夫/ファッションアナリスト/ワークマン公認アンバサダーの山田耕史(@yamada0221)です。

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先日公開した記事の一節。

以前、ユナイテッドアローズの栗野宏文さんは以前、コムデギャルソンのメンズは紳士服の基本的なポイントは絶対に外さないという、トラッドマインドは決して外していないと指摘していました。

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この内容を以前ブログでご紹介したつもりになっていましたが、調べてみるとまだでした。

今回改めてメンズファッションを考える上で非常に重要な考えだと思ったので、ご紹介します。

ユナイテッドアローズの創設メンバーのひとり、栗野宏文さん

 
 
 
 
 
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ファッションについての考え方には僕も非常に共感することが多く、当ブログでこれまで何度も栗野宏文さんについてご紹介しています。

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「トラッド」ではなく、「トラッドマインド」

今回ご紹介するのは、POPEYE2021年4月号の特集「それ、どこの服? 知ってるつもりで、よくわかっていなかったブランドのこと。」での栗野宏文さんのインタビューです。

記事のタイトルは「栗野さんはトラッドマインドのあるブランドが好き。」

「トラッド」ではなく、「トラッドマインド」。トラッドマインドを栗野さんはこう定義しています。(強調引用者以下同)

トラッドマインドとは、いわゆるトラッドな服だけを指しているのではありません。”背広”の語源と言われるサヴィルロウから発展したスーツはもちろん、ミリタリー、ワーク、スクールといったユニフォーム由来のものから、エスニックやマリンなど、さまざまなスタイルや要素が含まれます。いずれも歴史があって、これからもずっと残っていくもの。アフリカの人たちが着ている民族衣装にも、トラッドマインドを感じますが、それは古くから継承されているものだからです。対照的に、一過性のものにはトラッドマインドが感じられません

「トラッドマインド」を感じるブランドとして、栗野さんはフランスのイヴ・サンローラン、イタリアのジョルジオ・アルマーニ、アメリカのラルフ・ローレンなどを挙げます。

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コムデギャルソンが持つトラッドマインド

そんな海外ブランドに続いて挙げられているのが、アヴァンギャルドなブランドの代表格とも言えるコムデギャルソンです。

日本でいうと、意外に聞こえるかもしれないけれど、川久保玲さんにはトラッドマインドを感じます。先日発表された<コムデギャルソンオムプリュス>の最新コレクションがまさにそうでしたが、どんなに前衛的なことをやっていても、紳士服の基本は絶対に外さない。ヒールのあるパンプスを履かせていたりするけれど、服そのものは、パターンから細部までとてもしっかりつくられている。オムプリュスだけでなく、コムデギャルソンの服を僕は数多く持っていますが、どれもこれも実用可能なポケットがついています、シャツは本縫いで仕立てられているし、ボタンも十字がけでつけられ、生地の柄合わせもされている。もともとトラッドなものがお好きで、その大事な部分は維持しながら、解体し、再構築して新しいものにつくり変えている。そういった川久保さんの姿勢に、僕はとても共感を覚えます。

僕はこの文章を読んだとき、まさに目から鱗。自分が長年ぼんやりと持ち続けていた考えを、はっきりと言語化してもらえたと思いました。

確かに、コムデギャルソンのメンズのコレクションラインであるコムデギャルソンオムプリュスは、メンズファッションの新たな価値観を提示し続けていますが、デビューから今に至るまでの30年以上、テーラードジャケットにシャツ、スラックスといった、メンズのトラディショナルなアイテムがベースになっています。

その中でも特に、紳士服のルーツであるイギリスの影響が強いであろうことは、デザインやモチーフなどからも伺えます。

 
 
 
 
 
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つくりについても、以前↓の記事でご紹介しましたが、服作りの要となる縫製の他、生地やボタンなどの付属品の質はハイレベル

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もちろん、シャツやスーツなど、それぞれのアイテムの専業メーカーに比べると分が悪いこともありますが、コムデギャルソンは新しい価値観を発信することがミッションであるデザイナーズブランドであることを考えると、十二分と言える品質でしょう。

 

”トラッドマインドな服”は時代を超越する

そして、栗野さんの発言はこう続きます。

結局のところ、基本を大事にする人のマインドが”トラッドマインド”であり、基本を大事にする人のつくる服が”トラッドマインドな服”ということだと思います。

僕はこれに加え、”トラッドマインドな服”は時代を超越する魅力を持つのではないかと思います。

栗野さんがトラッドマインドを感じるブランドとして挙げた、イヴ・サンローランやジョルジオ・アルマーニ、ラルフ・ローレン、そしてコムデギャルソンはいずれも高い革新性を持ち、ファッションを通じて世界に新しい価値観を提案しました。

しかも、これらのブランドの服の多くは、発表されて年月を経てからも高い評価を集め、むしろ年月を経たからこそヴィンテージとして年月を追うごとに価値は高まっています

 

今見ても可愛い20年前のコムデギャルソン

先日、とある取材がありました。

槇原敬之のTシャツの上に、↓の記事でもご紹介した、田中啓一が手掛けていたコムデギャルソンオムのカーディガンを羽織り、パンツは90年代のコムデギャルソンオムプリュスでした。

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取材の流れで、どちらも20年以上前の服だということをお話すると、取材に参加していた女性から「そんな昔の服には全然見えない。可愛い。」というお言葉をいただきました。

20年前に僕が心を奪われた服が、20年後の今も女性の琴線に触れているのです。

その理由は、やはりコムデギャルソンが”トラッドマインド”を持っているから、なのでしょう。