山田耕史のファッションブログ

ファッションは生活であり、文化である。

大御所が断言。気鋭の若手は拒否。「ファッショントレンド」は、もう終わり。

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栗野宏文さん。 

 
 
 
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ユナイテッドアローズの立ち上げメンバーで、現在は上級顧問クリエイティブ・ディレクションを担当。

これまでブログで何度もご紹介しているように、栗野さんの考え方は共感するところが非常に多く、強く影響を受けています。僕が最も敬愛するファッション業界人のひとりです。

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そんな栗野さんの初の書籍。読まない訳がありません。

モード後の世界

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Kindleで読んだのは正解でした。金言が満載だったので、蛍光ペン引きまくりです。

ファッション業界の方やファッションが好きな方には是非読んで貰いたい一冊なので、当ブログでは何回かに分けて僕が特に共感したポイントをご紹介します。

 

トレンドを追うことは、もはやトレンドではない

以前から僕は、「トレンドを理由に服を買う」というこれまでのファッション業界の常識は徐々に消滅していくだろうと予想しています。こちらは2017年に書いた記事です。

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日本のメンズファッションのゴッドファーザー、石津謙介さんが55年も前に断言しているように、ファッショントレンドとはファッション業界が服を売るための手段です。

アイビーは、永遠に眠らない―石津謙介の知られざる功績

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モード後の世界では栗野さんも石津謙介さんとほぼ同義のことを書かれています。

振り返れば二十世紀後半の消費というのは、ネガティブな言い方をすると脅迫型の消費でした。「これを買わないとダメですよ」とか、「これがないと遅れますよ」とか。

脅迫型消費のもとを正せば、大量生産が一般化し、必要以上にモノができて、それを短期間で換金しなければ事業が継続できないモデルが定着してしまったからです。モノを流通させ、消費してもらう過程で、資本主義はあがきつつ、新たな消費形態を生み出してきました。例えば家電や自動車のモデルチェンジ。洋服はその最たるもので、この最新版を着ないと流行に乗り遅れますよということを声高に叫んで、買ってもらってきたのです。

ですが特に2000年代以降にインターネットやスマートフォンなどの新しいツールが普及したことによって、ファッション業界の構造は大きく変化しました。その結果…

本来、モードが依拠していた特権階級と非特権階級という図式は崩壊し、そういう意味ではモードは終わったと言えるでしょう。

トレンディなことも、トレンドを追うこと自体も、もはやトレンドではないのです。

「トレンドを追うこと自体も、もはやトレンドではない」

日本のファッション業界の大御所とも言える、ユナイテッドアローズの幹部が断言しているのです。

 

気鋭の若手もトレンドを拒否

これまで当ブログで何度かご紹介してきた、片石貴展さん。インスタグラム古着メディア「古着女子」の運営から始まった片石さんが経営するyutoriは今年、ZOZOグループと資本業務提携契約を締結しました。


www.yamadakoji.com

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そんな片石さんの先日のツイートがこちら。

ファッション&IT業界の気鋭の若手も、作為的なトレンドで恐怖を煽るファッションビジネスを拒否。そして、片石さんらしい柔軟な発想で新しいファッションビジネスを次々と打ち出しています。

 

ファッション業界の今後

とはいえ。

今も、そしてこれからもファッション業界の大半はファッショントレンドを中心にビジネスを続けていくでしょう。

www.elle.com

良心のある百戦錬磨の大御所も、時代の空気を敏感に察知する若者もファッショントレンドを否定する中で、ファッション業界は今後どうなっていくのでしょうか

この記事があなたのお役に立てれば幸いです!