
目次
- ロック×トラディショナルという組み合わせ
- 今はなきマルイ系ブランド、ルパート
- マルイ系の祖は80年代のDCブランド
- 僕の個人的な90年代のマルイ系の思い出
- 海外で再評価される00sマルイ系
- 海外で再評価されるマルイ系ブランドPPFM
- 2009年の熱狂的PPFMファン
- 00年代マルイ系再評価のルーツはドルチェ&ガッバーナ
- ガラパゴス的超進化を遂げたPPFM
- 高騰している00年代のPPFM
- めちゃくちゃ流行ったスキニーパンツをブーツイン
- ベルベルジン、ゴーゲッター…2006年の美容師おすすめ古着屋
- マルイ系みたいな大手セレクトショップ
- 実は有名人を輩出している『FINE BOYS』専属モデル
- 次回“ファッションアーカイブ”は丸井とDCブランドブームの関連性について
2ヶ月ほど間が空いてしまいましたが、これまで2回にわたってご紹介してきた、『FINE BOYS』2006年12月号についての記事の続きです。
表紙は堂本剛さん。

ロック×トラディショナルという組み合わせ
これまでの記事でも触れていますが、『FINE BOYS』は高校生、大学生を中心としたティーンズがターゲットのメンズファッション誌。
誌面に登場しているのは、マルイ系やセレクトショップオリジナルなど、学生でも比較的手を出しやすい価格帯のブランドが中心です。
“着まわし術でさらに差をつけるには?”

ディオール・オムでも展開していたような、ロックな印象のレザー素材のM-65に合わせているのが、ショッキングピンクのニットにウイングカラーシャツという、トラディショナルなインナー。

この特集ではこのような「ロック×トラディショナル」という組み合わせが多く見られます。

こちらはロックの中でもヴィジュアル系を彷彿とさせるようなコートに、シャツ、スラックス、コートというトラディショナルアイテムとのコーディネート。

“「黒」「チェック」「レザー&ニット」の流行法則”

こちらでも黒ベースのアウターにシャツや中折れ帽といった、ロック×トラディショナルスタイル。

トラディショナルなテーラードジャケットもロックっぽいイメージ。

“Q:ミックススタイルで需要なのは?A:旬の柄はチェック。特にグレンチェックはマスト! ”

けばけばしい紫色で、タイトなシルエットのキルティングジャケットはかなりインパクト。

ダウンジャケットはどれも腰上のブルゾン丈。かなりコンパクトなシルエットです。

そして、こちらのページで提案されているスタイルはロック×トラディショナルの究極系かもしれません。

ボア付きのボマージャケットにタータンチェック柄のスラックス、レザーのライダースジャケットにドット柄のシャツ。

レザー素材のミリタリーアウターやライダースジャケットに、アーガイル柄のニット。

続いてのこのページも、かなりのロック×トラディショナル。

“ミリタリースタイルをフェルトハットでキレイめにスタイリングしよう”と、ミリタリーアウターやゴツいブーツなどのロックっぽいアイテムと、メンズグッズの中でもかなりトラディショナルな部類のアイテムであるフェルトハットとのコーディネートを提案。

こちらもページもロック×トラディショナル。

モッズコートにフェルトハット、ドット×ストライプ柄のネクタイ。

ライダースジャケットにドット柄のネクタイ。

ストールの巻き方や小物の取り入れ方。



ニットキャップのレイヤードという、かなり攻めた“裏技テク”。


今はなきマルイ系ブランド、ルパート
次はマルイ系ブランド、ルパートのタイアップページ。僕の印象で言えば、ルパートは数あるマルイ系ブランドの中でも中堅的な位置にあったと思います。

調べてみると、ルパートはビギグループの一社である株式会社ピー・エックスが展開していたメンズブランドだったようです。
ですが、現在のビギグループのサイトを見てみても、株式会社ピー・エックスもルパートも見当たりません。

さらに調べてみると、株式会社ピー・エックスは2021年に「合併による解散等」を理由に閉鎖されていました。以前は株式会社ピー・エックスが展開していたレディスブランド、TABASAは同じビギグループの株式会社パパスに移っているところを見ると、ルパートはブランド終了になっているという認識でよいかと思います。
“’60年代UK”や“骨太なロックテイスト”などの言葉が並びます。

このあたりの雰囲気は、2023年の今の感覚からは一番遠いファッションではないでしょうか。


次ページは“ルパートショップ対決 オススメアイテム&コーディネイト”。

4店舗がピックアップされていますが、そのうち3店舗はマルイシティ渋谷や錦糸町丸井、柏丸井と、首都圏の丸井に店舗を構えていました。


マルイ系の祖は80年代のDCブランド
そもそもマルイ系とはどういったブランドなのでしょう?
俗語なのできちんとした定義はありませんが、マルイに主に店舗を構えている、日本のアパレル会社が展開するメンズブランド、というのが僕的なマルイ系の定義です。
具体的には、こちらは以前の“ファッションアーカイブ”でご紹介した、『HOT DOG PRESS』1986年5月10日号に掲載されていた、“一目でわかるD.C.ブランド発展図”。この図に登場しているビギグループやニコルグループなどが展開していたブランドの多く、具体的にはメンズ・ビギやメンズ・メルローズ、ニコル・クラブ・フォーメン、ジュン・メンなどが後のマルイ系となります。

つまり、マルイ系の祖は80年代に一世を風靡したDCブランドだったということです。
その他、DCブランドブームについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
僕の個人的な90年代のマルイ系の思い出
僕がマルイ系と出会ったのは、大学入学後の1998年。
高校のときは古着屋やジーンズカジュアルショップで買ったアメカジがメインでしたが、大学入学後に三宮にあった神戸ビブレにあったアバハウスやPPFM、メンズ・ビギなどのマルイ系で服を買っていた時期がありました。
今回はちょっと触れた程度でしたが、神戸でいうとビブレ、東京だと丸井になるんですかね?アバハウスやジュンメン、PPFM、ルパートあたりの話なんて全然されてないでしょうし、結構面白くなるのではと思っています。あそこらへんのブランドがプラダスポーツ一色に染まった時期もありました。
— 山田耕史 ファッションアーカイブ研究 (@yamada0221) 2017年8月14日
1998年当時はプラダスポーツが大人気でした。
赤いジップとオフホワイトのナイロンボディからプラダスポーツ感が溢れ出す、(おそらく)90sのPPFM。#楽天古着ディグhttps://t.co/echukGXTBA pic.twitter.com/Uf1AwAiUwB
— 山田耕史 ファッションアーカイブ研究 (@yamada0221) 2023年9月4日
こちらが当時のプラダスポーツ。
今見てもめちゃくちゃ格好良いです。

https://www.pinterest.jp/pin/561542647305038181/

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多くのマルイ系ブランドはプラダスポーツの特徴的な意匠である、赤いラインを模したデザインの商品を数多く展開していました。
特にプラダスポーツの人気は凄まじく、当時の丸井系はがっつりパクって、もといインスパイアを受けていました。こちらのアバハウスのスニーカーのように、プラダスポーツの象徴である赤いラインを臆面もなくパクった、もといインスパイアを受けた商品が山ほどありました。 pic.twitter.com/Vt1RWp44r7
— 山田耕史 ファッションアーカイブ研究 (@yamada0221) May 23, 2020
海外で再評価される00sマルイ系
マルイは『Men's Voi』という通販カタログも発行していました。レディスは『Voi』。定価300円とありますが、当時はマルイに行けば無料で貰えていたはずです。こちらは2006年秋号です。

1980年代のDCブランドブームで人気を集めた、日本メンズファッションブランドの多くは、エディ・スリマンのディオール・オムのロック系モードスタイルを元にガラパゴス的進化を遂げ、過剰に装飾的な独自のロック系モードスタイルを確立していました。



2000年代のマルイ系のデザインには、エディ・スリマンのディオール・オムと、宮下貴浩のナンバーナインが大きな影響を与えていたことについては、以前の“ファッションアーカイブ”でご紹介しました。
海外で再評価されるマルイ系ブランドPPFM
以前、当ブログでもご紹介しましたが、2000年代のマルイ系がここ数年海外で再評価されています。
なかでも注目度が高いブランドがPPFMです。
今は無き丸井系ブランド、PPFMのマニアで販売もしている海外の人とおぼしきインスタアカウントを発見。
— 山田耕史 ファッションアーカイブ研究 (@yamada0221) 2020年11月7日
商品は00sが中心。懐かしのダブルウエストや、ジップを多様したコテコテデザイン。
フォロワー数はそう多くありませんが、結構売れてるみたい。こんなところから再評価が生まれるんでしょうねー。 pic.twitter.com/kiUR5f9AJz
PPFMは「ペイトンプレイスフォーメン」の略で、同ブランドは上掲の1986年“一目でわかるD.C.ブランド発展図”にも登場しています。コムサ・デ・モードで知られる、ファイブフォックスグループのブランドでした。

↑の図の中では、“この10年間に飛躍的な成長を遂げている”、“現在ビギ、ニコル、ジュンに続いてD.C.系アパレルの第4位を占めている”とあり、DCブランドブーム当時、ファイブフォックスはかなり成長株の企業でした。
僕がマルイ系を買っていた1990年代終盤も、コムサ・デ・モードを筆頭とするファイブフォックスのブランドには人気があり、当時神戸にできたファイブフォックスが運営するカフェ、コムサカフェはちょっとしたオシャレスポットという扱いでした。
PPFMが海外で再評価されている理由は、他のマルイ系とは一線どころか三線、四線くらい画している攻めたデザインにあると思います。
2009年の熱狂的PPFMファン
こちらは2009年のストリートスナップ。

なんと、バッグ以外の全てのアイテムをPPFMで揃えた熱狂的PPFMファンです。

それぞれのアイテムはどれもかなり癖の強いデザインです。が、おそらくこの癖の強さが熱狂的なファンを生んでいたのでしょう。




00年代マルイ系再評価のルーツはドルチェ&ガッバーナ
PPFMが海外で再評価された背景には、2000年代のファッションの再評価、つまりY2Kトレンドがありました。
それを代表するアイテムが、ドルチェ&ガッバーナのカーゴパンツです。

https://www.pinterest.jp/pin/769623023847655474/
2000年代前半、ドルチェ&ガッバーナやそのセカンドブランドであるD&Gは、ポケットやジップで過剰の装飾されたカーゴパンツを多数展開していました。

https://www.pinterest.jp/pin/35747390784126665/

https://www.pinterest.jp/pin/534028468319827193/
2010年代後半に、これらのアイテムが再評価されるようになります。
ガラパゴス的超進化を遂げたPPFM
ファッション好き、特に古着好きには「もっと面白いモノ」「もっと珍しいモノ」を熱心に探し求めるマニアが多数存在します。
そんな探究心が強いマニアが探し当てたのが、日本でガラパゴス的に進化していたブランド、PPFMだったのです。
現在の感覚で振り返ってみると、特に00年代のPPFMは相当攻めたデザインのアイテムを展開していたことがわかります。
オールドマルイ系、PPFM。00sでしょうね。
— 山田耕史 ファッションアーカイブ研究 (@yamada0221) 2021年12月21日
他にはなかなか無い、かなり凝った切り替え。デザイン。これはハマる人が多いのも理解できます。#楽天古着ディグhttps://t.co/cA57ZU8Alh pic.twitter.com/oLYq48ieRI
00sや10sのPPFMも今見ると格好良いの多いんですよね。
— 山田耕史 ファッションアーカイブ研究 (@yamada0221) 2021年7月1日
時の流れもあると思いますが、当時自分がチェックしていなかっただけで、本当は面白い商品を出してたんですよね。
それを今、海外の人がピックアップしたのを見てその良さに気付くという、シティポップが流行ったのと似たような現象になってます。 https://t.co/eqeynABXMq pic.twitter.com/DAItHOhdQu
PPFM、こんなに攻めたグラフィックのTシャツ出してたんすねー pic.twitter.com/8D2YiOyNvM
— 山田耕史 ファッションアーカイブ研究 (@yamada0221) 2021年6月20日
メルカリに出品されてるPPFMについに「ヴィンテージ」の冠が。
— 山田耕史 ファッションアーカイブ研究 (@yamada0221) 2021年2月9日
価格もかなり強気。 pic.twitter.com/h474CrCT6W
特に、今回メルカリで見つけたこのパンツは相当凝ったつくりです。
【PPFM】side seam bondage denim 00s
一見、普通のデニムのショートパンツ。

ですが、本来縫われているべき両脇、股下全てがジップになっています。

なので、このように前見頃と、

後ろ身頃に分離することが可能。

しかも、膝部分のジップポケットに見える部分はプリントのフェイクになっているという凝りっぷり。

高騰している00年代のPPFM
↑のショートパンツはそれほどでもありませんが、最近メルカリに出品されているPPFMのアイテムは、海外で再評価されていることが周知になったうえに、Y2Kトレンドの影響もあり、かなり高騰しています。
入手困難PPFM タグ付き 新品未使用 WWE コラボジーンズ ダメージ加工
【希少激レア】PPFM "Skull" zip gimick hoodie 弐
とはいえ、まだPPFMの「価値」に気付いている層はごく一部。00年代のPPFMならではの個性的なデザインの服を比較的手頃な価格で手に入れることも、今なら可能です。
PPFM デニム風サルエルパンツ ポシェット付 ダメージ加工風 カーゴパンツ
めちゃくちゃ流行ったスキニーパンツをブーツイン
さて、『FINE BOYS』2006年12月号の誌面に戻りましょう。
“「トレンド」派と「定番」派のブーツ選び!”。

まずはトレンド。“最注目No.1”は“レースアップロングブーツ”。

こんなに長いブーツが人気だったなんて、2023年の今の感覚からはちょっと理解しづらいですね。

ロングブーツを合わせたコーディネイトと、アイテムのバリエーション。

“無骨な印象を与えるブーツイン”。スキニーパンツをブーツインするスタイルはめちゃくちゃ流行りました。


こちらもブーツイン。


ペコスブーツとエンジニアブーツ。

プレッピースタイルにペコスブーツという攻めたスタイリング。


真ん中のマフラーの巻き方、首が苦しくないのかなと心配してしまいます。


“やっぱり押さえたい!定番ブーツサイドゴア&サイドジップ”。

“長く履きたいなら定番のブーツをチェック!”とありますが。

このデザインだと、それほど長くは履けなかったのではないでしょうか…。


サイドゴアブーツも、やはりフォルムやディティールが定番とはちょっと言いづらいですね。

“3万円以下のバリューブーツカタログ”。

トゥ部分が踏まれたようにペタンコなのが、この頃のトレンドでした。


ベルベルジン、ゴーゲッター…2006年の美容師おすすめ古着屋
“古着MIX美容師スナップ!”。“安くおしゃれするテクはココから盗め!”。

髪型も服装も、かなりの突き抜けっぷり。こういったファッションも、PPFMと同じくガラパゴス的進化を遂げていたのかもしれません。

日本のファッションってこれだけ突き抜ける事があるから面白いんだと、個人的には思います。


おすすめ古着屋。現在は日本を代表する古着屋という位置に君臨している、原宿のベルベルジン。







原宿のゴーゲッター。N.ハリウッドのデザイナーである尾花大輔さんは、ゴーゲッターの立ち上げメンバーのひとりでした。





上掲の尾花大輔さんのインタビューにも登場する名店、ヴォイス。


攻めたセレクトで今も人気のDOG。


“ヘア&着こなしで変身!ビフォーアフター実例集”。

“旬のロック&ミリタリーアイテムを探しにショッピングへ!”と訪れたのが…

今も渋谷区神南にあるナノ・ユニバースと、今はなきアンドエー。

で、アフターがこちら。

“FB代表!5人の読者モデルが変身”。

右ページ、“君島麻耶くん”は後にモデルとなり、ファッション誌『CHOKi CHOKi』などで人気を集めます。

現在は芸能事務所に所属し、俳優として活動しているようです。



マルイ系みたいな大手セレクトショップ
“東京大阪新しいショップの高いモノ、安いモノ”。

ユナイテッド・アローズのビューティー&ユース。

ベルベルジンとナイキの期間限定コラボショップ。

“ラフォーレ原宿にニューショップが続々OPEN!”。



アダム・エ・ロペやチャオパニックといった大手セレクトショップも、当時はマルイ系のようなロックっぽいスタイルを提案していました。

大阪編。


実は有名人を輩出している『FINE BOYS』専属モデル
“モテモテ★クリスマスプレゼント大作戦!”。

こちらの登場しているのが、当時『FINE BOYS』専属モデルで、現在は俳優として活躍する大東駿介さん。

他にも、松坂桃李さんも『FINE BOYS』の専属モデルだったようです。


武蔵大学の“通学服スナップ!”。リアルな当時のファッションが、こういった感じだったのでしょう。


次回“ファッションアーカイブ”は丸井とDCブランドブームの関連性について
今回は比較的短めの内容となりましたが、その理由は本来1本にしようと思っていた記事が長くなったので、2本に分けたからです。
次回は企業、丸井の歴史とDCブランドブームの関連性について深堀りする予定です。
お楽しみに!






