目次:
- 28歳の新鋭、ラフ・シモンズ
- ガチのファッションリーダーだった浜田雅功
- 男前な発言連発の木村拓哉インタビュー
- 裸に学ラン坊主頭でパンクをやってた永瀬正敏
- 1995年のリアルな渋谷ストリートファッション
- 木村拓哉を抑えて“カッコいい男”に選ばれた2人のモデル
- 今、いちばんカッコいい「有名私立高校生」
- DJとサーファーがカッコいい高校生の2大スタイル
- 戦後日本のナイスガイの系譜
- 「美」とはどういった価値観なのか
- 美とはプロポーションによって生まれる調和である
- 美は見つめる心のなかにのみ存在する
- カントが説いた美の自律性「美しいものは美しい」
- 江戸の「いき」と上方の「すい」
- 江戸の遊廓に育てられた「いき」の美意識
- 日本と西洋の「美」の価値観の違い
- 発売後2ヶ月で人気となったエアマックス95
- ブームで埋もれてしまった良デザインのスニーカー
- “好きなバッグのブランド”1位はグレゴリー
- “ミラノではD&Gが超人気だゾ!”
- “スタイリスト2GOを崇拝”
今回ご紹介するのは『Hot-Dog PRESS』1995年9月10日号です。
表紙は木村拓哉さん。
資生堂のヘアスタイリング剤の広告は藤井フミヤさん。着用しているシャツはアンダーカバーだと思うんですが…調べてみても決定的な証拠が見つかりませんでした。
28歳の新鋭、ラフ・シモンズ
ミニニュースのページの冒頭。
“アントワープの次世代デザイナー、ラフ・シモンズ”には触れずにはおれません。
“ドリスもマルジェラも、ビジネスベースの型にはめられてしまって、最近刺激の薄くなったデザイナーたち”と、アントワープの大物デザイナーたちへのディスから始まる文章笑。そして“そこに新風をふき込んだのが、28歳の新鋭、ラフ・シモンズだ。テッズ、スクールボーイ、マフィアギャング、またパトロールユニフォームなどからインスパイアをしたという独自の服づくりを今シーズンよりスタート”。
で、“←ラフ・シモンズ”と、明らかにデザイナー近影っぽく紹介されているこちらの写真。
実はこれはラフ・シモンズではなく、1996年春夏のインビテーションカードに掲載されていた、俳優のデヴィッド・ヘミングスです。
これ、ちょうど昨日ラフシモンズ調べてたら出てたんで、シェアします。https://t.co/RAwY1Q0n7M
— 666たかし (@qsXylrl53hI3CjE) 2024年3月7日
ラフの自画像じゃないっていう😂
リーバイスのコーデュロイジーンズの広告。良い色です。
ガチのファッションリーダーだった浜田雅功
ここから、“ボクたちも「カッコいい男」が好きだ!”という今号の特集が始まります。
“カッコいいと思う有名人はだれ?”というランキング、1位は木村拓哉さん。福山雅治さん、武田真治さん、いしだ壱成さん、浜田雅功さんが続きます。
そして、“ファッションを真似てみたいのは”というランキングは1位武田真治さん、2位木村拓哉さん、そしていしだ壱成さんと浜田雅功さんが同数で3位。
当時の浜田雅功さんはガチでそのファッションリーダーだったことが、このランキングからもわかるでしょう。
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男前な発言連発の木村拓哉インタビュー
とはいえ、やはり圧倒的人気を集めていたのが、木村拓哉さん。
“ジーンズの着こなしなんて何も考えないよ、普通。乾燥機の中から適当に取ってさ。馴染んだものが似合うもの、なんじゃないの”
“俺の顔がキレイ?そう思われているなら「ザマアミロ」って感じだね。興味ないよ”
“俺にとって“負けず嫌い”は、パワーの源、エネルギー。本当っぽい小理屈より、俺はこれを信じていきたい”と、ドラマのセリフのようななんとも男前なフレーズの連発。これ、普通にインタビューで木村拓哉さんが語った言葉なんでしょうか。
裸に学ラン坊主頭でパンクをやってた永瀬正敏
次は永瀬正敏さん。“学生の頃は、基本的にはモテなかったですよ。だから、女のコに「もてたい」と思ってバンドを組んだんです。裸に学ラン、坊主頭でRCとかピストルズとかクラsh酢のカバーをやってました。ニューミュージック全盛の中でPUNKやってたから、全然もてなかったです(笑)”という、ほっこりするエピソードを語っています。
お笑い芸人代表はヒロミさん。
1995年のリアルな渋谷ストリートファッション
ここからは“渋谷のKOOL GUYたちに聞く「カッコよさって何?」”という企画ですが、1995年のリアルな渋谷のストリートファッションの記録としてとても貴重な資料なので、じっくりご紹介してみます。
最初に登場しているのが、当時人気が出始めた頃だったリーボックポンプフューリーを取り入れたスタイル。今見ると、Tシャツのシルエットがかなりコンパクトです。
上掲の木村拓哉さんぽい雰囲気もある、ドゥエボットーニのシャツの第4ボタンまでガバっと開けた印象的な着こなしもインパクト大。
右下の彼が着用しているブーツはダーク・ビッケンバーグのものではないでしょうか。
ダーク・ビッケンバーグはドイツ出身の同名デザイナーによるブランド。
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マスキュリンな作風が特徴です。
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ダーク・ビッケンバーグを代表するアイテムであるワイヤーブーツは今も高値で取り引きされています。
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木村拓哉を抑えて“カッコいい男”に選ばれた2人のモデル
左端のナイキのTシャツの彼は16歳のダンサー。ティンバーランドのイエローブーツがクールです。
“カッコいい男が選ぶカッコいい有名人ベスト5”は、木村拓哉さんを抑えてモデルの松岡俊介さんと村上淳さんがワンツー。スケートボードやDJといったストリートカルチャーとも縁の深い2人に対して、“センスの良さがポイントみたい”というコメント。
こうやって俯瞰してみると、1990年代を象徴するファッションアイテムであるハイテクスニーカーを着用している人が全然いないことがわかります。後述しますが、この頃はまだハイテクスニーカーブームは本格化していませんでした。
“カッコいい男の御用達ショップ5”のトップは、グッドイナフをはじめとした裏原系ブランドを扱っていたメイド・イン・ワールド。2位のビームスの他は、ネペンテス、ONE DAY、パイドパイパーと、個店のセレクトショップが人気だったようです。
“タイプ別・美少女が開設する“カッコいい男のコ”の条件”。
今改めて見ると、なかなか趣深い面々です。
今、いちばんカッコいい「有名私立高校生」
次は、“今、いちばんカッコいいと噂の男子高校生“男前”選手権”。慶應義塾高校や青山学院高等部、そして明大中野高校などの「有名私立高校」の生徒たち。
これまでの“ファッションアーカイブ”の記事で触れていましたが、1990年前後に生まれた渋カジ以降、彼らのような高校生たちが、渋谷のストリートファッションに大きな影響を与えるようになっていました。
DJとサーファーがカッコいい高校生の2大スタイル
そんな“カッコいい高校生の2大スタイルを徹底検証”。
“DJ系”と“サーファー系”。“DJ系”は“ナイキゴルフのアウターでいいのがあったら買うつもり”、“サーファー系”は“70'sノスタルジックなプリントTのやサーフブランドTが人気”など、当時のリアルなファッション観が垣間見えます。
高校によって“DJ・ダンサー系”と“ストリートスポーツサーファー系”が分かれていた模様。
“マジに世界を目指し突っ走るコスモポリタンがカッコいい”。野茂英雄投手がメジャーリーグに移籍したことで、海外で活躍する日本人が注目を集めていた時代でした。そんな野茂投手をはじめ、イチロー選手がキャップを被ったことで脚光を浴びたdj hondaや、ビューティービーストのデザイナー山下隆生さんらがピックアップされています。
ビューティービーストについてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
戦後日本のナイスガイの系譜
“時代を彩ったナイス・ガイ これがカッコいい男の系譜だ”。見開き2ページで非常によくまとまった内容。
系譜が非常にわかりやすいです。50sは映画。60sはドラマと歌謡曲。
70sからロックが入ってきます。80sはヤンキー、そして90sになるとフェミニンな印象のいしだ壱成さんや武田真治さんも登場し、ナイスガイの価値観がかなり多様化しているのがわかります。
で、1995年の時点でのナイスガイの最終進化系が木村拓哉さん。
「美」とはどういった価値観なのか
というように、当記事ではかなり端折りましたが、これまででご紹介してきたページ以外でも、様々な視点から「カッコいい男」とはどんな男かということについて色々深堀りされています。
当記事では「カッコいい」について、さらに深堀りをしてみてます。
まず、「カッコいい」と非常に似た価値観である「美」について、書籍「近代美学入門」を参考に、「美」とはどういった価値観なのかを紐解いてみます。(強調引用者以下同)
「美」に関する
古代ギリシャ語で「美しい」は「カロス」と言い、「カロス」から派生した「カッロス」が「美」を表す言葉として使われていました。
「カロス」には「美しい」だけではなく、「うまく作られた」「立派な」「優れた」「道徳的によい」「高潔な」という意味がありました。