山田耕史のファッションブログ

ファッションは生活であり、文化である。

【2004年メンズノンノ】ラフ・シモンズとスピリチュアルブームの共通性。【3月号】

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90年代のファッション誌を中心に、昔のファッション誌のアーカイブを兼ねてご紹介する企画、ファッションアーカイブ。

これまでの記事はこちらから。

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前回に引き続いてご紹介するのはメンズノンノ2004年3月号です。

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スピリチュアルな雰囲気のラフ・シモンズ

前回ご紹介したナンバーナインと同じく、00年代を代表するデザイナーズであるラフ・シモンズの特集が続きます。

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以前当ブログでご紹介した2001年のコレクションのように、ラフ・シモンズはどちらかと言うと黒を基調としたダークトーンの印象が強いブランド。

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ですが、今号で紹介されている2004年春夏コレクションでは”ユートピアへと魂をいざなう淡く優しいパステルカラー”と表現されている、柔らかい色が中心

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とはいえ、モノトーンのフォロプリントやロックテイストのフォント、ノースリーブトップスなど、ラフ・シモンズらしいデザインは継続して用いられています。

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前回のナンバーナインでも多く使われていたスカルデザイン。

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ですが、ラフ・シモンズはステッチとハンドペイントで、死の象徴であるスカルながらどこか暖かみすら感じられる雰囲気に仕上がっています。

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素肌に付けた天然の石や素材でできたネックレスは”地、水、火、自然の4大要素を象徴するアクセサリー”だそうです。

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当時、日本は2004年には占い師の細木数子が出演するテレビ番組「ズバリ言うわよ!」がヒット。2005年には江原啓之と美輪明宏の「オーラの泉」がヒットするなど、スピリチュアルブームの真っ只中でした。

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どこかしら、宗教家のようにも見えないこのページのルック。

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”スピリチュアルな絵柄の刺繍が施されたシャツ”という文言もあり、やはりスピリチュアルが時代的なキーワードであったことが伺えます。

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中央のカットソーには「ALPHA」「MIND」「THEORY」など、スピリチュアルぽさが感じられる単語が並んでいます。

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大樹の前に裸足で並んでいるのも、なんかそれっぽい感じ。

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上掲過去記事のように、ラフ・シモンズはアメリカ同時多発テロ事件を予兆したとも思われるくらい、時代の流れに敏感なデザイナーです。

ラフ・シモンズが発表したこのスピリチュアルな雰囲気が強いコレクションと、日本のスピリチュアルブームも、時代の空気感や人々が求めるモノという点で、共通性があるのかもしれません。

次回に続きます。