90年代のファッション誌を中心に、昔のファッション誌のアーカイブを兼ねてご紹介する企画、ファッションアーカイブ。
これまでの記事はこちらから。
引き続きメンズノンノ2001年7月号のご紹介です。
同号のこれまでの記事はこちら。
アフガンストール人気の背景
”今月のジーンズスタイル”。
”狙ったのは、中東や砂漠の土くさいイメージ”ということで、アフガンストールが象徴的に使われています。
2001年9月11日にはアメリカ同時多発テロ事件が起こり、その後アフガニスタン紛争が勃発。中東が世界中の話題の中心になります。
1980年生まれの僕にとって、最も古い中東の紛争の記憶は1990年の湾岸戦争。
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その後、中東では緊張状態が続いていましたが、お茶の間でも話題になるような大きな紛争は起こっていませんでした。
ですが、2001年のアメリカ同時多発テロ事件のニュース映像などで中東の人々がアフガンストールを身にまとっている姿を目にする機会が増えたことも相まったのでしょう。アフガンストールを身に付ける人が増えました。
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ちょうど当時、アフガンストールを打ち出していたブランドがありました。ラフ・シモンズの2001年秋冬コレクションです。
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ラフ・シモンズはアメリカ同時多発テロ事件を予見した?
アメリカ同時多発テロ事件が起こったのは前述の通り、2001年9月11日。そして、ラフ・シモンズがアフガンストールをフィーチャーしたのは2001年秋冬コレクションなので、アメリカ同時多発テロ事件以降のことのように思われるかもしれません。
ですが、メンズコレクションは実際に商品が店頭に並ぶ半年以上前に開催されます。
ラフ・シモンズの2001年秋冬コレクションがパリで発表されたのは2001年1月7日のこと。つまり、アメリカ同時多発テロ事件の前に発表されたコレクションなのです。
偶然の一致なのか、それともラフ・シモンズが未来を予見していたのか。
もしかしたら後者ではないか、と思わせるのが続く2002年春夏コレクションです。
テロ前に発表された「テロ期」
2002年春夏コレクションはテロリストを想起させる覆面を付けた男たちが松明を掲げてランウェイを歩くという、まさしくテロの時代を象徴するようなコレクション。ファンの間では「テロ期」と呼ばれています。
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これこそ、テロリズムという当時の世界的なキーワードを反映したコレクションに思えますが、2002年春夏コレクションが発表されたのは2001年の7月。こちらもアメリカ同時多発テロ事件以前のことです(それぞれのコレクション日程の特定にはかなり時間をかかってしまいました)。
ラフ・シモンズはその創造性の高さから人気を集め、当時のアーカイブはカニエ・ウェストが着用するなどして現在は破格と言える程高騰しています。
ですが、このように時代の流れを見据えたクリエイションも絶大な人気を支えているのでしょう。
さて、ジーンズのスタイリングに話を戻しましょう。ジャラジャラ付けたウォレットチェーン。
この後のロックテイストの拡大、更にお兄系を経てマスへの拡散し、陳腐化されたことにより、ウォレットチェーンはトレンドからはかけ離れた存在になっていました。それを表すのが、3年前の↓の記事。ですが、今見ると新鮮に感じるように、またウォレットチェーンは復活しそうな予感がします。
A.A.R.広告。紳士服で知られるダーバンと、ヨウジヤマモトの今で言うところのコラボラインです。
4ページに渡る、かなり攻めた広告。
次号に続きます。