先日公開した↑の記事に対し、こんなご意見をいただきました。
もしかして「若者が短パンを穿かない」じゃなくて、「おれら世代が短パンを穿きすぎ」なんじゃないだろうか
— 齋藤 (@saito_d) 2023年6月7日
「おじさんが短パン穿きすぎ」説。
これ、僕自身の経験を振り返ってみても、同意できる説だと思うんです。
2010年の山ガールブーム
山ガールって覚えてますか?
アウトドア人気の高まりと共に、アウトドアファッションもトレンドになったのですが、「山ガール」が流行語候補となったのが2010年。
ビームスが創立40周年を記念して出版した、1年毎の人気ファッションを紹介した書籍でも、山ガールは2010年のトレンドとなっています。
アウトドアファッションブームはメンズでも
そして、2010年頃はメンズでもアウトドアファッションが人気でした。
改めて検証記事に書くつもりでしたが、僕個人としては2010年前後の山ガールブームに代表されるアウトドアファッション人気は大きかったと思ってます。
— 山田耕史 文芸雑誌「群像」7月号にエッセイ「コムデギャルソンと川久保玲」掲載中 (@yamada0221) 2023年6月7日
グラミチの短パンにレギンス、ノースフェイスパープルレーベルのショルダーバッグみたいな格好をよくしてました。 https://t.co/jj4hwKrd12
短パンばかり穿いていてた2010年の僕
で、アウトドアファッションの象徴するアイテムのひとつが短パンです。
この4枚の写真は順に高尾山、日光、沖縄、大阪とそれぞれ別の場所で撮影されたものですが、全て2010年のもの。
特に↑の写真はトレンチコートを着ているにも関わらず短パン×レギンスで、当時の僕が短パンに執心してたのかがわかります。
短パン以外のアイテムも、アウトドアテイスト強めです。
白のショルダーバッグはノースフェイスパープルレーベル。
ノースフェイスパープルレーベルは、ノースフェイスと当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった代官山のショップ、ナナミカとのコラボラインです。
ブルーのリュックはナイキと格闘家の宇野薫さんのコラボブランド、10AC。
白黒のスニーカーはニューバランスのトレイルランニングモデル、MTG580です。
当時、僕が働いていたファッション企画会社の社長は、僕ら社員に「トレンドのオシャレな服装をするように」と常に言っていました。
当時勤めてたファッション企画会社の社長(50代女性)は「うち社員はオシャレをしなきゃ駄目!」という人だったんですが、その頃メンズの短パンは「トレンドでオシャレだからアリ」と言っていたのをよく覚えています。
— 山田耕史 文芸雑誌「群像」7月号にエッセイ「コムデギャルソンと川久保玲」掲載中 (@yamada0221) June 7, 2023
僕は単に暑かったから短パンを穿いていただけなんですが笑
それまでも穿いている人は沢山いましたが、2010年前後のアウトドアファッションブームが契機となって、短パンがファッションアイテムとして完全に市民権を得たんじゃないかと思っています。
— 山田耕史 文芸雑誌「群像」7月号にエッセイ「コムデギャルソンと川久保玲」掲載中 (@yamada0221) June 7, 2023
クライアントにオシャレなファッションを提案するのが仕事なんだから、自分の服装がオシャレじゃないと説得力がない、というのがその理由です。
そして、僕は上掲の写真のような服装で会社に行っていました。
こういったアウトドアファッションとして穿く短パンは、当時トレンドでオシャレな服装だったのです。
過去記事でもご紹介したメンズファッション誌「ストリートジャック」の2011年7月号では、「楽チンで、機能的で、しかもおしゃれ」という触れ込みで、アウトドアスタイルが提案されています。
マス市場を席巻したマリンファッション
アウトドアファッションブーム以前も、オシャレとして短パンを穿くことはありました。
最も象徴的なのが、1990年代の裏原系でしょう。
こちらは1996年のファインボーイズに掲載されたストリートスナップですが、グッドイナフのTシャツやノースウェーブのスニーカーなどの裏原系を象徴するアイテムに、短パンを合わせたスタイルが目立っています。
裏原系の見本みたいなスタイリング。 pic.twitter.com/6O0jhuSIpU
— 山田耕史 文芸雑誌「群像」7月号にエッセイ「コムデギャルソンと川久保玲」掲載中 (@yamada0221) 2022年8月21日
ですがおそらく、こういった短パンスタイルは1990年代はある程度ファッション感度が高い人だけに留まり、マスまでは広がらなかったのではないかと思います。
2010年頃、アウトドアファッションとは別の流れで人気を集めたのが、マリンファッション。
こちらは上掲と同じく「ストリートジャック」の2011年7月号。
トム・ブラウンが提案したトラッドスタイルから派生したファッションで、↑の記事タイトルに「とりあえず「マリン」だったらオシャレだった時代」とあるように、マリンファッションはマス市場を席巻。
そして、マリンファッションの重要アイテムのひとつが、短パンだったのです。
2010年頃でファッションのアップデートが止まったアラフォー
現在43歳の僕は、2010年当時は30歳。
まだ結婚前だったこともあり、いわゆる「オシャレ」をする意欲は今よりも強かったかもしれません。
ですが、↓の過去記事でも書いたように、結婚を機にファッションのアップデートが止まってしまう男性は少なくありません。
ということは、現在アラフォーのおじさんにとって、2010年頃にオシャレアイテムだった短パンは、今もオシャレアイテムと認識があるので好んで着用しているなのではないでしょうか。
公園でも高いアラフォーパパの短パン着用率
先日、駒沢公園に行きました。
僕と同世代のアラフォーパパの短パン着用率はかなり高め。
ですが、やはりその上の50代や、下の20代の短パン着用率は明らかに低く感じました。
久し振りに駒沢公園に来てるんですが、やっぱりアラフォーパパの短パン着用率は高いですね。
— 山田耕史 文芸雑誌「群像」7月号にエッセイ「コムデギャルソンと川久保玲」掲載中 (@yamada0221) 2023年6月10日
5割以上ありそうな感じ。 pic.twitter.com/A6eBR7vYBa
つまり、最初にご紹介した記事でタイトルにした、「若者は短パンを穿かない」というよりも「アラフォーおじさんが短パン大好き」と表現したほうが正確ではないかと思います。
「自分が着たい服を着るのが一番のオシャレ」
とはいえ。
僕は短パンが駄目とかは全く思っていません。
僕は著書「結局、男の服は普通がいい」などで何度も繰り返し主張していますが、僕は「自分が着たい服を着るのが一番のオシャレ」という考えです。
それに加え、「オシャレは我慢」だなんて微塵も思いませんし、ラクチンな服は大好きです。
そのときどきのトレンドを取り入れるってのもアリですし、自分の快適性を追求するのもアリでしょう。
最低限のTPOと清潔感は配慮した上で、自分が好きなファッションを自由に楽しみましょう。