山田耕史のファッションブログ

ファッションは生活であり、文化である。

渡辺淳弥(ジュンヤワタナベコムデギャルソン)の絶頂期、2000年代初頭のコレクションを後世に伝えたい。

f:id:yamada0221:20210825233220j:plain

コムデギャルソンのデザイナー、川久保玲

www.yamadakoji.com

僕が仕事にするくらいファッションにハマったのも、確実に川久保玲の影響が最も強かったと言えます。

川久保玲は「服が全て」「伝えたい事は服で表現している」というようなことを常に語っており、基本的にメディアにはほとんど出ないのですが、コムデギャルソンの創設者であり、株式会社コムデギャルソンの社長でもあるので、これまで雑誌やテレビなどで数多くインタビューに応えてきました。

 

川久保玲以外のコムデギャルソンのデザイナー

コムデギャルソンには川久保玲以外に数人デザイナーがいる(いた)のですが、 そのデザイナー達のインタビューはほとんど存在しません。例えば、当ブログでも以前ご紹介した、田中啓一。ネットでも田中啓一についてきちんとまとめられた情報はほとんど存在しなかったので、ちょっと大袈裟ですが田中啓一の素晴らしさを後世に伝える為に、この記事を書きました。

www.yamadakoji.com

田中啓一がコムデギャルソン社を退社した後、コムデギャルソンオムのデザイナーに就任したのが渡辺淳弥です。 

www.yamadakoji.com

www.yamadakoji.com

コムデギャルソンオムを手掛ける以前から、渡辺淳弥は自分の名前を冠したレディスブランド、ジュンヤワタナベコムデギャルソンをパリコレクションで発表しています。

 渡辺淳弥はコムデギャルソンオムの他にも、ジュンヤワタナベコムデギャルソンマンというブランドも手掛けているのですが、僕は渡辺淳弥はメンズよりもレディスの方が圧倒的に素晴らしく、その中でも2000年代初頭のコレクションは傑作連発で、渡辺淳弥の絶頂期と呼べる時代だったと思っています。

僕の好み100%なのでのかなり偏った内容かもしれませんが、渡辺淳弥の素晴らしさを少しでも多くの人に知ってもらえたらと思います。

 

ランウェイに雨が降った

まずは2000年春夏コレクション。敬愛するユナイテッドアローズの栗野宏文さんも、以前何かのインタビューでベストコレクションのひとつに挙げていた記憶があります。

わかりやすいGIF画像がありました。 

f:id:yamada0221:20210825220803g:plain

https://www.pinterest.jp/pin/485262928608813569/

あまり自信がありませんが、確かこのときのアイテムの多くは雨でも平気なナイロン素材が用いられていたような。

f:id:yamada0221:20210825220827j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/201887995787110361/

コムデギャルソンらしい禁欲的なスタイルと、60年代のレトロフューチャーが合体したようなデザインが当時非常に新鮮でした。

f:id:yamada0221:20210825220849j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/543457880009658938/

f:id:yamada0221:20210825220740j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/201887995787110344/

f:id:yamada0221:20210825220721j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/722194490232634170/

f:id:yamada0221:20210825220701j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/809240626794955913/

f:id:yamada0221:20210825220616j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/189643834298884067/

f:id:yamada0221:20210825220246j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/413064597073280770/

f:id:yamada0221:20210825220637j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/751186412831043836/

ちなみに、今やレギュラー的に展開されているナイキとコムデギャルソンとのコラボレーションアイテムが初めて発売されたのがこのシーズンでした。

 

デニムの特徴を最大限に活かした2002年春夏

続いて、2002年春夏コレクション

f:id:yamada0221:20210825114838j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/54043264265921659/

 見て下さい、この複雑なパターン。そして、デニム素材特有のアタリがデザインとして非常に有効的に活かしているアイデアにも脱帽です。

f:id:yamada0221:20210825114910j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/553168766724494575/

f:id:yamada0221:20210825115014j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/844776842589214428/

シルエットも物凄いことになっています。

f:id:yamada0221:20210825115153j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/826973550307090042/

 

 渡辺淳弥はヴィンテージマニア

そして、2003年春夏コレクション

 一見、なんだろう?と思われるかもしれません。

f:id:yamada0221:20210825213332j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/106116134952434600/

これ、実はこんな風にバックパックなどに使われるストラップを服の内外に配してシワを寄せたりシルエットに変化を付けたりしているのです。

f:id:yamada0221:20210825213358j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/650559108674884605/

f:id:yamada0221:20210825213247j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/230809549639527797/

コムデギャルソンの中の人に聞いたことがあるんですが、渡辺淳弥は大のヴィンテージマニア、中でもミリタリーやワークが大好物だそうです。このストラップのギミックも、ミリタリーアイテムからインスパイアを受けたのかもしれません。

f:id:yamada0221:20210825213310j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/106116134952434615/

オートクチュールなどのオーセンティックなレディスコレクションでは、終盤にマリエと呼ばれるウェディングドレスが登場するのですが、このコレクションのマリエ的なルックは圧巻でした。 エレガントなのに、ディテールはラフ。この対比は渡辺淳弥ならではだと思います。

f:id:yamada0221:20210825213727j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/106116134952434723/

f:id:yamada0221:20210825213820j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/106116134952434412/

f:id:yamada0221:20210825213752j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/106116134952434702/

f:id:yamada0221:20210825213128j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/106116134952434439/

こちらは2005年秋冬コレクション

f:id:yamada0221:20210825213607j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/411727590903249793/

バンジーコード(アウトドアブランドのバックパックなどに用いられる細い伸縮性のある紐)を使った、2003年春夏の発展型と呼べそうなコレクション。これも格好良かったです。

f:id:yamada0221:20210825213547j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/322500023319581680/

f:id:yamada0221:20210825213629j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/524669425324789958/

f:id:yamada0221:20210825212917j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/369717450653534844/

f:id:yamada0221:20210825212944j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/67483694404128724/

f:id:yamada0221:20210825213022j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/411727590903249789/

f:id:yamada0221:20210825213040j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/291748882113587521/

 

モード×アウトドアの嚆矢

お次は2004年秋冬コレクション

2021年の今、コンセプチュアルでモード色の強いブランドで、ダウンジャケットが登場することはそう珍しくありませんが、当時はかなり斬新でした。

f:id:yamada0221:20210825215739j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/523332419176907106/

f:id:yamada0221:20210825215626j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/454582156147780836/

特にこのルックのような、エレガントなケープとダウンジャケットをミックスしたアイテムに、当時の僕はかなり衝撃を受けたことをよく覚えています。

f:id:yamada0221:20210825215756j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/492862752940201116/

f:id:yamada0221:20210825215848j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/411727590903249338/

 

ジュンヤワタナベのキャリアNo.1シーズン 

もちろんあくまでも僕の個人的に、ですが2005年春夏が渡辺淳弥のキャリアの中で圧倒的にNo.1コレクションです。

一見金色のチェーンのように見えますが…

f:id:yamada0221:20210825214916j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/404479610283678452/

f:id:yamada0221:20210825214857j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/404479610283678438/

f:id:yamada0221:20210825214835j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/92675704815974500/

これ、全部ジッパーなんです。

f:id:yamada0221:20210825213931j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/456693218434680527/

f:id:yamada0221:20210825214635j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/411727590903249678/

f:id:yamada0221:20210825214610j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/249246160610350672/

実用品であるジッパーを装飾品に昇華するというアイデアが秀逸過ぎます。

f:id:yamada0221:20210825214554j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/404479610283678447/

f:id:yamada0221:20210825213851j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/307863324528557613/

 そして、そんなアイデアもさることながら、これを実現させたパタンナー、そして縫製工場は相当大変だったのではないでしょうか。

f:id:yamada0221:20210825214108j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/411727590903231133/

f:id:yamada0221:20210825215023j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/505458758176572783/

レディスブランドなので当然僕は着られないのですが、あまりに衝撃的なコレクションだったので、アクセサリーだけでも買おうかと思うくらいでした。

f:id:yamada0221:20210825214151j:plain

https://www.pinterest.jp/pin/71142869115039498/ 

残念ながら、このコレクションが発売されたときはフランスに住んでおり、日本製であるジュンヤワタナベの商品はフランスでは腰が抜けるくらい高価なので購入には至りませんでしたが…今なら買ってるかもしれませんね。 

約20年前のコレクションということで、記憶違いなどがあるかもしれません。お気付きの場合、ツイッターなどでお教えいただけると幸いです。

また、今回ご紹介した以外にも記憶から抜け落ちている傑作コレクションはある筈ですので、今後も思い出し次第随時ご紹介できたらと考えています。