僕がファッションにどっぷりハマったのは、川久保玲に出会ったからです。
時を経ても色褪せないコムデギャルソンの魅力
僕はコムデギャルソンにハマっていた約20年前の大学生のときに買った服や、それ以前のコレクションの服など、つくられてから20〜30年も経つコムデギャルソンの服を未だに愛用しています。
今日の服装。
— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」発売中 (@yamada0221) 2022年6月10日
神保町で古本ディグだったので、本屋さんで。
知人から譲って頂いた為、年代不明のギャルソンTシャツに、00sフセイン・チャラヤンパンツ。 pic.twitter.com/ikZv44BVeO
今日の服装。
— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」発売中 (@yamada0221) 2022年11月4日
90sプリュスのニットに、この秋ずっと穿いてるドッカーズのチノ、チープアシックス。
ニットは本来ベージュの部分がバイアスになってたんですが、洗ったらバイアスじゃなくなっちゃいました笑 pic.twitter.com/YRnrKZ7921
コムデギャルソンの服は時を経てもが魅力を失いません。
ユナイテッドアローズの創設メンバーのひとり、栗野宏文さんによるその理由に対する分析を、こちら↓の過去記事でご紹介しています。(強調引用者以下同)
日本でいうと、意外に聞こえるかもしれないけれど、川久保玲さんにはトラッドマインドを感じます。
先日発表された<コムデギャルソンオムプリュス>の最新コレクションがまさにそうでしたが、どんなに前衛的なことをやっていても、紳士服の基本は絶対に外さない。
ヒールのあるパンプスを履かせていたりするけれど、服そのものは、パターンから細部までとてもしっかりつくられている。
オムプリュスだけでなく、コムデギャルソンの服を僕は数多く持っていますが、どれもこれも実用可能なポケットがついています、
シャツは本縫いで仕立てられているし、ボタンも十字がけでつけられ、生地の柄合わせもされている。
もともとトラッドなものがお好きで、その大事な部分は維持しながら、解体し、再構築して新しいものにつくり変えている。
そういった川久保さんの姿勢に、僕はとても共感を覚えます。
ポイントは「紳士服の基本は絶対に外さない」ということ。
これと同じような話を、川久保玲自身が話しているインタビューを少し前に見つけました。
1993年男子専科、川久保玲インタビュー。オムについて。https://t.co/DPJvhM8c5l pic.twitter.com/jfXo2bacUY
— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」発売中 (@yamada0221) 2022年4月4日
「男子専科」1993年2月号。
誌名通り、メンズファッション誌ですが、「コム・デ・ギャルソンオム物語」という特集で川久保玲が珍しくメンズファッションについて語っています。
興味がある方は是非全文をお読み下さい。ここでは、僕が重要だと感じたポイントをピックアップします。
「基本は変えたくない」という思い
-メンズの服を作るときは、いかがですか?
「メンズに対しては、「基本は変えたくない」という思いがあります。
コム・デ・ギャルソンのメンズ服は、すべて男服の基本をベースにし、そこに時代の気分としての変化を盛り込んでいく、というやり方をしています。」
”男のおしゃれ”に対する誤解
-女性である川久保さんが、メンズの服を作ろうと思い立ったのは、なぜでしょうか。
「一つには、より多くの人にコム・デを楽しんでもらいたいというビジネス的な意図がありました。
けれど、どうしても自分が今、作りたいと思ったことの背景には、’70年代半ばからの、メンズ服のデザイナーズ・ブームがあります。
その頃、男性がおしゃれに目覚めた、というのは良かったのですが、とても間違ったものが、目についたのです。
必要以上にデザインしてあるものや、女性物のような服を着るのが”男のおしゃれ”であるというような誤解が、いやでした。
そこで、先程言った基本は基本である(変えるべきではない)という思いを込めて、作ったのです」
基本には忠実で味がある男服
-でも、単なる退屈な背広は作らなかった
「服というのは、とくに男のものは、本来その人が持っているパーソナリティがにじみ出てくるものであるべきだ、と思っています。
そういうふうに個性を表現するためには、型にはまったスーツでは、だめですよね。
基本には忠実で、しかもよそにはない味がある男服、というのが欲しいわけです」
男のファッションは個性が自然とにじみ出るのがかっこいい
-コム・デ・ギャルソンのメンズの服やポスターには、モデルではない普通の人がよく登場しますが。
「先ほども言いましたが、男のファッションというのは、着る人の持つ土台、つまり個性やパーソナリティが自然とにじみ出るのがかっこいい、と思うのです。
そういう意味もあって、メンズのパリコレには、よくモデルが本業ではない人-アーティストや音楽家-などの人にショーに出てもらっていますし、「6・1」の時もそうしました。
その人が持っているパワーが素晴らしいと、服もなぜかよく似合う。
しっかりと自分が表現できる人ということで、ある年齢以上の方たちに着てもらうことが多い。
でも、若い人でも何かを持っている人には似合いますね。オムの服は対象の年齢を決めずに作っていますが、着る方の年齢も本当に幅が広い。そういう点ではレディスと同じです」
コムデギャルソンが似合う「格好良い男」
なんと言うか、僕的にはもう共感することしきりの内容です。
特に、「男のファッションというのは、着る人の持つ土台、つまり個性やパーソナリティが自然とにじみ出るのがかっこいい」。
そして、それを実現させるのが「基本には忠実で、しかもよそにはない味がある男服」。
それが、コムデギャルソンの男服ということでしょう。
1990年代、コムデギャルソンオムプリュスのショーではジャン・ミッシェル・バスキアや、デニス・ホッパーなどのアーティストや俳優が登場していましたが、当時はこのようにモデル以外をファッションショーに起用することは極めて稀でした。
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川久保玲が語る「その人が持っているパワーが素晴らしいと、服もなぜかよく似合う」ということを、とてもはっきりと示していると思います。
そう言えばこの方が着ているのも、コムデギャルソン。とても格好良いですね。
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僕も、コムデギャルソンの服が似合うようなパワーが持てるようになれば、と思います。