山田耕史のファッションブログ

ファッションは生活であり、文化である。

オタクファッションは本当にダサいのか?

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先日こんな記事を読みました。

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スタイリスト祐真朋樹さんのインタビューです。SMAPをはじめとした芸能人やCM、ファッション誌のスタイリングを手掛けてきた、最も有名な男性スタイリストの1人です。

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僕が最もファッションに熱中していた2000年前後、夢中になって読んでいたMR、メンズノンノ、ポパイなどのファッション誌で祐真朋樹さんを見ない号はない程の活躍っぷりでした。例えばこちらは2000年6月号のMR。表紙を飾る、まだ幼さの残る松田龍平さんのスタイリングをしたのも祐真朋樹さんです。

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上掲のインタビュー記事のタイトルは「センスとは」。祐真朋樹さんは人の意見を聞いて判断することは大切だと話し、続けてこう語っています。(太字引用者)

ただ、そうはいいつつも、本当は自分が素直に『着たい』と思ったものを着たいわけです。となるともう、他人の意見などおかまいなしに、着倒すしかない。考えられるありとあらゆる方法で着てみるしかない。そうすることで初めて、『なんかそれ、いいね』って他人に認められたり、あの人のスタイルは面白いよねって思われたり、そういうことが起きるんじゃないでしょうか。

当ブログの記事で以前「自分の「好き」を追求しまくればいい」ということを書きましたが、図らずも祐真朋樹さんも同じ意見でした。

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祐真朋樹さんはこう続けます。(太字引用者)

そういう意味では、センスがいいとか悪いとか実は僕には正直わからないんです。語弊を恐れずにいえば、どっちでもいい。僕は僕しかいないわけだし、みんなそれぞれの感性があるわけです。“センスがいい”っていうのは一般論ですし、ある意味ざっくりとした平均値みたいなものですから。それが誰にでも通用するかどうかっていうのは、正直わからないですよね。

つまり、「ファッションに答えなんてない」ということでしょう。「この服を着ていれば格好良い」「こうやって着ればオシャレ」なんていう、万人に当てはまるファッションの方程式なんてありえないということです。

 

 オタクファッションは本当にダサいのか?

「オシャレ」とはなにか、については以前この記事で深掘りしてみました。

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そして、オシャレな人には3つの種類があるのではないかということを書きました。

・身だしなみがきちんとしている人

・他人からオシャレだと思われる人

・独自の個性がある人

祐真朋樹さんの言う「ざっくりとした平均値」は、僕が思う「他人からオシャレだと思われる人」と同義だと思います。

祐真朋樹さんは記事の最後にこう話しています。

彼女に似合わないと言われたけど、やっぱりこの服が好き。そう思うのであれば、周りの意見に負けないでとことん着るしかない。まあこういうことを言っていると、あまりモテませんけどね(笑)。

好きな服をとことん着ること。ここで1つ例を挙げて考えてみます。オタクファッション。この言葉を聞くと「あんな風なファッションね」と思い浮かぶ服装があると思います。Googleで検索するとこのような感じ。

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あと、オタクファッションと聞くとアニメキャラクターのグラフィックががっつりプリントされたTシャツを連想する人も少なくないでしょう。

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昔、脱オタクファッションガイドという本がベストセラーになったこともありました。

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オタクファッションとは脱すべきファッション。つまり、オタクファッションはダサい服装の代名詞とされていますが、果たしてそうでしょうか?

オタクファッションにはライフスタイルが反映されている

僕はオタクファッションはその人自身のライフスタイルが反映された素晴らしいファッションだと思います。

以前の記事でもご紹介しましたが、スタイリストのソニア・パークさんはこう語っています。

そこに”物語”がないとファッションじゃない!

生活の中で馴染んだものや使い込んできたものは、やっぱりおしゃれで説得力があると思いますね。意図してつくれるスタイルではないですから。

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オタクが着るアニメTシャツには物語がありまくりでしょうし、生活の中で馴染みまくっている服でしょう。 つまり、オタクファッションは「おしゃれで説得力がある」のです。

 

オタクファッションが嫌われる理由

とはいえ、世間一般でオタクファッションに好感を持っていない人が多いのも事実でしょう。これについては、2つの理由があると思います。

1つ目は清潔感。これはファッション以前の問題と言えるかもしれません。今ま散々指摘されてきたことですが、客観的に見てオタクファッションの人は髪やヒゲが伸び放題だったり、服の手入れがされていなかったりと清潔感に欠けることが多いと思います。清潔感に関しては上掲の記事の「身だしなみがきちんとしている人」の部分を読んで是非とも改善してもらえれば、自分も周りの人も幸せになると思います。

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そして、僕が考えるもう1つの理由が自信です。そう考えるきっかけになったのがこちらのnoteです。

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中学生の頃から「ハゲ」を気にし始めた男性の体験談です。

年齢が行くに従って、悩みは深刻になっていき、ハタチを越えたあたりからは、いつしかコンプレックスになっていった。

実は周りなんてヒトのことそんなに見ていないものだと後でわかるようにはなるのだが、そのころはまだ自意識過剰だったし、女の子の目が気になるお年頃でもあったから、しょっちゅう髪の毛のことを気にしていた。

まず、風に対して卑屈になった。
風が強いと、なんかコソコソする。外出もちょっと躊躇する。

そして、ヒトに髪が薄いと悟られぬよう、立ち位置や座る位置をこっそりと工夫する日々だった。

会議室には人より早く入り、壁際に「ヒトに後ろに立たれない席」を確保した。
イスに座っていて後ろに立たれると、マジで「殺意」を覚えた。

ですが、あるとき心機一転します。 

・・・イカン、卑屈だ。
人生がとても不自由だ。

と、思い切ってオールバックにしたのが20代後半だったか。

広いオデコを出し、同時に髭も生やした。
比較的童顔だったので、ものすごく勇気がいるイメージチェンジだった。

でもこれはナイスだった。
ハゲから逃げてない感じが周りからも好評だった。

んでもってモテた(笑)
女性はハゲが嫌いなのではなくて、ハゲをうじうじ気にする男が嫌いなんだ、と理解したのもこの頃(ハゲが嫌いな女性も一定数いるが)。

この女性はハゲが嫌いなのではなくて、ハゲをうじうじ気にする男が嫌いなんだという言葉は名言だと思います。

そしてここまで考え方が、がらりと変わります。 

で、そのまま40歳くらいまでオールバックでやっていたんだけど、全体的にハゲが進んできたので、一気にスキンヘッド(平たく言えばボウズ)にしたのが43歳。

見事に髪の毛から自由になったですね。
もうまったくハゲを気にしなくなった。

同時に周りの目も変わった。
ハゲが「弱点」から「個性」とか「生き方」へと変わった感じ。

逆に、ファッションを含めて、ハゲを前面に押し出すくらいになった。ほんのちょっと前まで弱点と思っていたことが「強み」や「売り」に変わった瞬間である。

 

自信があればアニメTシャツもその人らしいスタイルになる

これと同じことがオタクファッションにも言えるのでしょうか。要は自信。別に自分自身に自信を持つ必要はありません。ですが、アニメTシャツだろうがなんだろうが、自分がこれを着たいという思いがあって自信を持って着ていれば、それはその人らしい立派なスタイルになると思います。

アニメは今やメインカルチャーとなり、アニメTシャツを扱うファッショナブルな服屋も増え、いわゆるオタク以外にもアニメTシャツ着ている人は増えました。

例えばこんな↓人たち。普通に格好良いですよね。別に若いから、スタイルがいいから、美男美女だから格好良く見えているという要素もありますが、それが全てではないと思います。彼らはアニメTシャツを着ることに自信を持って着ているから格好良いのだと思います。

上掲noteで筆者が「ハゲが個性になる」と気付いたように、アニメTシャツも自信を持って着ることで個性になるのです。

今まで当ブログでは何度もご紹介してきましたが、ファッションを楽しむにあたって他人の目を過度に気にする必要はありません

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自分が好きと思うことを大切にすれば、自分のスタイルは自然と完成されます

 

誰もが自分らしさを持っている

ただ、問題は世の中に服の数が多過ぎて、何をどう選んだらいいのかわかりづらいこと。僕はこの選びづらさを解消したいと思っています。

僕がずっとオススメしている「普通の服」は料理で言うとご飯とお味噌汁みたいなもの。料理を始めるときに最初に学ぶ基本中の基本ですが、今までメンズカジュアルファッションの基本中の基本が語られることはほとんどありませんでした。www.yamadakoji.com

最近はツイッターでも「#普通のコーディネート」というハッシュタグでコーディネートの基本中の基本をご紹介しています。

twitter.com

そして、ファッションの選びづらさを解消するために考えたのが「ファッションのジャンル」です。

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料理ならイタリアン、中華、和食などジャンル分けが明確なので自分の好みのお店やメニューに簡単にアクセスできますが、ファッションはジャンル分けが明確ではないので自分の好みの服屋や服になかなかアクセスできません。僕はファッションのジャンル分けを明確にすることで、誰もが簡単に自分が求める服にアクセスできるようになればと思っています。

僕はファッションの正解を提示しようとは思いません。そもそもファッションに正解なんてありえないと思っていますし。誰もが持っている自分らしさを活かして服が選べる仕組みをつくることが僕の目標です。

 

最後までご覧いただきありがとうございました!