90年代を中心に、昔のファッション誌のアーカイブを兼ねてご紹介する企画、ファッションアーカイブ。
これまでの記事はこちらから。
今回でご紹介するのは、1996年9月10日号のPOPEYEです。
↓の記事でご紹介した、吉祥寺パルコで開催されている古本市で手に入れました。
特集の”賢く、安くオシャレする”に関しては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
1996年の2万円コーディネート
さて、今回ご紹介するのは、”賢く、安くオシャレする”特集の続き。
”必須アイテム2万円コーディネート術”というページです。
ページ冒頭の企画紹介文にはこうあります。
今、ファッションの主流はベイシックアイテムに戻っている。例えばウインドブレーカーやポロシャツ。そんな定番中の定番をシンプルに自然に着こなしたい。ここでは、いま大注目の人気アイテムとその代表的コーディネートを紹介。しかもシューズを除けば、総額2万円未満といううれしさ、お金をかけなくてもオシャレはできる!
”定番中の定番をシンプルに自然に着こなしたい”ということで、このページで提案されているのが1996年における比較的ベーシックなスタイルだと言えそうです。
スタイリストは、二村毅さん。
アイテム別の構成になっており、最初のアイテムはウインドブレーカー。そして、このページの面白いポイントのひとつがモデルです。↑のクレジットではモデルは”読者代表ポパイボーイズ”とありますが、写真のモチーフになっているスポーツやカルチャーに縁が深い人が主にモデルを務めているんです。こちらの方はサーファー。
提案されているのは”ホワイトジーンズと古着のTシャツを組み合わせてさわやかにコーディネート”というスタイル。
ピックアップされているウインドブレーカーは、NLB、スケートボード、サーフィン、スノーボードなどのスポーツとゆかりの深いブランド、デザインのもの。
ヒップホップに決めたいなら、ナイロンブルゾンだ
続いては、ナイロンブルゾン。”ヒップホップに決めたいなら、ナイロンブルゾンだ”というキャッチコピー通り、モデルはティーンズのDJ。似合ってますね。
着用しているのは最近はヴィンテージ価値も高まっている90年代のナイキのナイロンブルゾン。1996年の雑誌なので、現行ものの新品です。アースカラーのTシャツに、濃色のジーンズに合わせているコーディネートは、2022年の今着ても格好良さそう。
他にピックアップされているアイテムは、いかにも90年代な配色切り替えのリーボックやナイキなど。”コーディネートのコツは必ずルーズフィットのパンツに合わせること。オーバーサイズを腰ではくのが鉄則なのだ”とのこと。
LLBeanにウールリッチなどのオーセンティックなデザインのナイロンブルゾンも、色合いが90年代の雰囲気。
次のページ。ページ全体を眺めたとき、色合いがポップで楽しいですね。
ポロシャツ。”この春はストライプ、ボーダー柄を狙え”とのこと。”コーディネートはあくまでもシンプルに。ホワイトジーンズに合わせ、さわやかに着こなそう”。
ラコステ、フレッドペリー、ポロスポーツなどの定番ブランドに加え、ヤンキースのポロシャツという変わり種も。フレンチラコステは5,800円です。
なかなか見つからない良配色の90sラガーシャツ
続いてはラガーシャツ。モデルが着用してるのはラガーシャツの定番ブランド、バーバリアン。
バーバリアンのターコイズ×ネイビーのボーダー柄とか、今普通に欲しいですね。ラガーシャツは昨年あたりから気になっていて、古着屋でもチェックしているのですが、このようなナイスな配色のものにはなかなか出会えないんですよね。
めちゃくちゃ格好良い90sスケーター
さて、次はトレーナー。スウェットではなくトレーナーなんですが、このスタイル、めちゃくちゃ格好良くないですか?
モデルはスケボー歴4年の18歳。オーバーサイズのチャンピオンのスウェットに、ステューシーのホワイトデニムのショートパンツ、そしてエアウォークのブーツにはラインソックス。。スケートボードは本人私物。
これだけ格好良いのは、彼がイケメンだからということももちろんあるでしょうが、この服装が自身のカルチャーにマッチしているスタイルだから、という理由もあるでしょう。
多分、こういったカルチャーが背景にない人が真似しても、上っ面だけになってしまうので、彼みたいに格好良くはならないんでしょうね。
他にピックアップされているのは、チャンピオン、ディスカス、ギャップなどのアメリカのブランド。
次のページもポップで元気なカラー。
”春夏に必ず持っておきたいショートパンツ”。”合わせるならもちろんTシャツ。ここは思いっきりハデなTシャツを持ってこよう。写真の大川クンはテラービジョンのツアーTシャツでハードコア系に。スタイルによってチョイスせよ”。モデルの彼は”ギャングファッションが大好き”とのこと。具体的にどんなギャングファッションなのかはわかりませんが、ハードコア系のような男っぽいファッションと親和性は高いのでしょう。
テラービジョンってバンド、正直全然知りませんでした。こちらがこの雑誌と同じ1996年に発表された曲のようです。
グラミチじゃなくて、グラミッチ。4,400円。他はステューシー、ボルコム、ガールなどのスケーターブランドが中心。
↓の過去記事でもご紹介していますが、90年代、ハードコア系バンドはスケーターから多くの支持を集めていたそうです。ハードコア系バンドTシャツとスケーターブランドのショートパンツと馴染んで見えるのは、そういった理由もあるからでしょう。www.yamadakoji.com
DJ、Bボーイ、ダンサーの大好物ナイロンパンツ
最後は”クラブ系少年御用達”のナイロンパンツ。モデルの2人もはダンサー。似合っていて格好良いです。右のシカゴ・ブルズのスウェットの彼のブーツはティンバーランドでしょうか。
”DJ、Bボーイ、ダンサーの大好物がこのナイロンパンツ”で、ピックアップされているのはナイキやリーボックなどのスポーツブランド、コロンビアやパタゴニアといったアウトドアブランド。
ストリートカルチャーへの憧れ
今回ご紹介したページを見ていて強く感じたのが、自分が通ってこなかったストリートカルチャーへの憧れです。
当時高校生だった僕は、今回登場したような90年代のスポーツウェアを、部活などのスポーツシーンで着用していました。
僕はサーフィンやスケートボード、ダンスなどといったストリートカルチャーとは無縁でした。
そもそも、そんなシーンがあることすら、あの頃の僕は知らなかったかもしれません。
大人になってから、そういったシーンがあったことを知るようになります。
自分が体験した、部活メインの青春時代もそれはそれで楽しかったのですが、やはり自分が体験しなかったストリートカルチャーへの憧れは、今も変わらずに持ち続けています。
憧れ、というよりちょっとした劣等感なのかもしれません。
なので、このページに登場しているような、ストリートカルチャーにどっぷりとハマりこんでいるティーンズを見ると、羨ましく感じてしまうのです。
自分のカルチャーやライフスタイルを見つめ直してみる
以前からの持論でしたが、やっぱりその人のカルチャーやライフスタイルにマッチしている服装ってめちゃくちゃ格好良いと思います。
服装に必然性、説得力がありますから。
特に、このスケーターの彼のような格好良さは、どう逆立ちしたって僕には生み出せないでしょう。
ファッションと言うと、ブランドやトレンドなんかの話題が中心になってしまいますが、まずは自分のカルチャーやライフスタイルを見つめ直し、そこから服を選んでみるのも良いのではないでしょうか。