山田耕史のファッションブログ

ファッションは生活であり、文化である。

2020年代、日本はまた「新しいファッション」の発信地になれるのか。

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今回は、先日のこちらの記事の続編となっておりますので、未読の方は↓を先に読んでいただけるとありがたいです。

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90年代以降新しいファッションは生まれていない

で、↑で引用しているツイッターでの僕と井本さんのやり取りの後の、井本さんのツイートがこちら。 

ドレスコード展、僕も行きました。

先日の記事でもご紹介しましたが、デムナとはアヴァンギャルドな作風で人気のブランド、ヴェトモン創始者であり、現在はフランスを代表するラグジュアリーブランドであるバレンシアガのクリエイティブディレクターを務めるデムナ・ヴァザリアのこと。こちらはデムナが手掛けていた頃のヴェトモンのヴィジュアルです。

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そして、ミケーレは現在快進撃を続けるラグジュアリーブランド、グッチのクリエイティブディレクターであるアレッサンドロ・ミケーレのことです。

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現代のファッションは90年代ファッションの潮流の中にいる

リバイバルと編集の時代だった90年代を象徴する1人が、藤原ヒロシでしょう。その後世界のストリートファッションに大きな影響を与える「裏原系」のゴッドファーザーと言える存在です。

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そして、藤原ヒロシの「2号」である、A BATHING APEの創始者、NIGO

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ラグジュアリーブランドの雄ルイ・ヴィトンのメンズを率いるのは、藤原ヒロシやNIGOなどの影響を強く受けたであろう、ストリートファッション出身のヴァージル・アブロー。そしてルイ・ヴィトンの2020年春夏コレクションでNIGOとコラボレーションを果たしています。

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 裏原宿ブランドが生み出したといっても過言ではないコラボレーションという手法、そして何よりも90年代ファッションを象徴するNIGOをルイ・ヴィトンが選んだことは、井本さんが指摘するように、2020年の現代のファッションが、未だに1990年代ファッションの潮流の中にいることの証と言えるのではないでしょうか。

確かに第二次世界大戦後の50年代から90年代までは、それぞれの年代に生まれた独自のファッションがありました。ですが、井本さんが指摘するように00年代と10年代のファッションは過去のファッションのリバイバルと編集に終始しており、00年代と10年代に生まれた独自のファッションは見当たりません。

 

 

2020年代は何が起こる?

長くなってしまいましたが、先日の記事からの内容をまとめると以下のようになるかと思います。

・1980年代の「黒の衝撃」以降、モードで革命が起きていない

・1990年代の「裏原系」以降、ファッションで新しい手法が開発されていない

考えてみると、どちらも発信地は日本でした。

これに続く2000年代では、ZARAやH&Mなどのファストファッションブランドの浸透がファッション界のトピックに挙げられるでしょう。それまで特権階級(=金持ち)だけしか手に入れられなかった有名デザイナーによる最新デザインの服が、誰にでも手に入れられるようになりました。つまり、ファストファッションブランドがファッションを開放したと言えるでしょう。

有名デザイナーによる最新デザインの服が誰にでも、そしていつでも手に入るようにし、製品としてのクオリティも高めたのがユニクロです。↓の記事で詳しくご紹介していますが、僕はユニクロがファッションの民主化を完全に成し遂げたと考えています。

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2020年以降、モードでまた革命が起きるのか。ファッションで新しい手法が開発されるのか。これまでの実績から考えると、また日本が発信地になるかもしれません

折しもコロナ禍でコレクションの開催時期や、そもそもの存在意義が改めて考えなされている昨今。2020年代はファッションにおいて、激動の10年になることは確実でしょう。

この記事があなたのお役に立てば幸いです!