山田耕史のファッションブログ

ファッションは生活であり、文化である。

1981年のギャルソン・ヨウジの「黒の衝撃」が現時点で最後のモードの革命である件。

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先日、ふとモード系のオリジンってなんだろう?と思ってツイートしてみました。

 すると、座談会でもお馴染みの井本さんからリプライをいただきました。

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「いわゆるモード系」のオリジンはココ・シャネル?

ココ・シャネルは、当時モードでは考えられない色だった黒を持ち込み、革命を起こしました。こちらはシャネルの黒の服の代名詞である「little black dress」に身を包んだシャネル本人。

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「黒の衝撃」の衝撃度

コムデギャルソンがパリコレクションにデビューしたのが1981年。

翌年の1982年に、全身黒で穴が空いていたり、アシンメトリーだったりと、当時の主流だったファッションの価値観では考えられない服を発表しました。

そのインパクトの強さから、「黒の衝撃」と評されたコムデギャルソンとヨウジヤマモト。あまりのショッキングさに「原爆ルック」と名付けた欧米メディアもありました。

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2020年の今、↑のコムデギャルソンやヨウジヤマモトの作品を見ても特に新しさなんて感じられないかもしれません。

ですが、当時主流だったヨーロッパのデザイナーの作品はこんな雰囲気でした。

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鮮やかな色、くびれたウェストなど、いわゆる女性らしさを強調する作品が主流だった80年代初頭のファッション界。

そこに突如出現した全身黒でボロボロ(に見える)の服をまとったギャルソンとヨウジは相当衝撃的だったのでしょう。

こちらは1992年秋冬のコムデギャルソン。

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「リリス」と名付けられた、とても評価が高いコレクションで、コレクション全体に流れる禁欲的な雰囲気が今のいわゆるモード系の根底に流れるイメージのベースではないか、というのが僕の見解です。

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「黒の衝撃」以降「新しい発明」は生まれていない

ここ数年のヴェトモンのコレクションで、「珍奇」なものをピックアップしてみました笑。

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ミケーレが手掛けるグッチはこの生首コレクションがかなり話題になりましたね。

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このヴィジュアルも、もう何が何だか…という感じ笑。

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強烈なインパクトがあるコレクションで、現在のモードを代表する人気ブランドであるヴェトモンとグッチですが、井本さんの指摘の通り「新しい発明」があるかと言えば、そうではないでしょう。 

なもかも→なのかも

 

「いわゆるモード系」って実はクラシックなファッション?

「いわゆるモード系」って一般的には「時代の最先端」なファッションだというイメージも強そうですが、そのベースは40年前の「黒の衝撃」であり、もっと根本的に考えると100年前の「little black dress」の派生系だとすると、実は相当クラシックなファッションである、という考え方もできそうです。

「little black dress」の派生系が、今も先端的なファッションだと認識されるということは、ココ・シャネルが起こした革命が凄まじかったと言えるでしょうし、「little black dress」→「黒の衝撃」→「いわゆるモード系」に至るまで時代を超えて人気を集め続ける黒の求心力の強さにも驚かされます。 

黒についてはこちらの過去記事でもご紹介していますが、今後も更に研究していこうと思っています。黒という色はファッションにおいて相当特別な存在で、黒の魅力について理解が深まれば、当ブログでもよりわかりやすく服の選び方をご紹介できるのではないかと思っています。

www.yamadakoji.com

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