目次
- 僕の自転車人生
- 意外と知らない自転車の歴史
- 1970年代のジョギングカルチャー
- 新しいカルチャーとしての自転車
- クラシカルなウェアが目を引くツール・ド・フランス
- 80年代ならではの軽井沢ツーリング
- 林道には「ジョギングウェアが最適なり」
- フィッシングにはフィッシングベスト
- ロングツーリングには「パタゴニアのショーツ」
- ドルパンで自転車、キマリ!
- ポッケいっぱいのフィッシングベストがよろし
- 1981年のサイクルジャージ着こなし提案
- カジュアルウェア×自転車用シューズコーディネート
- 自転車×パステルカラープレッピー・トラッドスタイル
- 出前持ちの実用車を「洒落のめして」乗る
- 1981年の憧れ自転車メーカー
- なんとなく、クリスタルなサイクル・コース
先日下北沢で古着屋さん巡りをしていると、自転車のサイクルジャージを置いているお店が増えていることに気が付きました。
下北沢の古着屋さんで、サッカーやアメフトなどのスポーツトップスがあるラックの端に、自転車のサイクルジャージを置くところが増えてますね。
00s〜の新し目が多い印象。
ハーフジップや裾の絞りなど、カジュアルに着るにはなかなか難しいディテールが多いアイテムですが、果たして流行るでしょうか pic.twitter.com/msQOHnTXYF— 山田耕史 ファッションアーカイブ研究 (@yamada0221) 2023年8月10日
僕の自転車人生
僕は会社員時代、往復40キロの道のりをロードバイクで自転車通勤をしていました。
今は開店休業中ですが、ロードバイクに関するブログも書いていました。
このブログでもご紹介していますが、古着屋さんでサイクルジャージをディグっていたこともあります。
ですが、手に入れたサイクルジャージは基本的にロードバイクに乗るときにしか着ていませんでした。
明日はミーティングでロードバイク通勤ができる。最近は普通のTシャツで乗る事が多いけど、久し振りにサイクルジャージ着ようかな。 pic.twitter.com/5opQZiQFeA— 山田耕史 ファッションアーカイブ研究 (@yamada0221) 2017年7月30日
上掲のツイートのように、サイクルジャージをカジュアルファッションとして着用するのはアリかな?と思い、家にある資料を漁ってみると、ありましたありました。
自転車特集の「POPEYE」1981年5月25日号が。
僕が1歳だった今から42年前に提案されていた自転車カルチャー&ファッションを見てみると、かなり興味深い内容だったので、ご紹介します。
意外と知らない自転車の歴史
誌面のご紹介に入る前に、よく考えてみると意外と知らない自転車の歴史をその誕生から1981年までざっくりと見ていきましょう。
参考にしたのは自転車文化センターによる「自転車の歴史」という1991年に発行された小冊子です。
- 1790年 フランスのド・シブラック伯爵がハンドル固定で地面を両足で交互に蹴って走るセレリフェールを造る。
- 1813年 ドイツのカルル・ドライス伯爵がドライジーネを発明。木製で時速15キロで走った。
- 1839年 イギリスのカークパトリック・マクミランが後輪駆動による二輪車を発明。
- 1860年 フランスのピエール・ミショーが前輪駆動のミショー型自転車を発明。
- 1865〜1868年 ミショー型自転車が日本に初渡来したと推測される。
- 1968年 パリのサンクレールで最初の自転車レースが行われる。
- 1869年 イギリスのレイノルド、メイズの共同考案で鉄棒フレーム、木製車輪にゴムタイヤをくぎ止めしたファントムが公表される。
- 1869年 フランスのメイヤー、ギルメがチェーン伝動後輪駆動のセーフティ型自転車を造ったと言われる。
- 1870年 イギリスの自転車の父と呼ばれるジェームズ・スターレイがアリエルを発表。
- 1885年 ジェームズ・スターレイの甥のジャック・スターレイが、前後輪同型で現在のセーフティ型自転車の原型となるローバー号を造る。
https://artsandculture.google.com/asset/rover-safety-bicycle/UwFK0vrLghf-Nw
ローバー号はイギリスで人気となり、「ローバー自転車株式会社」が設立。その後1906年に「ローバー自動車株式会社」に名称変更し、自動車製造を手掛けるようになる。同社がアメリカのジープを参考に1848年に開発して大ヒットしたのが、汎用四輪駆動車ランドローバー。
https://www.pinterest.jp/pin/290200769754414304/
https://www.pinterest.jp/pin/300685712611825559/
- 1888年 イギリスのダンロップが空気入りタイヤを発明。
- 1890年 宮田製銃所において、日本初のセーフティ型自転車が試作される。
- 1896年 第1回オリンピックアテネ大会で自転車競技種目採用。以後毎回正式種目となる。
- 1901年 東京府下の自転車数約5,000台。
- 1903年 第1回ツール・ド・フランス開催。
https://www.pinterest.jp/pin/404338872796352495/
- 1913年 全国自転車保有台数487,076台。
- 1928年 全国自転車保有台数が500万台を超える。
- 1937年 自転車・部品・付属品の輸出実績が機械輸出のトップとなる。
- 1954年 第1次サイクリングブームが起きるが、スポーツ車の増産体制の不備と指導者不足で短期間に終わる。
- 1961年 スポーツ振興法が制定され、自転車旅行を野外活動として奨励。
- 1962年 モールトン小径車発売。
https://www.pinterest.jp/pin/830069775083769398/
- 1963年 黒塗り実用車から、カラフルな軽快車、スポーツ車へのイメージチェンジを目的に、自転車業界の共同PRが始まる。
- 1966年 スポーツ車の需要が高まり、多段変速機付き自転車の生産が急増。
- 1971年 アメリカサンタバーバラ市の住民ケン・コルスバンにより、バイコロジー(自転車のBikeと生態学・エコのEcologyとの合成語で、自転車が安全かつ快適に利用できる環境をつくることを目指す)が提唱され、日本にも広がる。
- 1972年 アメリカでBMX(バイシクル・モトクロス)が発表され、少年たちの間でブームが起きる。
https://www.pinterest.jp/pin/347058715048940252/
- 1973年 第一次オイルショックの影響により、年間自転車生産量が過去最高の941万台となる。
- 1976年 大都市の駅周辺の放置自転車が目立ち始める。
- 1977年 ベネズエラで開催された世界選手権自転車競技大会のプロスプリントレースで中野浩一が初優勝。(画像は1986年に世界選手権10連勝を達成したときのもの)
https://www.pinterest.jp/pin/430093833137369352/
1970年代のジョギングカルチャー
こうやって自転車の歴史を見てみると、1981年当時は自転車が移動手段、スポーツ、娯楽、産業として今よりも格段に重要だったことがわかります。
さて、ここから「POPEYE」1981年5月25日号のご紹介に入ります。
表紙にはアジのあるイラストと共に「ほら、自転車はジョギングシューズだろ!」というキャッチコピーが。1970年代後半から続いていたジョギングブームの影響が強く現れています。
70年代、ジョギングは新しいカルチャーでした。
1976年の創刊号をはじめとして、70年代の「POPEYE」ではジョギングが数多く特集され、ジョギングシューズやウェアなどの広告も多数掲載されていました。
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/h1006654427
その皮切りとなったのが、1970年に初開催されたニューヨークシティマラソンをはじめ、シカゴ、ボストン、ベルリンなどの大都市で、市民が参加するシティマラソン大会。
東京オリンピックから3年後の1967年、「円谷幸吉と走ろう」をキャッチフレーズに始まった青梅マラソンは、第10回となる1976年に初回の30倍となる5,517人が参加。
同年には走る仲間のスポーツマガジン『ランナーズ』が創刊。
同じ頃、ハワイで毎年開催されるホノルルマラソンに日本から参加することも人気となります。
そして、1981年には東京マラソンが開始されます。
参考:
このように、1981年当時はジョギングがカルチャーとして若者たちに浸透していた時代。
またこの頃の「POPEYE」はフリスビーやローラスケートなど、アメリカで人気のスポーツを次々と新しいカルチャーとして紹介します。
https://www.pinterest.jp/pin/251920172893963666/
https://www.pinterest.jp/pin/39758409202681247/
https://www.pinterest.jp/pin/140104238401879912/
今号の「POPEYE」の「ほら、自転車はジョギングシューズだろ!」というキャッチコピーは、ジョギングに続く新しいカルチャーとして自転車を提案したいという思いの現れだったのだと思われます。
この頃は様々なアクティビティが市民権を得ていく時代でした。トヨタのワンボックスカー、タウンエースの広告も、釣りを大きくフューチャー。
新しいカルチャーとしての自転車
そして特集です。
水着で自転車に乗る、インパクトのあるビジュアルの横には「西海岸では、人々はローラスケートを脱ぎ、テニスコートの裏にバンク・コースを作った…今や自転車なしに街は動かない」。ローラスケートやテニスに代わる新しいカルチャーとして自転車を提案したいという思いが如実に伝わってきます。
ロサンゼルスの自転車カルチャーの紹介です。「LAの海岸通りじゃもう、ローラスケートは古いんだと」「ちょいと前まではローラー人間に占領された感のあった、ヴェニスやハーモサといったLAのビーチ・シーン。ところが今や勢力分野図はガラリと変り、自転車天国と呼んでもいいぐらいサイクル人間がわんさといるんだ」。
「カリフォルニアの健康人間たちの自転車熱は高まる一方」。「健康」というのも、この頃のキーワード。そのために打ち込むのがスポーツでした。
「ただしスタイルはそこはそれLAだからして、ホレ、自由気ままでしょ」ということで、自転車ファッションにはこれといったトレンドはなく、十人十色を楽しんでいる模様です。
「LAの自転車人間をサポートする強力3店をご紹介だぞ」。
ロードバイクが中心です。
「顧客には、ジミー・カーターやチャールズ・ブロンソンなどなど」なお店も。
右ページの広告は宮田工業のもの。上掲で振り返った自転車の歴史に登場した、宮田製銃所の流れを組む企業です。
現在はミヤタサイクルとして、各種自転車を製造販売しています。
【MIYATA新製品ニュース】
MIYATA E-BIKEシリーズにインチューブバッテリーを採用したMTBモデル「RIDGE-RUNNER i 6180」を新発売!
アシストユニットはSHIMANO STEPS DU-E6180を採用、これまでのスポーティなライディングフィールはそのままに安定性を向上しました。https://t.co/1qLH57gOh5 pic.twitter.com/2asfiwimS8— ミヤタサイクル (@MIYATA_BIKES) 2022年12月27日
クラシカルなウェアが目を引くツール・ド・フランス
左ページは自転車レースの最高峰、ツール・ド・フランス特集。
「ツール・ド・フランスなしにヨーロッパに夏はやってこない」。
ツール・ド・フランスの概要紹介。
ウェアの色合いやフォントなどに時代を感じます。
子供が着ているトラックジャケットもクラシカル。
ちなみに最近のツール・ド・フランスはこんな感じです。
https://www.pinterest.jp/pin/19773685856056516/
https://www.pinterest.jp/pin/867294840724067166/
テニスウェアとして着用されているアディダスの色合いもレトロ。
ツール・ド・フランス以外のレース紹介。
現在では必須のヘルメットも、当時は着用義務はありませんでした。
今のものとは違い、比較的カジュアルファッションとも合わせやすいのが当時のサイクルジャージの特徴。「POPEYE」が提案する自転車ファッションは後々誌面に登場します。
左ページの次の特集、の前に右ページのサンキストの広告が気になります。
子供の頃によく見たこのTVCMの「サンキストつぶゼリ〜」というフレーズが強く心に残ってます。
テニスプレイヤー、ビヨン・ボルグがイメージキャラクターを務めていたんですね。
スポーツウォッチが当たるキャンペーン。非常に味わいのあるイラストです。
80年代ならではの軽井沢ツーリング
で、左ページの特集「東西南北ツーリングをやってみる たとえば軽井沢」がなかなか面白いんです。
いかにもearly80sなカラーのマツダのワンボックスカー、その名も「ウェスト・コースト」のルーフキャリアに自転車を乗せ、軽井沢へ。
このページでは軽井沢での1日目、2日目のプランを紹介。
まずは「軽く足を慣しに軽井沢の街を走って、おまけにテニス」。
メインはテニスということで、テニスウェアを着用。ポロシャツとショートパンツです。
自転車のフロント部分にラケットをホールドできる、「ラケットグリップ」というパーツ。こんなの初めて見たんですが、当時はポピュラーだったんでしょうか。
ラケットはフィラ。シューズはアディダス、ブルックス、ナイキ。
林道には「ジョギングウェアが最適なり」
次の日は「林道にチャレンジしてみる」。「ジョギングウェアが最適なり」。ということで、男性はタンクトップ、女性はポロシャツ。ボトムスはジョギングパンツでしょうか。
「ウェアもジョギングもんが最高だ。とにかく無駄なものは一切身につけず、ごくごく軽いスタイルです」。今ならヘルメットやグローブは当然のこと、こういった不整地ならプロテクターの装着も推奨されそうですが、当時は良くも悪くも自由だったようです。
ペンション前でのトレーニングウェアらしきショットも。やはり、色使いに時代性が強く出ています。
3日目、4日目。
フィッシングにはフィッシングベスト
3日目は「峠を超えて、フィッシング」。釣りです。
上掲のペンション前の写真と同じトレーニングウェアに、フィッシングベストを羽織ったコーディネート。
こちらもトレーニングウエアにフィッシングベストの組み合わせ。自転車で峠を超えるのは、前日と同じジョギングウェア。
ロングツーリングには「パタゴニアのショーツ」
最終日の4日目は「旧中山道へと探索のロングツーリング」。
「合計80kmのロングコース。これという急な勾配もなく、ほとんどフラットな道」」は、「サマーセーターやポロシャツ、それにラグビージャージーなんかとパタゴニアのショーツをなどを合せて、気分も爽快といきたいところだ」という服装。
ここに、パタゴニアというブランド名が出ているところが面白いですね。この「パタゴニアのショーツ」とはは、ブランド創業以来の銘品のスタンドアップショーツのことでしょうか。
右のベージュのショートパンツは、ちょっとそれっぽい雰囲気です。というかこのコーディネート、格好良いですね。
ドルパンで自転車、キマリ!
次ページは「もっと粋なサイクルジョガーになるんだ」という、ファッション性強めのページ。
「ドルパンで自転車、キマリ!」。
「去年あたりから、カリフォルニアの健康人間たちにバカうけしてるのが、このイルカ・マークのナイロン100%トランクス。今年はネガティブな色使いの新製品も出て、その人気はますます現在進行系なのであります。作っているのはカリフォルニアのドルフィン社。薄くて軽いナイロン使用なので、まるで、はいていないような開放感。ジョガーもローラースケーターも、そしてもち自転車乗りたちも、今やこいつでなくちゃ、夜も日も明けぬといったぐあい」という激推しっぷり。
このドルフィン、現在もアメリカで主に水着を製造するメーカーとして存続しているようです。
社史ページによると、ドルフィンはアメリカ軍のパラシュート製造メーカーとして創業されたそうです。
1941年 ペンシルベニア州シリントンに、アメリカ空軍の貨物用パラシュートを製造するレディング・エアシュート社として設立され、第二次世界大戦中、貨物用パラシュートと爆弾用パラシュートの主要サプライヤーのひとつとなる。
その後、ランジェリーやスイムウェア、トラックウェアも展開するようになり、1970年代終盤にはランニングブームの到来によりトラックウェアが急拡大。
1978年 ランニング/フィットネス市場が爆発的に拡大し、ドルフィンはトラックウェアのトップメーカーに。1980 - 1983々 無地とキャンディストライプのユニセックス2層トリコットショーツにより、ドルフィンのランニングとフィットネスは全国的な現象となる。
ドルフィンのショートパンツは、近年もの
ポッケいっぱいのフィッシングベストがよろし
サイクリングにスキー用のゴーグルという、かなり斬新な提案。
その横には「ポッケいっぱいのフィッシングベストがよろし」ということで、軽井沢ツーリングでも着用されていましたが、ここで紹介されているのは「<コロンビア>のアンプキュラ・ベスト」。
印刷で潰れていてディティールがよくわかりませんが、時代も考慮するとこのモデルが近いのではないかと思います。
「メーカーさん、大人用にも作ってください」というこの自転車、僕も小学生のときに乗ってました。
続き。
「街で走るんだから、こんな自転車があったらいいな」。
スニーカーはナイキ。
「パンツの裾留めもしっかりシャレなきゃ」。専用品だけでなく、テニス用のリストバンドやスキー用のスパッツを使うという提案。スニーカーはアディダスのカントリー。
「絶対に必要なサイクルバッグ」。現在もサイクルバッグメーカーとして存続しているオストリッチのアイテムも。
その次も同じ特集。
「布1枚とあなどるなかれのバンダナ活用法なり」。男性が着ている黄色のサイクルジャージはプーマ製。軽井沢のページに登場していた、ラケットをつけられるホルダーも紹介されています。今もあるアウトドアショップ、好日山荘で販売されていたようです。
現在の呼称はサイクルキャップが主流ですが、当時はレーシングキャップと呼ばれていたようです。。ジオスやビアンキ、カンパニョーロといった今も人気のメーカーのもの。
ネイビのシューズは「コーデュラ・ナイロンをアッパーに使っている<ル・コック・スポルティフ>」。
右ページ、今はなき電機メーカーであるサンヨーの「ラジカセからマイクロテレコが飛び出した」はウォークマンの前身的製品ということでしょうか。
モノクロページは、自転車のマナーについて。
「子どもたちの天国<サイクルスポーツセンター>で自転車をマジに遊ぶ」。そういや僕も小さい頃、こういうおもしろ自転車が沢山ある施設で遊んだ気がします。
「近代ロードレースが生んだ5人の鉄人レーサー」
1981年のサイクルジャージ着こなし提案
カラーページは「ちゃんとした自転車乗りになるためのちゃんとした服装術」。来ましたよ、ファッション提案のページです。
一見、全員が全身サイクルウェアのガチな自転車コーディネートに見えますが、実は「POPEYE」ならではのひねりが加えられています。
一番手前の男性と女性が着用しているのは、ラグビーウェアブランドのカンタベリーのパンツ。つまり、自転車×ラグビーのスポーツミックスコーディネートです。(一般的な「スポーツミックス」とは意味合いが違いますけど)
次ページは、よりサイクルウェア比率を下げ、カジュアル色を強くした提案。
「名前だらけのロードシャツを正々堂々と着ちゃえ!」という、サイクルジャージーとカジュアルウェアのミックスコーディネート提案。
右の女性が着用しているグリーンのジョッパーズパンツは当時人気だったドイツブランド、クローズドのもの。
クローズドは1980年代中盤に訪れたDCブランドブームのときのパンツのデザインにも大きな影響を与えています。その事に関しては、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。
当時のサイクルジャージは「素材はほとんどがウール」だったので、今もサイクルジャージよりも一般的なカジュアルウェアとの相性が良いのでしょう。
ですが、「レーシングショーツをば街でゴンゴンはいてしまうのじゃ」は、かなりハードが高いかと。
カジュアルウェア×自転車用シューズコーディネート
お次は自転車用の小物とカジュアルウェアとのコーディネート。
「ファッションアイテムとしてもご注目がこの<ピエトロ>のツーリングシューズ」。
デット・ピエトロ社は1895年にイタリアのミラノで創業。現在もサイクルシューズを販売しているようです。
ですが、現在は自転車が主力商品になっている模様です。
シディは今もゴリッゴリのアスリート向けサイクルシューズブランド。
オートバイのシューズも手掛けています。
ページ下部には、こういったファッションにマッチする自転車が提案されています。レース用であるロードレーサーや、ツーリング用のランドナーなどの、スポーティなタイプ。
フジ、ブリジストン、ナショナルなどの日本ブランドからピックアップされています。
自転車×パステルカラープレッピー・トラッドスタイル
次ページで提案されているコーディネートには、サイクルウェアなどは使われていません。
まず右ページは、プレッピースタイル。
「このところ、アメリカの「GQ」誌などにパステルカラーの服がたくさん登場してるのだ。ラルフ・ローレン。アレキサンダー・ジュリアン、アラン・フラッサーといった有名どころがパステルに夢中だし、イギリスはコーギーとかロバートソンといったガッチリトラッドのニット屋さんもパステルのコットン・セーターをゴンゴン出してる。ひと昔まえなら女のコの色と思われていたパステルが、今春のメンズウェアで主流になりそうないきおいだ。で、このパステルの服たちは、軽く街を自転車で流すなんてのには気分ぴったりなんだな」という流れでの、パステルカラーの提案です。
パステルカラーコーディネートに合わせる自転車は、ランドナーと同じくツーリング用のスポルティーフ。
出前持ちの実用車を「洒落のめして」乗る
「いちばんの洒落車は実用車であることに気がついた」。実用車とは「ようするに、出前持ちが乗ってたりするあれ」で、「ピカピカに磨きあげた実用車をば優雅に乗り回す。これぞ洒落のめす精神だと思うからであります」とのこと。まぁいわゆる「一周回って」的な提案ですね。
ブラックウォッチのテーラードジャケットにスラックス、タッセルローファーのシューズはイギリスの老舗シューズメーカー、グレンソン。
1981年の憧れ自転車メーカー
次は自転車の紹介。「ジョギシュー代りとはいかないが、絶対知っておくべき一流モノ」。ワンランク上の、憧れの自転車メーカーの紹介ページといったところでしょう。
筆頭はチネリ。
現在もトップメーカーとして、ツール・ド・フランスなどにレース車を供給するコルナゴ。
次ページ。
カンパニョーロの解説では「現在、日本やフランスの部品はカンパニョーロに肉薄しているけど、それはあくまでも部分的であって、総合的にはカンパニョーロを超えるところまではいっていない」とされています。
ですが、今は日本のシマノがその座に着いています。
イタリアのブランド、デ・ローザ。中野浩一さんもデ・ローザを使っていたのは、知りませんでした。
こちらは現在のデ・ローザ。僕的には今のデ・ローザは高級ブランドというイメージが強いのですが、1981年当時は高い技術力で知られていたようです。
イギリスのサドルメーカー、ブルックス。
オーセンティックなレザーサドルが今も変わらず人気のブランドです。
モノクロページは競輪学校について。
「知っておかなければ損する…7店」。
こちらの神金自動車商会は今も営業しており、以前僕もロードバイクを買うときに訪れたことがあります。
阿佐ヶ谷のフレンド商会も行った記憶が。
メンテナンス。
上述の自転車の歴史を書くときに参考にしたのが、この自転車文化センターの書籍でした。
今もあります。「自転車に関する書籍約11,500冊をはじめ、希少な歴史的自転車、部品やポスターなど自転車に関する資料を所蔵しています」とのこと。一度訪れてみたいですね。
なんとなく、クリスタルなサイクル・コース
東京のおすすめサイクル・コース。
もちろん通りの名前は今とは変わらないものの、42年前なのでピックアップされているお店は時代を感じるところばかり。
この「クリスタル・コース」の由来は田中康夫さんの小説「なんとなく、クリスタル」でしょう。当時の人気ブランドが数多く登場する内容にちなんで、ポール・スチュアートやブルックス・ブラザーズ、ボートハウスなどの人気ブランドのショップを通るコースです。
「TOKYO1周コース」。これだけ回っても36.5km。東京って狭い街なんだなぁ、と感じます。
最後は「多摩川サイクリングロード」。この辺り、僕がロードバイク通勤をしていたときに走っていたところも含まれています。川沿いなので気持ちがいいんですが、たまに虫が頭にぶつかったり、口の中に入ったりすることがあるので、お気をつけて。
ということで、自転車特集は以上です。
おまけに、自転車が登場している広告ページをご紹介します。
UCLAシューズ。
UCLAシューズを製造したいたのは月星化成。そう、現在のムーンスターです。
こちらは日立の企業広告。
今でも通用しそうな、クールな広告です。
ということで、今回は以上です。