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スタイリスト小沢宏さんの言葉
少し前ですが、僕のツイートの中では割と話題になったこちらのお話。
「極端な話、似合ってないのも面白い、って思えるくらいなのがファッションってもんじゃなかろうか。」
— 山田耕史 ファッションアーカイブ研究 (@yamada0221) 2023年7月10日
ベテランスタイリスト、小沢宏さんのお話。
めっちゃよくわかる。 pic.twitter.com/9jcIC3Eg3r
スタイリストの小沢宏さんについては、以前こちらの記事でもご紹介しました。セレクトショップの眠った在庫を買い付けて販売する「エディトリアルストア」というショップを2022年から長野県で運営しています。
ベテランスタイリストで、現在は長野でセレクトショップも運営している小沢宏さんのインスタが面白いです。
— 山田耕史 ファッションアーカイブ研究 (@yamada0221) 2023年2月3日
服をどうやって着こなすか、その試行錯誤をスタイリストがセルフスタイリングで言語化しているのって、かなりレア。
参考になる人も少なくないのではと思います。 pic.twitter.com/pOqXi0vNSM
で、冒頭の僕のツイートは、こちらの小沢宏さんのインスタグラムから引用しました。
改めて、全文引用します。(強調引用者以下同)
「思い込み」はファッションの楽しさを減退させる。
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「自分はこういう体型だから」「こういう色・シルエットは似合わないから」という思い込みや先入観、幅の狭い経験値はファッションの楽しさを目減りさせるってお話しです。
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① 【ソフトハイフン】 @softhyphen の短丈シャツを購入したんです。でも短丈モノは若者の特権的アイテム、腹出ししておへそ見せて腹筋強調して…。って生まれてこのかた「健康優良児🔁肥満児」のみの僕にとっては、買ってはみたもの正直お手上げなシャツだったんです。
でも普通に白T着てその上に羽織ってみたら「アレっ?」鏡の前でチェックしたら上半身マッチョというか、くびれウエストというか。視覚効果で僕のワガママお腹が全く目立たないという結果になっているじゃあありませんか。
② 後ろから見てもあんまり気にならない。
③ この前買ったボッテガ @newbottega のハンパ丈ショートパンツ。これは別の機会にゆっくり語ります。
④ ロンドンでも着てみたんです。でも、その時はロング丈のシャツを裾出しして上から段階シャツ羽織っただけ。あんまり納得いくスタイリングじゃなかった。
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というワケで思い込みは良くないよ、ってお話しでした。あんまり良く知らないけど「骨格診断」とか「カラーリスト」とかあるじゃないですか。ああいうのもそもそも信じてない、って言うか、ファッションの幅を自ら狭めてるとしか思えない。極端な話、似合ってないのも面白い、って思えるくらいなのがファッションってもんじゃなかろうか。
目から鱗、そしてその後すぐに強い共感の思いが湧き上がってきました。
特にツイートでもご紹介した「極端な話、似合ってないのも面白い、って思えるくらいなのがファッションってもんじゃなかろうか」という部分。
確かに、ファッション=似合っていないといけない、なんて決められていません。
子供みたいな言い草ですが、「そんな法律はない」んです。
似合わないと思うから着られない服
もちろん、ファッション=似合っていないといけない、という考え方を否定する訳ではありません。
と言うか、似合っているに越したことはないでしょう。
ですが、似合っていないことを面白がれるくらい柔軟な姿勢のほうがファッションは楽しめるんじゃないかと思うんです。
基本的に僕は、「着たい服を着ることがオシャレ」だと思っています。
ですが、そんな僕も自分が着たい服ばかりを着ている訳ではありません。
着たい気持ちはあるけれど、似合わないと思うから着られない服というのも、少なからず存在します。
例えば、ヴィヴィアン・ウエストウッドやクリストファー・ネメス。
うわーネメスですよネメス!ヴィヴィアンと同じく、手を出せなかったある意味憧れのブランドでしたねー。やっぱりいいですが、流石に今の年齢でこれを穿けるキャラクターは持ち合わせていませんねー。https://t.co/LbZ4GW6zOf#今日のBIG2nd pic.twitter.com/MRgGxq4Dg7
— 山田耕史 ファッションアーカイブ研究 (@yamada0221) 2019年8月7日
全身ヴィヴィアン、今も憧れあるなぁ… https://t.co/JbZgl2ots9
— 山田耕史 ファッションアーカイブ研究 (@yamada0221) 2021年2月1日
僕が10代の頃に憧れていたアヴァンギャルドなデザイナーズブランドは、自分的に「似合わないと思うから着られない服」の筆頭です。
似合うか似合わないなんて関係ない
3年前に、こんな記事を書きました。
日本のメンズファッションの礎となったVANの創業者、石津謙介さんの言葉です。
確かに、最初に帽子を被ったときは、果たしてこの帽子、オレに似合ってるんだろうか?人が変だと思ってないだろうか?なんて、自分が帽子を被っていることを意識してしまう。要するに、帽子を被った自分に自信が持てない。自分が意識するくらいだから、人もそれを意識してしまう。
じゃ、どうすればいいかって?
それはね、とにかく常に帽子を被って外へ出ること。似合うか似合わないなんて関係ない。とにかく、いつも帽子を被っているということを人に印象付けることが大切。そうすれば、周りも、ああ、あの人は帽子が好きなんだなと思うようになる。そこまでいけばもう大丈夫。そのうちに、たまに無帽で外に出ると「あれ、今日、帽子なし?」なんていわれるようになる。ここまでくると、帽子は、例えば、チャーチルやチャップリンの山高帽、シャーロック・ホームズの鹿打帽(ディア・ストーカー)、ジョン・ウェインのテン・ガロン・ハットのように、その人の顔、全体像、さらには人格そのものと合体してしまう。
「似合うか似合わないなんて関係ない」
「人に印象付けることが大切」
これは、服にも同じことが言えるでしょう。
もし、自分が心から着たいと思う服があれば臆することなく着て、その服を着ている自分を人に印象付けてしまえばいいのです。
僕の書籍にも書きましたが、少なくとも「一般的なお店で普通に売られている服ならば、自信を持って着て良い」と思います。
そう言えばと思って、僕の書籍「結局、男の服は普通がいい」を読み返してみました。
— 山田耕史 ファッションアーカイブ研究 (@yamada0221) July 11, 2023
「似合う、似合わないは慣れの問題」
「一般的なお店で普通に売られている服ならば、自信を持って着て良い」
うん、なかなかいいこと書いているじゃないですか笑https://t.co/uBXBJIAxH4 pic.twitter.com/g8Qdlw4ozF
もちろん、周囲への配慮は必須です。
最低限の清潔感やTPOを踏まえた上で。
たかがファッション楽しんだもん勝ち
自分の着たい服を着る。
もしかしたら、「似合ってない」と言われるかもしれません。
そんなときに、「えーそう?でも面白いでしょ?」なんて言えるくらいの心の余裕があれば、怖いものなんてないでしょう。
たかがファッション。
楽しんだもん勝ちです。