VANの創業者、石津謙介。
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洋服と言えば学生は学生服、大人は背広しか存在しなかった第二次世界大戦後の日本で、メンズファッションをゼロから築いた人物です。これといった明文化されたルールが存在しないメンズファッションの拠り所となる、ゴッドファーザー的存在だと思っています。当ブログではこれまで石津謙介の著作などを何度もご紹介してきました。
最近また、石津謙介についての書籍をいくつか読んだのですが、こちら書籍のなかでとても面白かった一節があったのでご紹介します。
人から意識されたらおしゃれがなっていない
石津謙介が語った言葉だそうです。(強調は引用者)
戦後、だんだん帽子を被ることが廃れてきて、それじゃ困るってんで、全国の帽子組合が「帽子は一番目立つもの」という標語を作って一大キャンペーンを張ったことがある。でも、これは間違い。帽子ってものは、目立っちゃいけない。あ、あの人は帽子を被ってるなって、人から意識されたらそれはその人のおしゃれがなってないっていうこと。つまり、それは帽子を被ってるんじゃなくて、帽子に被られているってこと。
帽子についての言葉ですが、帽子に限らずあらゆる服に対しても同じ事が言えるのではないでしょうか。
今もファッション誌を眺めると、人と違った、目立つデザインの服を着ることがお洒落という価値観を植え付けようと躍起になっていることが伺えますが、ゴッドファーザー石津謙介は「人から意識されたらおしゃれがなっていない」と語ります。
似合うか似合わないなんて関係ない
そして、その一節に続くのがこちら。
確かに、最初に帽子を被ったときは、果たしてこの帽子、オレに似合ってるんだろうか?人が変だと思ってないだろうか?なんて、自分が帽子を被っていることを意識してしまう。要するに、帽子を被った自分に自信が持てない。自分が意識するくらいだから、人もそれを意識してしまう。
じゃ、どうすればいいかって?
それはね、とにかく常に帽子を被って外へ出ること。似合うか似合わないなんて関係ない。とにかく、いつも帽子を被っているということを人に印象付けることが大切。そうすれば、周りも、ああ、あの人は帽子が好きなんだなと思うようになる。そこまでいけばもう大丈夫。そのうちに、たまに無帽で外に出ると「あれ、今日、帽子なし?」なんていわれるようになる。ここまでくると、帽子は、例えば、チャーチルやチャップリンの山高帽、シャーロック・ホームズの鹿打帽(ディア・ストーカー)、ジョン・ウェインのテン・ガロン・ハットのように、その人の顔、全体像、さらには人格そのものと合体してしまう。
似合うか似合わないなんて関係ない。とにかく、いつも帽子を被っているということを人に印象付けることが大切。
これ、以前の記事で同じ事を書いているんです。
この記事で、僕は自分の経験を通して考えたことをご紹介しています。
この体験を通して僕は「似合わない服なんて存在しない」という仮説を考えました。
自分も他人も「似合わない」と思う服は見慣れていないだけではないでしょうか。
最初は違和感があってもそれは見慣れていないだけで、着続けて目が慣れていけばそのうち似合うようになることもあるのです。
この時は、僕自身のパーソナルな経験から導き出した考えなので、「仮説」と表現しましたが、全く同じ事をゴッドファーザーである石津謙介が言っているのなら、もう仮設でも説でもなく、答えとしてしまっていいでしょう笑。
似合う、似合わないなんて存在しないのです。
着てみたい服があったら、どんどん挑戦しましょう。
どんな服でも、着続ければ自分そのものになるんです。
もちろん、清潔感はマスト。
TPOはわきまえて。
TPOを提唱したのも石津謙介です。Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場合)の頭文字で、服装選びの基本は時間と場所と場合に合わせる、ということです。
石津謙介の言葉は他にも興味深いものがたくさんあるので、これからもご紹介していくつもりです。
この記事があなたのお役に立てれば幸いです!