前回に引き続き、メンズノンノ1998年8月号。をご紹介していきます。
パリ、ロンドン、東京の一般人のスナップに続き、東京の業界人スナップ。最初はモデル。
伊勢谷友介さん。右側の白人モデルさんが着ているアン・ドゥムルメステールの”holy”タンクトップは当時の人気アイテムでした。
デザイナーやスタイリストなどなど。
三原康裕さんやFPM(ファンタスティック・プラスティック・マシーン)田中知之さん。
祐真朋樹さん。
ムースやワックスなどのヘアスタイリング剤を展開しているボルティというブランド。…こんなの、ありましたっけ。見た記憶がありません。
安い服=古着一択だった時代の古着特集
古着特集。”安く賢く!古着使いでおしゃれが変わる”。1999年はまだファストファッションという概念はありませんでした。ユニクロの存在はフリースの大ヒットで知られるようにはなりましたが、商品の多くはまだまだオシャレとは言えないレベル。なので、安い服=ほぼ古着一択というのが当時の状況でした。
オリーブ色のタンクトップ。
ユーロ系古着の人気を確立させたセレクトショップ、ナンバー44の商品です。
メンズノンノということで、モード風味が強い70s。
前回の記事でもご紹介したように、古着とデザイナーズブランドとのミックスコーディネートが中心です。
「ノストラダムスの大予言」がファッションに与えた影響
”Tシャツ・カタログ最終戦”。”大阪に負けじと、東京インディーズのパワーが全開!”ということで、確かに当時は大阪のインディーズブランドが個店系セレクトショップで沢山展開されていた記憶があります。
この号は当時僕も持っていたのですが、この血飛沫のようなペンキプリントは真似して自分で同じようなのを作ったような気がします。
そして、僕が当時使っていた眼鏡、こちらのポーカーフェイスという関西を中心に展開していたメガネショップのオリジナルの色違いだったと思います。伊達メガネだったんですよね…頑張ってオシャレしてました笑
だいたい3,800円〜5,800円が中心価格帯でしょうか。今よりも総じてお手頃。
今、人気の音楽T。ここらへんも高騰したりするんでしょうか。
オレンジや黄色など、目立つボディ色のTシャツも時代を感じさせます。
そして、特に時代感が出ているのがこちらの”世紀末”。
1973年に発売された「ノストラダムスの大予言」という書籍で”1999年7の月に人類が滅亡する”という解釈が掲載され、その本は大ブームとなりました。オカルトブームのさきがけとなり、その後地下鉄サリン事件などを引き起こしたオウム真理教などが人気を集める遠因になったという指摘もされるなど、日本のカルチャーに大きな影響を及ぼしました。その一端が、こうやってメンズノンノにも見られるのです。
今振り返ってみると、20471120やビューティービースト、アンダーカバーなどの当時の日本のデザイナーズブランドは、どこかちょっと暗さを感じる、怖いような、おどろおどろしいような雰囲気が強かったように思います。
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2021年現在、当時の日本のデザイナーズブランドが海外で高い評価を得、アーカイブが売買されていますが、その理由のひとつがこのような暗さを内包した個性的な世界観であることは、ほぼ間違いないと思います。
そう考えてみると、「ノストラダムスの大予言」が日本人デザイナーズブランドの個性を作り上げる一助となった、と言えるのではないでしょうか。…ちょっと大袈裟ですかね?でも、全くの無関係とは思えないので、ここらへんのテーマは今後も引き続き研究していきたいです。
ヴェルディ→ワコマリア→うどん屋さん
”クールにキメろ!今から狙うスポーツ・アイテム”。右ページ、ナイキにスウッシュロゴTシャツに合わせているのは、当時人気だったブリコのサングラス。左ページのチャンピオンのスウェットブルゾンは”野暮一歩手前の素朴さがいい”と紹介されています。
Tシャツページにもありましたが、FOXなどのBMXウェアも当時雑誌に頻繁に登場していました。左ページ左のモデルは、読売ベルディの石塚啓次選手。
引退後、ファッションブランドのワコマリアを立ち上げ人気となりましたが、現在はスペインでうどん屋さんを営みながら、ファッションブランドも展開されているようです。
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アウトドア、サーフィン。
アウトドアは今とは違い、くすんだ色合いが90年代な感じ。
グレーのパンツはグラミチ。右のベージュにオレンジの差し色が目を引くスニーカーはアディダスの名作、バッドランダー。
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サクセス広告。
右ページ、ラシーンの広告の雰囲気が良いですね。
”夏のバーゲン完全日程表”。トランスコンチネンツの店舗数が多いですね。当時は神戸の旧居留地にもお店があったと思うんですが、この一覧には載っていませんでした。
個店系セレクトショップやデザイナーズブランドなど。
大阪のチットチャットチョット、懐かしいですね。ヴィヴィアン・ウエストウッドやヘルムート・ラングなどの人気デザイナーズブランドを扱っていました。
左ページ、メニコン広告。河村隆一さん。
ファッションクリップス。
ヘルムート・ラング・シャツなんてブランドがあったんですね。当時、ヘルムート・ラング・アンダーウェアというライセンスブランドはありましたが、シャツは初見です。問い合わせ先がバス・ストップで、価格から考えてもライセンスブランドではなさそうです。短命に終わったのでしょうか。
先程も登場していた、ナンバー44のオリジナルトートバッグ。こういったミリタリーテイストながら、上品な印象のトートバッグなんてものも、当時は非常に新鮮でした。
右ページ、シャネル広告。
左ページ、”今月のスニーカー”はベージュ。ヘンプ素材のプーマはちょっと気になります。
右ページ、ソニーのヘッドホン広告。写真もいいですが、”レディは髪がくずれたら、もう出かけません”というキャッチコピーもいいですね。
雑貨。
右ページ、ロレアルブリーチ広告、伊勢谷友介さん。
右ページ、カシオG-SHOCK広告はクラブ。左ページ、餃子。
宇明家を調べてみたら、ラーメン屋さんがヒット。これは関係あるんでしょうか。渋谷の飛龍は見つかりませんでした。
左ページ、DJ DRAGONの古着連載。右ページ、カシオのMETAはトマトとのコラボ。
トマトは当時大人気だったロンドンのデザイン集団で、アンダーワールドの2人も創立メンバーに名を連ねています。トマトは1996年公開の映画、トレインスポッティングで名を馳せ、当時はファッション誌にもよく登場していました。
忘れられた?カシオの名作腕時計META
G-SHOCKやデータバンクなど、カシオの腕時計の人気が特に高かった90年代。おそらくMETAも同じようにファッションユーザーをターゲットとして企画されたのだと思いますが、あまりパッとしなかった印象…というか、このページを見るまで僕は存在すら忘れていました。当時のいきさつはわかりませんが、もしかしたら、セイコーのスプーンのヒットを受けてカシオが開発したのがMETAなのかもしれません。今改めて見ると、いかにも90年代のガラパゴス的進化を遂げた日本のデザインで、今だと海外から評価を受けるのではないでしょうか。
【中古】CASIO◆カシオ/ME-100/クォーツ腕時計/デジタル/META/ス...
【中古】CASIO◆腕時計/デジタル/ステンレス/SLV/SLV/META/ME...
”今月のカルチャー”。フジロックフェスティバルは第2回目。ビョーク、プロディジー、プライマル・スクリームなどなど。
イケてたソニーのデザイン
右ページ、ソニー広告。奥菜恵さんのボイスレターが入ったICレコーダーのプレゼント。ICレコーダーは漫画の吹き出しがイメージソースでしょうか?ボイスバルーンという商品名なので、風船かもしれませんが。ポップな色合いも含め、良いデザインですね。左ページはセイコーアルバの腕時計、スプーン。これよりかは、さっきのMETAの方がデザイン的には好きだなぁと思います。
ソニーウォークマン広告。このシャトル型のコントローラーのウォークマンは、当時僕も使っていました。文字情報が表示されるMDというメディアの特性も活かした、完成度の高いコントローラーだったと思います。
続けてソニー広告。こちらはカセットのウォークマン。挑戦的なデザインと配色。
次回に続きます。