山田耕史のファッションブログ

ファッションは生活であり、文化である。

新宿歌舞伎町「トー横」は令和の若者ファッションの聖地になるかも。

こんにちは。兼業主夫/ファッションアナリスト/ワークマン公認アンバサダーの山田耕史(@yamada0221)です。
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先日読んで興味深かったので、ツイッターでもご紹介したこちらの記事。

内容は「トー横キッズ」と呼ばれる、新宿歌舞伎町にたむろする10代の若者について。大まかな内容を記事から抜粋してご紹介します。(強調引用者)

「ゴジラのオブジェで有名な新宿TOHOビルの東側の路地とその周辺にたむろする10代の若者たちのことです。2018年頃から自然発生的に増えはじめ、ここ1〜2年は毎日、数十人の似たようなファッションの子たちが深夜まで集い、おしゃべりをしたり、お酒を飲んで騒いだりするようになって注目を集めるようになりました」

ここで指摘されている「トー横キッズ」のファッションが特に興味深いのです。

下は12歳くらいから、上は18、19歳くらいまでがメイン層。普段は普通に学校に通っている子もいれば、家出して安ホテルやネカフェに住み着いているような子もいます。歌舞伎町というとヤクザとかヤンキー、半グレといったイメージを抱く人が多いかもしれませんが、そうした昭和から平成までのステレオタイプな不良像みたいなタイプとは見た目からして全然違います

 

昭和から平成までのステレオタイプな不良像

00年代のヤンキーのファッションとして象徴的なのはお兄系でしょう。お兄系ファッションを牽引したメンズエッグや、インパクトのあるキャッチコピーがインターネットでも話題になったメンズナックルなど、00年代後半から10年代初頭までのヤンキーファッション=お兄系と言えるでしょう。ロック、アメカジ、バイカーなどをベースに、スタッズやワッペン、ダメージ加工のジーンズ、そして「盛った」ヘアスタイルなどが特徴の装飾性の強いファッションです。

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お兄系については当ブログで過去に何度も取り上げています。

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メンズエッグはお兄系を象徴する雑誌でした。そのメンズエッグが休刊を迎えた2013年がお兄系終焉の年と言えるでしょう。

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お兄系の衰退が始まる00年代終盤にはオラオラ系(悪羅悪羅系)が浮上してきます。オラオラ系はお兄系と同じく黒を基調に、ゴールドやアニマル柄など装飾的な色柄がメインとなるファッションでしたが、細身がメインだったお兄系とは違い、マッチョな雰囲気が印象的。髪型も短髪が多くなり、誌面に登場するオラオラ系のファッションリーダーも、格闘家などが多かった記憶があります。

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SOUL Japan Vol.1

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SOUL Japan Vol.2

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SOUL Japan Vol.3

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SOUL Japan Vol.4

以上のようなファッションが、記事で触れられいている”昭和から平成までのステレオタイプな不良像”、と言うよりも平成のステレオタイプな不良像でしょう。

 

令和の不良は”地雷系”

”昭和から平成までのステレオタイプな不良像”と対比させるように、記事では令和の不良像が紹介されています。

ヴィジュアル系バンドのように、黒を基調にした服を着て、男女ともに濃いめのアイラインを入れる“地雷系”と言われるスタイルの子が大半。もう1つの象徴はリストカットをした傷だらけの腕。もともとは2018年頃、自撮りをする若者たちがSNSで交流するなかで、リアルで会う際の待ち合わせ場所としてトー横を使うようになったのがはじまりと言われています」

令和の不良は”地雷系”。地雷系については、当ブログでも過去にご紹介しています。

ちょうど1年前の「量産型」についての記事で、「地雷系」(↑の記事では「地雷ちゃん」)について触れています。 

若者のファッションの移り変わりは早いもの。現在の地雷系はどうなっているんだろう?と思い、インスタグラムでハッシュタグ「#地雷系女子」を検索してみると…なんと、トップに出てきたのが、「アイラブ歌舞伎町」のネオンサインの前で踊る女の子…なんという偶然でしょうか。いや、これは偶然ではなく必然なのかもしれません。

 

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記事の引用を続けます。

『トー横の王』を名乗る20代前半の男が現れ、15〜16歳の女の子にピルを売りつけて売春をさせたり、睡眠薬や向精神薬などの処方箋ドラッグを蔓延させ、ストロング缶とともに飲ませてオーバードーズになる少年少女が路上に溢れかえったりするようになった。

ここに挙げられているのは、明らかに「不良」の所業(というか犯罪)と言えるでしょう

トー横界隈で目立つ存在だったという15歳の少年が、路上で60代のホームレス男性に暴行し、怪我をさせる事件が勃発

そして、記事の最後には「トー横キッズ」のひとりにインタビューしていますが、その男性の描写も、平成のステレオタイプな不良像とは一線を画するどころか、180度真逆のファッションのようです。

仮にT君としておこう。現在18歳で、トー横界隈歴2年になるという少年だ。ピンク色のヘアに薄っすらと化粧をした顔は、かなりのイケメンだ。

そんな彼は、このように語ります。

「ヤクザですか? 僕たちがいくら騒いでいても注意もしてこないから、みんなナメてますよ。情けない奴らだなって」

 

トー横は令和の不良ファッションの聖地?

更に調べてみると、インスタグラムでは「#トー横界隈」のハッシュタグが付けられた投稿は現時点で1,000件以上

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また、インスタグラムでは「#古着好きな人と繋がりたい」などの「○○な人と繋がりたい」というハッシュタグがよく見受けられますが、「#トー横界隈の人と繋がりたい」というハッシュタグが付けられた投稿も時点で100件以上存在しています。

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ツイッターで「トー横」を検索すると以下のようなツイートが見られ、「トー横」が「陽キャ」しか行けない憧れの場所になっていることが伺えました。

トー横行ってみたいけど、ぼっちはきついよな…誰か僕と行ってくれる子おらんかな…

いつかトー横行ってみたいなって思ってる子居たらDMおいでよ

#トー横 
#怖くていけない
#陰キャ

とはいえ、現時点で「トー横」ならではの新しいファッションが生まれている、という訳ではなさそうです。

ですが、こういった若者たちがこちら↓の記事で以前ご紹介したように、若者が集まる場所では新しいファッションが生まれる可能性が非常に高いのです。

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原宿のファッションを世界に広めたストリートスナップ雑誌、「STREET」や「FRUiTS」の編集長である青木正一さんは、街中に若い子が集まる広場的な場所があり、そこから新しいファッションが生まれるのはパリやロンドンでも同じであると発言しています。

90年代は渋谷センター街がギャル系の聖地、90年代終盤は原宿のキャットストリートが裏原宿ファッションの聖地だったように、20年代のファッションの聖地は新宿歌舞伎町「トー横」になり、「トー横」から発信されるファッションが日本全国を席巻するかもしれません。