山田耕史のファッションブログ

ファッションは生活であり、文化である。

「フレンチファッション」はセルジュ・ゲンズブールとポール・ウェラーから生まれた。

こんにちは。兼業主夫/ファッションアナリスト/ワークマン公認アンバサダーの山田耕史(@yamada0221)です。
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ファッション用語で「フレンチ」「フレンチファッション」という言葉はよく見聞きしますが、じゃあ「フレンチファッションって結局どういうの?」と考えてみると、「ボーダーシャツと、白のパンツと…あとは…」というような感じで、 具体的にはよくわかならない、という人は少なくないと思います。

僕自身もそうだったんですが、メンズファッション誌「2nd」の7月号でフレンチファッションがわかりやすく解説されていたので、僕なりにまとめてご紹介してみます。

 

 ヌーヴェルヴァーグで描かれた「ノンシャラン=無頓着」

まず、フレンチファッションの下地になっていたのが、 ヌーヴェルヴァーグという、1950年代後半からフランスで始まった映画運動です。

ヌーヴェルヴァーグの代表作がクロード・シャブロルの「いとこ同士」「美しきセルジュ」、

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フランソワ・トリュフォーの「大人は判ってくれない」、

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そして、ジャン・リュック・ゴダールの「勝手にしやがれ」です。

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セットを使うのではなくロケ撮影、アフレコではなく同時録音、そして作り込まれた衣装ではなく普通の服装にするなど、リアリズムを重視し、その時の「今」を切り取ることがヌーヴェルヴァーグの特徴でした。

ヌーヴェルヴァーグの作品で描かれた、一見服に無頓着そうな汚い服装は「ノンシャラン=無頓着、なげやり」という言葉と共に、フランスのファッションの格好良さの象徴として、世界に広まっていきました。

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ノンシャランなセルジュ・ゲンズブール

2ndでは、そんなヌーヴェルヴァーグが下敷きとなって生まれた「ノンシャラン」と「ミックス感」がフレンチファッションのキーワードとしています。

そして、そのノンシャランを体現したのがセルジュ・ゲンズブールです。 

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セルジュ・ゲンズブールはウィキペディアでは「フランスの作曲家、作詞家、歌手、映画監督、俳優」と表記されていますが、インタビューでは自身の職業として、「作詞家、作曲家、歌手、写真家、作家、脚本家、CF監督、音楽ビデオ監督、映画監督」と挙げているほど、多彩な人物です。

セルジュ・ゲンズブールの「ノンシャラン=無頓着」なファッションを象徴するのが、ジャケットにジーンズという服装。当時の写真を見ると、かなり無造作な雰囲気が感じられます。

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自身に服装に関して、セルジュ・ゲンズブールはインタビューでこう答えています。

あなたが成功するに従って、あなたはバスケット・シューズに、イヴ・サン=ローランの上着という決めたイメージのようなものが固定してしまいましたが、それはあなたが意識して作ったものなのでしょうか?

「サン=ローランは、私に似合う……シルエットがいいから。それにジーンズも似合うから。そうだよ、私はジーンズとサン=ローランの間をさまよっているのだ」

それでも、何かちぐはぐというか、ラフな姿とエレガンスの間には違いがあるのではないですか?

「……つまり、私は超高級ホテルにも行くし、安ホテルにも行くから……。書体で言えば、太字と細字があるだろう。つまり、それは私が学生時代から使っているセルジャン・マジョールというペンのようなものだよ」

あなたのイメージというのは、あまりに決まり過ぎているようですね。もし、ある日突然、あなたが私たちの前に、髭を剃って、髪の毛をきれいに分けて、ネクタイにスーツを着て、カルチエの煙草でも吸って、オレンジジュースなんか飲んでいる姿を見せると、人があなたに抱いているイメージが傷つくと思いますか?

「私のイメージが傷つくだって?私にはいくつものイメージがあるさ。お好みなら、私のルックスだけで漫画のシリーズが出来るよ。私のルックスというのは、それぞれの瞬間に合わしているのだ……私はペンギン姿みたいなスモーキングを着ることも出来る。嫌いなのだが……私にとって、あれは民間の軍服みたいなものだからね。それでも、自分自身のイメージに閉じ込められるのもいやなことだ。それが自由というか、自由ということのひとつだな」

引用元:

イヴ・サンローランのジャケットも、ジーンズも、自分と似合うと思うから着る

そして、何よりも自由を大切にする

こういった姿勢が「ノンシャラン=無頓着」の真髄なのかもしれません。

 

ポール・ウェラーのミックス感

そして、セルジュ・ゲンズブールと並んでフレンチファッションの象徴的存在として挙げられているのがポール・ウェラーです。

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フレンチファッションの象徴と言っても、ポール・ウェラーはフランス人ではありません。出身はイングランドでパンクバンド、ザ・ジャムのボーカリスト、ギタリストとしてデビューします。

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ザ・ジャム解散後に結成したバンドがザ・スタイル・カウンシルです。

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1984年にリリースしたファーストアルバム、「カフェ・ブリュ」では、ジャズやソウルなど様々な要素をミックスし、高い評価を得ました。

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そしてそのアルバムのジャケットでの、アクアスキュータムのコート、裾をロールアップした濃紺の細身のジーンズ、レザースリッポン、そしてペイズリー柄のスカーフと、音楽同様ミックス感溢れる服装は、当時の日本人に大きな影響を与えました。

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日本で広がっていくフレンチファッション

そして、セルジュ・ゲンズブールとポール・ウェラーの2人のスタイルはビームスやシップスなどのセレクトショップ、ポパイやホットドッグ・プレスなどのファッション誌によって日本で広められていきます

こちらは、以前当ブログでご紹介した1987年のポパイ。

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「エフデジェ」と名付けられたフレンチファッションが紹介されています。

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同号に掲載されているビームスの広告でもエフデジェをプッシュ。

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そして、この号で、”バリバリのフレンチ・アイビー愛好家”として紹介されているのがポール・ウェラーです。

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”四つモダンのジャケットにポケットチーフ、ここまでキメといてジーパンでスルリとはずすという、FDJ大賞ものテクニック”と、激賞されています。

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また今号ではエフデジェの源流として、ヌーヴェルヴァーグの映画も紹介されています。

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このように、日本では独自のフレンチファッションが浸透していきますが、この後、更に日本独自の進化を遂げて行きます。それはまた次回で。

この記事があなたのお役に立てれば幸いです!