どうやら少し前から話題になっていたようですが、今朝僕のツイッターのタイムラインに流れてきた、こちらのツイート。
軽井沢プレミアムアウトレットモールに毎年3回は来る者なのですが、完全に「来てはならない場所」になってて涙。正規店には置かないアウトレット専用の低劣品を混ぜて情弱に売るのはよくあったんだけど、もはや今は「それしかない」
— アムロ・ジ・エンド™️ (@amurosansan) 2023年4月29日
正規店に置いているレギュラー品は、ぶっちゃけ公式webショップで pic.twitter.com/QRMgpUKIsj
「正規店には置かないアウトレット専用の低劣品は、いわゆるアウトレット専売品ですね。を混ぜて情弱に売るのはよくあったんだけど、もはや今は「それしかない」」
とっても辛辣な表現ですが、よくわかります。
大手セレクトショップのアウトレット専売ブランド
「正規店には置かないアウトレット専用の低劣品」は、いわゆるアウトレット専売品のこと。
アウトレット専売品の一番わかり易い例が、大手セレクトショップが展開しているアウトレット専売ブランドでしょう。
ビームスのアウトレット専売ブランドは、ビームスハート。
ビームスのアウトレット専売ラインだったビームスハートが今はオンラインでも売ってるんですね。
— 山田耕史 ファッション×歴史のnoteはじめました (@yamada0221) 2021年12月16日
そして、トム・ブラウンのブレイク以降世の中に出回りまくったトリコロールテープが、2021年の今もデザインポイントして使われているのに驚き。
売れるんでしょうね。https://t.co/NZSvVjpcMP pic.twitter.com/an0QcRpUPw
現在、ビームスハートはビームスのオンラインストアでも取り扱われていますが、リアル店舗ではアウトレット専売です。
ユナイテッドアローズのアウトレット専売ブランドはA DAY IN THE LIFE。
その他、アーバンリサーチやナノユニバース、シップスなど、アウトレットに店舗を構えている大手セレクトショップでは、どこもアウトレット専売用のブランドを展開しています。
10年以上前に人気だったデザインがアウトレット専売品で売られている
で、今回改めてビームスハートのオンラインストアで商品をチェックしてみたのですが、「お前まだおったんか!」と叫んでしまいそうなアイテムがいくつもありました。
こちらのシャツです。
マリンテイスト、七分袖、切り替えデザイン、トリコロールのボタン。
全て、10年以上前の2010年頃にマリンテイスト人気だったときに大流行したデザインです。
こちらは以前当ブログで、ティーンズ向けメンズファッション誌「ストリートジャック」2011年7月号をご紹介した記事です。
誌面に並んでいるシャツは、七分袖や切り替えデザインばかり。
こちらも同じ号。
↓に掲載されているのは、アーバンリサーチやチャオパニック、フリークスストアなどのセレクトショップのオリジナルブランドアイテムです。
こういった、12年前にファッション誌の誌面を飾っていたデザインの服が、今でもアウトレット専売品として販売されているのです。
しかも、価格は7,260円。このご時世だとなかなかのお値段。ユニクロなら2枚、GUなら3枚のシャツが買えてしまいます。
3年前の2020年、久し振りにアウトレットを訪れたとき、これ系のシャツがビームスで販売されていることに驚きました。
ビームスで未だにこんなのが売られているのに驚きました。トリコロールディテール、柄切替、七部袖…
— 山田耕史 ファッション×歴史のnoteはじめました (@yamada0221) 2020年7月2日
セレクトショップのアウトレットでは以前からマス層向けに低価格のアウトレット専売品を売ってますが、このデザインは10年前から変化してませんね。マス層の定番デザインになったと言っていいのかも pic.twitter.com/luOVmKC17f
↑から3年経て、街中でこれ系を着ている人をほとんど見なくなった今もまだ売られていることに驚きです。
今も売れてる「10年以上前の人気デザイン」
ビームスハートのオンラインストアを見ていると、更に驚きの事実に直面しました。
こちらも同じく、2023年現在ビームスハートで販売されているシャツです。
2010年頃に人気だった大胆な切り替えデザイン。
襟周りには細かい切り替えデザインが施されています。こちらも同じく、7,260円。
しかもこの切り替えシャツ、先週のビームスハートの売上ランキングで20位の人気商品だということがわかりました。(画像右下です)
そう。
売れているんです。
この「10年以上前の人気デザイン」のシャツが。
7,260円で。
「10年以上前の人気デザイン」のシャツが売れ続けている理由
つくるから売れるのか?
いや、つくっても売れない服は沢山、それこそ山のようにあります。
売れるからつくるのです。
おそらくこのシャツはこの10年以上ずっと売れ続けているのでしょう。
価値観の変化が非常に激しいファッションの世界において、10年以上も売れ続ける商品なんて非常に稀です。
では、なぜこの服が10年以上売れ続けているのか。
今、20代の若者が7,260円を出してこのデザインのシャツを買うことは、僕には想像できません。
僕の肌感ですが、シャツに7,260円を出せる20代の若者はなかなかのファッション好きで、なかなかのファッション好きの若者ならこのデザインのシャツは選ばないでしょう。
今こういった服を購入しているのは10年前でファッション感性のアップデートが止まっているアラフォーのオジサンではないか、というのが僕の仮説です。
以前の記事で、結婚などを理由に30代以降ファッション感性がアップデートされていないオジサンが多数見受けられるということを書きました。
上掲の2011年の「ストリートジャック」に掲載されていたように、10年前のセレクトショップはこういった↓服で溢れていました。アウトレットではなく渋谷や梅田などの繁華街にある最先端のファッションを売るお店で、です。
当時、こういったデザインの服は時代の最先端とまでは言わないまでも、充分オシャレな服でした。
ファッション感性のアップデートがこの時代で止まっている人にとって、10年以上経った今でもこういったデザインの服が最先端のお洒落であり続けているのではないでしょうか。
10年前でファッション感性のアップデートが止まっているオジサンが沢山いるから、今も「10年以上前の人気デザイン」の服が売れている。
繰り返しますが、僕の仮説です。
感性をアップデートするかしないかは自分次第
当ブログ開設以来のバズになった先日のこちらも記事でも、そして今回の記事でもキーポイントとなったのが、ファッション感性のアップデートです。
どうやらこの記事を発端にツイッター上では様々なリアクションがあったようです。
僕はチラッとしか目にしていませんが、パタゴニアが若者にダサいと感じていることに激怒しているオジサンが少なからず存在していました。
今回の件で興味深かったのが、「自分が好きなものが若者に支持されないことを、受け入れたがらないおじさん」が結構多いこと。
— 山田耕史 ファッション×歴史のnoteはじめました (@yamada0221) 2023年4月13日
僕は基本的に「支持されないのが当たり前」と思っているおじさんなので、とても新鮮でした。 https://t.co/3xaCyFEVR0
パタゴニアがダサいなんて!今の若者はわかっとらん!
なんて思うのも、当然個人の自由です。
それをどういう言うつもりは、僕にはありません。
ですが、「ほぉ、そんな意見もあるのか」と一旦受け止め、チラッとでもいいから自分を客観視してみることは、決して悪いことではないというのが、43歳のオジサンである僕の考えです。
もちろん、感性をアップデートするかしないかは自分次第です。
誰しもが自由に、自分の好きなファッションを楽しめれば良いと思います。
ちなみに。
どんな服を選んでいいのかわからない、なんて人は僕の著書「結局、男の服は普通がいい」でを是非ご覧下さい。
この本で提案している、シンプルでベーシックなデザインの「普通服」の主なメリットは以下の3つ。
・流行り廃りがないので長い期間着用可能
・誰にでも似合う
・様々な種類の服と相性が良い
この「普通服」をベースに、自分らしい服の選び方をご紹介しています。