先日訪れたイトーヨーカドーでビームスの名前が入ったタオルが売られていました。
イトーヨーカドーでビームスデザインのタオルが売られてたんですが…あまりビームスがデザインした感がないような… pic.twitter.com/klPhv4GOsm
— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」(KADOKAWA)発売中! (@yamada0221) 2021年5月16日
本当にビームス!?と感じてしまうような、微妙なデザインのタオルに対し、ツイッターでもこのようなご意見が。
一昔前のライセンス商品かと思ってしまった…。
— yoh@中小企業診断士勉強中 (@yoh635322) May 16, 2021
こういうのって、いったい何なんですかね?
— やんさか (@patagoniadanton) 2021年5月16日
偽物? https://t.co/ZzeH7z58Jp
ビームスデザインとは?
こちら、ビームスデザインという会社による商品です。
”これまで培ってきた選択眼、企画力、プロデュース力を活かし、スタンダードなモノにあたらしいアイデアを加えて、毎日の生活をこころ豊かに彩るデザインを創造するブランドです” https://t.co/WTGL6rS5jZ pic.twitter.com/IDtqjXlUXm
— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」(KADOKAWA)発売中! (@yamada0221) 2021年5月16日
ビームスデザインのサイトには以下の説明文が。
BEAMS DESIGNは、様々なパートナー企業様と協業で商品開発、企画等を行う、ビームス ライセンスビジネスのメインブランドです。
ですが、ビームスデザインのロゴの下部には「Not License business, But Sense business.」とも銘打たれているので、ライセンスビジネスなのかそうでないのかよくわかりません。
ロゴには「Not License business, But Sense business.」とあるんですが、「BEAMS DESIGNは、様々なパートナー企業様と協業で商品開発、
— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」(KADOKAWA)発売中! (@yamada0221) 2021年5月17日
企画等を行う、ビームス ライセンスビジネスのメインブランド」ともあり、どないやねんな状態です笑 https://t.co/InyX7tCvvv pic.twitter.com/orRgh3zVg0
僕は以前勤めていたファッション企画会社のメインクライアントはイトーヨーカドーと同じような顧客層を持つ企業でした。ですので、通常のビームスに置いてある商品と同じデザインをイトーヨーカドーに持ってきても売れないということはわかっています。
イトーヨーカドーで売れることを考えるとこういうデザインに着地することは理解できるのですが、それがどういった経緯を辿ってきたのかが気になりました。
こうなっちゃった理由を考えてみたんですが。
— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」(KADOKAWA)発売中! (@yamada0221) 2021年5月16日
①ビームスはイケてるデザインを提案したけど、イトーヨーカドーに「こんなデザインはウチじゃ売れない」と却下された
②ビームスがイトーヨーカドーで売れそうなデザインとして、これを提案した
どっちでしょ。 https://t.co/peClGk7I6f
すると、こういうご意見が。
少し前にサッポロ黒ラベルのおまけでついてたタオルハンカチとかのコラボグッズから見るに、
— Euphonica 横浜仲町台の洋品店 (@Euphonica_045) 2021年5月16日
③BEAMS DESIGNのデザイン自体がそもそもこの方向性
がいちばん濃厚な気がしますね https://t.co/fBjo2EWyD1
私は黒ラベル愛飲者なんですけど、昨年から買うたびにこういうのがついてきて(ちなみにいまはメラミン皿)、イヤそういうのはそこまで必要としてないんですが…という気持ちになります pic.twitter.com/UY6obTHqo4
— Euphonica 横浜仲町台の洋品店 (@Euphonica_045) May 16, 2021
そもそもBEAMS DESIGNというレーベル自体が企業コラボ用の、いわば名義貸し的なブランドですから、イトーヨーカドーやサッポロに限らず、ビームスらしさは敢えて抑えた、キャッチーなノベルティ的商品企画こそが強みなんでしょうね
— Euphonica 横浜仲町台の洋品店 (@Euphonica_045) May 17, 2021
ターゲットのファッション感度によってデザインを変える
思い返すと、以前こんなことがありました。
イトーヨーカドーで見かけたビームスデザインのタオルの件。
— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」(KADOKAWA)発売中! (@yamada0221) 2021年5月17日
ビームスのアウトレットでは今もこれ系の服が売られている事から考えると、ちゃんとイトーヨーカドーの顧客に受け入れられる事を追求したデザインなんでしょうね。 https://t.co/4DMh5H3146
通常のビームスの店舗では全く見られなくなった一昔前はトレンドで売れ筋だったデザインの商品が、アウトレットモールでアウトレット専売品として売られていたのです。
ビームスで未だにこんなのが売られているのに驚きました。トリコロールディテール、柄切替、七部袖…
— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」(KADOKAWA)発売中! (@yamada0221) July 2, 2020
セレクトショップのアウトレットでは以前からマス層向けに低価格のアウトレット専売品を売ってますが、このデザインは10年前から変化してませんね。マス層の定番デザインになったと言っていいのかも pic.twitter.com/luOVmKC17f
このように、ターゲットのファッション感度によってデザインを変えるのはブランドとしては当たり前のことです。
同じビームスでも、ハイエンドなデザイナーズブランドを中心に扱うインターナショナルギャラリービームスと、郊外のショッピングセンターに主に出店しているビーミングライフストアでは商品のデザインは全く違います。
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ですが、今回僕が驚いたのは、イトーヨーカドーのような、かなりのマス市場までビームスが進出してきたことです。
もちろん、これまで同様ビームスはハイエンド市場でもブランドを展開し続けています。そして、今回のイトーヨーカドーのようなマス市場向けの商品を売り出してもビームスのブランドイメージを毀損しないと考えているのでしょう。
高いブランドイメージを保ち続けるナイキ
ビームスと同じく、ハイエンド市場とマス市場の両方で展開しているブランドとして僕が真っ先に思いつくのがナイキです。
ナイキはコムデギャルソンのようなハイエンドブランドとのコラボ商品もリリースするなど、数あるスポーツブランドの中で最も高いブランドイメージを保ち続けています。
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ですが、ABCマートではマス市場向けの廉価版も数多く販売しています。
ABCマートで売ってるナイキ。画像では伝わらないかもしれませんが、ここらへんの普及品ってこんなに安っぽい質感でしたっけ。普及品とはいえ、8,000円〜1万円くらいするのになぁ。 pic.twitter.com/jN3zyx10ZC
— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」(KADOKAWA)発売中! (@yamada0221) 2019年10月18日
更に、小学生がプールの用意を入れるプールバッグなど、子供向けの商品も多数展開しています。ファッション感度も年齢層も、とても幅広いターゲットに向けて商品を展開しているのです。
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なのに、ナイキというブランドイメージは全く毀損されていません。クールでイケてるブランドという印象を持っている人がほとんどではないでしょうか。
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ビームスはナイキになることができるのか?
今回のイトーヨーカドーのタオルの一件で、 もしかしたらビームスはナイキのような幅広いファッション感度、年齢層をターゲットにしたブランドになろうとしている、あるいは既になっていると自身で認識しているのではないか、と感じました。
イトーヨーカドーの客層を考えると、今後はおじいちゃんおばあちゃんもビームスの名を冠したタオルを使うことになるでしょう。そうなったときに、ビームスはファッショナブルなブランドイメージを保ち続けることができるのか。
日本のセレクトショップの今後を占う、面白い例になるのではないでしょうか。
この記事があなたのお役に立てれば幸いです!