山田耕史のファッションブログ

ファッションは生活であり、文化である。

ZOZOのビジネススーツに秘められた、世界を制する最先端テクノロジー。

・ZOZOのビジネススーツは驚異のテクノロジーで製造される?


一昨日、ZOZOがビジネススーツを展開するというニュースが話題となりました。

本格テーラーメイド感覚?ZOZOがビジネススーツの販売開始

ZOZOSUITで計測したサイズデータを基にした、フルオーダーということもあり、各ネットメディアのニュースやツイッターではフィット感や価格の話題が目立ちました。

が、僕が気になっていたのはスーツの製作方法です。僕が見たなかで、製作方法について言及されているニュースは、アパレル業界の専門紙である繊研新聞と、東洋経済オンラインの前澤友作社長のインタビュー記事のみ。(見落としてたらごめんなさい)

繊研新聞にはこうあります。

ビジネススーツは、採寸用ボディースーツ「ゾゾスーツ」で計測した体形データを基に作り上げるフルオーダーメイド商品。生産は中国で、個客の体形データをパターンに置き換える技術や、自動裁断・縫製を導入している。


スタートトゥデイ ビジネスウェア市場参入 世界展開も | 繊研新聞

また、東洋経済オンラインでは前澤友作社長がこう答えています。

(製造面で)一番難しいのはパターンですね。一人一人に合ったパターンを半自動的に、ほぼリアルタイムで生成する。そこの技術開発は難しかったですね。


ゾゾ、「オーダー紳士服」販売に至った舞台裏 | 専門店・ブランド・消費財 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

この2つを合わせて考えると、今回発表されたZOZOのビジネススーツは

ZOZOSUITがサイズを計測

サイズデータからパターンをほぼリアルタイムに生成

生成されたパターンを基に生地を自動裁断

自動裁断された生地を自動縫製

という工程で製作されるということになります。

これが本当なら、前代未聞の物凄い技術ではないでしょうか。

ちなみに今回、ニットがPBで展開されることもアナウンスされいます。

採寸スーツ「ZOZOSUIT」で計測した体形データに基づき、顧客のサイズに合わせた衣服を「ほぼ無人」で製造できる体制を整えるという。 島精機製作所(和歌山市)が開発するニット製造機「ホールガーメント」を活用する。島精機製作所によれば、通常のニットは、前後の見頃や袖などを別々に編んで縫い合わせるが、ホールガーメントでは、一着丸ごと立体的に編み上げるため、裁断や縫製など後工程が不要という。


ZOZOブランドに「ニット」製品 「ほぼ無人」で1着40分、自動製造機を導入 - ITmedia NEWS

ニット製造は既に自動化が進んでいるので、この発表自体それほどインパクトはありませんが、スーツなどの布帛製品の製造が自動化を実現している企業は世界でもほとんど存在していないと思います。


といっても、布帛はニットよりも自動化が難しく、特にシャツやテーラードジャケットはあらゆる服種のなかでもかなり縫製が難しいアイテムです。なので、製作が完全に自動化されているとは思えませんが、記事から推察するにある程度までは自動化は成し遂げられているのでしょう。


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・日本の企業が世界のアパレル業界に革命を起こす?


ちなみに当ブログで去年の10月にこんな記事を書きました。

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この記事ではSoftwear Automationというアメリカの企業が開発している、最新鋭のロボットミシンをご紹介しています。


Home - Softwear Automation


動画があるのでそれを見ていただければその凄さは一目瞭然ですが、↑の記事で動画をキャプチャーしてご紹介しています。



今回改めて、縫製ロボットについて調べてみると、こんな動画を見つけました。2018年2月に公開されたウォールストリートジャーナルの「The Robot Revolution: Automation Comes into Fashion」というタイトルの動画です。



最先端のハイテクロボットが紹介されています。









ここで紹介されていた企業のひとつが、名古屋に拠点を置く友縫機械。サイトを見てみるとインターネット黎明期を思わせるレトロなデザインで「大丈夫か?」と感じてしまいます笑。


www.yuhomac.com/top.html?

が、つくっているロボットはかなりハイテクなようです。ウォールストリートジャーナルの動画ではこの製品が紹介されていました。


ニューサージャー





他にも、ウォールストリートジャーナルの動画ではこちらの全自動ポケットセッターが日本の刑務所で使われていることも紹介されています。


本格派ポケットセッター





ポケットが全自動で取り付けられている光景を見ていると、「ほ〜」と声が出てしまいます。

 
こうして、ウォールストリートジャーナルで取り上げられているということは、友縫機械のロボットは世界の最先端のテクノロジーであると考えてよいでしょう。

動画の最後には、去年の記事でご紹介したSoftwear Automationのロボットも取り上げられています。



ZOZOのビジネススーツにどんな企業のどんなテクノロジーが用いられているかは、現段階では明らかにされていませんし、今後公開されることもないんじゃないかなと思っています


ですが、ZOZOが現在ロボットなどのテクノロジーを活用したアパレル製作でZOZOが世界のトップクラスに位置していることは明らかでしょう。


・朝ポチった世界に1つしかない服が夕方に届く


僕は以前当ブログで、Amazonがロボットを用いて画期的なアパレル製作を始めるのではないかと予想していました。

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あるいはユニクロ、もしくはZARAを展開するインディテックス、などと予想しており、まさかZOZOがこの分野の先駆者になるとは思ってもいませんでした。

現在アパレルの製作は人件費が安価なアジア諸国で行われていますが、今後このようにロボットの活用が拡大すると、東京などの消費地の近くで製造することも可能になってくるでしょう。

朝、
世界に1つしかない自分用にカスタマイズされたデザイン、サイズの服をポチったらそのデータが東京近郊の工場に送られ、ロボットが全自動で裁断、縫製してその日のうちに自宅に送られてくる、というような現段階では夢物語のような買い物も、意外と近いうちに実現するのではないかと思います。


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・ZOZOが世界一のアパレル企業になる可能性


僕は東京が世界一のファッション都市だと思っています。

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その理由はファッションの多様性。パリやニューヨークなど、ファッションの都と言われる都市はたくさんありますが、カジュアルからアウトドア、モード、果てはロリータやビジュアル系など、東京ほど個性が豊かで多様性のあるファッションが存在している街は他に無いと思います。

その東京を擁する日本市場で揉まれているZOZOも、元々はセレクトショップなどの商品がメインでしたが、現在はとても多様なファッションを取り扱うようになりました。

「服の取扱数」ではAmazonのほうが多いかもしれませんが、
ファッションの多様性」ではZOZOに軍配が上がるのではないかと思っています。つまり、ZOZOは世界一ファッションの多様性を熟知した企業ではないかということです。

今後、こうしたロボットの導入によって、ユーザーごとのパーソナライズが進むので、ファッションはよりひとりひとりの個性を尊重されるようになるでしょう。そうなったときに、ZOZOのアドバンテージである「多様性」がかなり活きてくるのではないかと思います。

前述のようにZOZOにはロボットなどのテクノロジーのアドバンテージもあります。それと多様性が上手く噛み合うと、もしかしたらZOZOは世界一のアパレル企業になるかもしれません。

最後までご覧いただきありがとうございました!