山田耕史のファッションブログ

ファッションは生活であり、文化である。

「お風呂の残り湯は洗濯に使える」という科学的根拠。

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先日書いたこちらのブログ。

www.yamadakoji.com

これを書く元になった記事は、この本の一節を抜粋したものだったので、この本も読んでみました。

日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術

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僕にとって一番衝撃的だった内容が、「洗濯には風呂の残り湯を使わないほうがいい」ということ。

内容を抜粋します。

お風呂の残り湯には、人の肌から皮脂やタンパク質が流れ出ています。それを使って洗濯をするということは、残念ながら、汚い水で洗っていることになります。黄ばみを予防するために暖かいお湯を使っているつもりが、かえって黄ばみの原因の皮脂や、タンパク質の汚れを倍増させてしまっているのです。

僕はずっと暖かいお湯を使ったほうが汚れが落ちると思って残り湯を使っていました。ですが、それが逆効果だったとは…と一瞬思ったんですが、この本には科学的根拠は特に明示されていません。どうせならちゃんと科学的根拠を知っておきたいと思い、残り湯を使って洗濯について調べてみました。

 

一晩放置した残り湯にはケタ違いの細菌数が

ググってみると、残り湯を使った洗濯の是非に関する記事はたくさんヒットするんですが、きちんとした調査データに基づいた科学的根拠のある記事ってほとんどないんですね。

そんななか、見つけたのが微生物の研究を行っている衛生微生物研究センターという企業のこちらの記事。データが明示された調査による記事なので、科学的根拠としては充分でしょう。

kabi.co.jp

実際に、浴槽に湯を張った直後、入浴直後、そのまま一晩放置した風呂水の細菌数を3家庭で調べてみました。
すると、湯を張った直後の菌数は1mL当たり数十個程度だったのが、入浴後は数百個から数千個になりました。

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これらは主に人の体(皮膚など)に由来する細菌で、入浴人数が増えるほど菌数も多くなる傾向がみられます。
さらに翌日になると、風呂水の菌数は数十万個から数百万個と、入浴直後の約1,000倍に増えることがわかりました。
風呂水の細菌の多くは人と共生関係にあったものですので、通常はそれらで病気になる心配はありません。
とはいえ、残り湯を放置すれば細菌に大量増殖の場を与えることになり、衛生的とはいい難いため、風呂水はできるだけその日のうちに利用し、ため置かないようにしたいものです。

一晩放置した残り湯は文字通りケタ違いの細菌数になるんですね。さすがにこれを見ると、溜め置きした残り湯を使うのはやめておこう、という気になります。

 

風呂の残り湯は洗浄力が高い

では、お風呂に入った直後の暖かい残り湯を使った場合はどうなのでしょう?調べて見つけたサイトがこちら。リンク先はPDFです。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/69/2/69_115/_pdf/-char/en

このPDFのビジュアルを見るだけでも、信頼できそう!な感じがします笑。

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日本家政学会という社団法人が発行している日本家政学会誌という学会誌に掲載された共立女子短期大学の教授が執筆した論文です。執筆者は他にも洗濯に関する論文を発表しているようです。

kyoritsu.repo.nii.ac.jp

PDFの内容は結構長く文章も硬いので、僕を含め読む気になれない人も多いと思うので、結論だけ引用します。

風呂の残り湯を利用すると洗浄温度が高くなり,冬場でも夏場と同等の洗浄力が得られ,浴比が小さくなるまとめ洗いにおいても洗浄力が保たれることが判明した 

つまり風呂の残り湯は洗浄力が高い、という結論です。

詳細を知りたい方はPDFで。洗濯に関するこんな硬い文章を読むのは初めてたったので、僕的には新鮮でした。

 

水道水ですすぎを行えば細菌を除去できる

続けて見つけたのは、横浜市水道局による記事。こちらもきちんと調査に基づくデータが明記されています

www.city.yokohama.lg.jp

こちらのサイトでは一晩置いた残り湯の雑菌について、衛生微生物研究センターと同じような調査結果が紹介されています。

Q 洗濯は水道水?おふろの残り湯?どちらがいいの?
A すすぎには水道水を使ったほうが、細菌が残らず、きれいに洗えます。
水道局で行った実験の結果、一晩置いた残り湯を使って洗濯をすると、残り湯由来の細菌が洗濯物に残ってしまうことがわかりました。脱水直後の洗濯物中には、1平方センチメートルあたり10万もの細菌が残存していました。24時間以上室内で乾燥させた後も、細菌は1/10程度しか減少せず、洗濯物中にかなりの数の細菌が残っていました。

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そして、すすぎをどうすればいいか、ということまで紹介されています。

洗濯に残り湯を使う時には、「洗い」だけに使用しましょう。その後、水道水で2回以上(1回では落としきれません!)「すすぎ」を行えば、残り湯由来の細菌はほとんど除去することができます。日光に当てて乾燥させれば、殺菌できますが、細菌の死骸が残る可能性や乾燥の途中にニオイが発生する可能性があります。

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↑のグラフを見ると、すすぎを水道水で2回行えば、洗いに残り湯を使っても問題がないことがわかります。

 

残り湯を洗濯に使うと1ヶ月で540円の節約

とはいえ、冒頭でご紹介した本の内容が間違いかと言えば、そうとも言い切れないと思います。

日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術

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今回僕が見つけたのは全て細菌にフォーカスを当てた記事。ですが、この本にはどういった基準で残り湯をすすめないのかが明記されていません。ですので、細菌とは別の、残り湯を洗濯に使うべきではない理由があるのかもしれません。

とはいえ、我が家では残り湯洗いに水道水すすぎ2回という、これまでの方法を継続採用することにしました。

ちなみに残り湯を使うと、どれくらいの節約になるのでしょうか。

www.kirala.jp

「洗い」の工程で使う水道水を残り湯に置き換えると、例えば3人家族なら1カ月に2,250L(※1)の水道水が節水できます。節水した分、洗濯1回あたり18円、1カ月では540円(※2)の水道代が節約できる見込みです。

1日1回洗濯する場合1ヶ月540円の節約1日2回洗濯機を回すことが多い我が家だと1ヶ月で1,000円ちょいの節約、ということになるんでしょう。多いような少ないような。

 

ということで、この記事があなたのお役に立てれば幸いです!