山田耕史のファッションブログ

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座談会アウトロ。アラフォーファッションのあるべき姿。

こんにちは。兼業主夫/ファッションアナリスト/ワークマン公認アンバサダーの山田耕史(@yamada0221)です。

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座談会第2弾の後編が金曜日に公開されました。

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座談会終了後、齋藤さん(@saito_d) が対談に向けて書かれた原稿を読ませてもらったのですが、これがとても面白く、このまま眠らせておくのは惜しいと思ったので、齋藤さんの許可をいただき座談会のアウトロとして当ブログに転載させてもらう事にしました。
以下、ご覧下さい。


 
アラフォーのファッションは「夏は涼しく、冬は暖かい恰好」で良い

かつて10代の頃はファッション・アイテムに浪費をすることが普通だった我ら30~40代の男性ですが、職場ではスーツやユニフォームに身を包み、休日に家庭で過ごすための服が何着かあればそれで十分だという価値観にいつの間にか変わってしまった人も、少なくはないのではないでしょうか。
2000年過ぎまではインターネットもさほど普及しておらず、SNSなど存在すらしていませんでしたので、自分の性格や趣味嗜好を周囲へアピールすることはなかなか簡単にはできませんでした。
そのため当時は、他人からの第一印象となる「服装」が、コミュニケーション・ツールの一部となっていたように思います。
例えば僕たちが青春時代を送った90年代はファッションと音楽が若者間での「共通言語」であり、洋服を着ること・買うことが「社会との接点」として機能していました。
どんな格好をしているかで、友だちや所属グループも違いました。最も目に見えやすい形で自分の趣味・嗜好を周囲へアピールできるものが、洋服だったのです。従って、誰もがファッションを取り入れる必要性があり、それは生活においてリアリティを持つ行為のひとつでした。
ところが現在はSNSが発達し、誰でも自分の情報を周囲へ発信できるようになったため、わざわざ自己アピールを服装に頼って行う必要性はグッと減りました。
さらに、情報量が増加し、趣味、嗜好、価値観が多様化・細分化したことにより、着ている服で人をジャンル分けすることができなくなったことも、ファッション離れに拍車をかけることになっていると思います。
そんななかで「いま我々世代が着るべき服は何なのか?」と問われた場合、その答えは【様々な生活シーンに合った服装を、その都度適切に取り入れていくこと】ではないかと思っています。非日常ではなく、実生活に則したリアリティ/実用性/機能性が必要なのです。
いま、必要以上に着飾るようなことをすると、逆に「ダサい」と言われるような風潮がありませんでしょうか?
服装や持ち物をアピールすることが、以前のようには好まれていないような気がします。
人が関わるその場面ごとに、調和し、適切に順応し、場を乱さない服装こそが、現代においては最も評価されているファッションであると感じています。
冠婚葬祭では主役を立てる。外遊びでは機能的なアクティヴ・ウェアを身に着ける。飲み会へは食べこぼしやタバコの臭いが付いても気にならない恰好をしていく。子供の送迎ならば脱ぎ履きのしやすい靴で、他のママ・パパのご機嫌を損ねない地味な服を着る。
そして、それらをあくまでポジティヴにとらえること。調和をはかる気遣いができていれば、現代のリアル・ファッションとして大正解だと思います。
※ちなみに僕個人は洋服オタクですので、自分の服装はそれらとは若干ズレています。悪目立ちすることも多々あります。あえて今回のテーマへの回答としての意見です(笑)
そんな「適材適所の服を意識的に着る」ということは、遡ってみれば日本の男性服飾史の礎を築いた「VAN」の創立者:石津謙介氏が提唱した「T.P.O」の概念そのものであり、(無地のアイテムを着用するという誤った認識で広がってしまった)「ノームコア」という言葉における、K-HOLEが最初に提唱した原義に最も近い考えなのではないかと考えています。
もはや、普段の生活で“装う”必要はないのです。
ところで、アメリカはニューヨーク在住のモデカイ・ルビンスタイン(Mordechai Rubinstein)氏が運営する『MISTER MORT( http://mistermort.com/ )』という人気スナップ・ブログがあります。そこに登場するのは、NYの市井の人たち。掲載されている写真の数々を眺めていると、アンファッショナルブルなものがとてもファッショナブルに見えてきて、これまでの既成概念をいい意味で覆してくれるのです。
そこではアヴァンギャルドなファッショニスタが取り上げられることもありますが、ほとんどがファッションに意識的ではない、ごく普通の歩行者たちや、世の流行とはまったく別な自分だけのスタイルを持っている人たち。そして、作業員や店員。ニューヨークで生活している人たちの、普段着中の普段着なのです。
ファッションに意識的ではないからこそ、逆に驚くような組み合わせや着こなし方を見ることもできます。
でもそれらは実生活に則し、その場面の必要性から生まれた「ガチでリアルなファッション」なのではないかと思います。
また、アメカジ・マニアの目から見ると純粋に、彼らのワークウェアやユニフォームにとても大きな魅力を感じてしまいます(それらをファッション・アイテムとして取り入れたのが、世界へ影響を与えた日本発の「アメカジ」)。
もしファッションが廃れている原因が他にもあるとしたら、それは「オシャレをする場の喪失」にあると思います。
90年代前後は上記のとおり、自己アピールと所属の確認のために、街を散歩するだけでもオシャレをする必要性が、少なからずありました(その間に誰かとバッタリ会うかもしれませんし)。
音楽業界ではCDが売れなくなり、CDプレイヤーが家庭から消えているのと同じように、ファッションにおいてはオシャレをしなければならない場所や機会が、ほとんど無くなってしまったのです。
最近のセレクトショップがどんどん「ライフスタイル提案型」になっている理由は、普段の生活の中でオシャレをしなければならない場をショップ自身が作り出そうとしているからだと考えると、非常に納得がいきます。
ちなみに僕自身は「ファッション」には一切興味が無く、洋服をモノとしか見ていないタイプです。
なので、そのようなライフスタイル提案はつい冷ややかな目で見てしまうのですが、「ファッションが求められていない」というのが事実であれば、自分のような着用目的ではない「モノマニア」を増やことも、市場拡大のためには悪くないのではないかと考えてしまいます(いまのSUPREMEの隆盛を見ても、その方向性はアリな気がします)。
こんな“ファッション指南”というテーマとなると、どうしてもイコール「脱ヲタ」という方向に話が向きがちです。
オタクの服装はダサさの象徴とされていますが、あれもひとつの立派な「リアル・クローズ」です。
彼らの服装に何らかの共通した傾向があるならば、それはもう完全にスタイルのひとつ(すなわちファッション)だと思いますし、服装などに気を使わないことがオタクとしてのアイデンティティなのであれば、それはもはやカルチャーです。
脱ヲタなどせず、そのままで堂々としていればいいと思っています。それこそが秋葉原におけるヘヴィ・デューティであるとも言えないでしょうか?(ただしお風呂には入っていただきたい)
ついでにもうひとつ、男性のダサい服装の象徴として「休日のお父さん」という比喩表現がよく使われます。
何をか言わんや。休日の僕たちは、比喩でもなんでもなく紛れもない「休日のお父さん」なのです。
子供の遊び相手となるために、夏はいつ水遊びに巻き込まれても良いようにスイムパンツを穿き、冬ならもちろんジーンズやスウェット・パンツです。上着は汚れても気にならない着古したものや化繊を着ます。靴は当然スニーカーやサンダルです。
そして夜は晩酌をして酔いつぶれ、そのまま寝てしまい、家人に怒鳴られます。モード服など着ていられますか?
それはオシャレな若者から見たらまったくファッショナブルではないかもしれないけれど、リアリズムと機能性そのものなのです。
僕は「休日のお父さん」の恰好を、もっと堂々とできるようにしていきたいと思っています。
結論。着ているモノで「なにか」を発信する必要がない、現代における極論として、「夏は涼しく、冬は暖かい恰好」。
これこそが、僕ら世代に一番大事なファッションではないかと思っています。
そして、それこそが一番カッコイイのです。冬に寒がっている人はダサいのです。
もしも「非日常性を求めるのがファッションだ」という意見があれば、それは生きる上での土俵が違うので、僕の不戦敗です。
ただしそんなものは時代の流れに則していないということは市場に証明されているのですから、廃れていっても仕方がないと思います。自滅の道です。
そして最後にひとつ。大人は黒スキニーのような“子供っぽい服”を着てはいけない。
黒いスキニーパンツが大人っぽいという根拠が、僕にはまったくわかりません。
黒は喪服の色です。正式なドレスコードに照らし合わせても黒はドレスの色ではありませんから、黒スキニーにドレスウェアの要素は微塵もありません。
あれはただの若者向けの流行アイテムです。大人の男性は同僚やお友だちに笑われるので、あんなものには絶対に手を出さないことをオススメします。
saito_d



いかがだったでしょうか。
併せて先日齋藤さんがまとめられたこちらも必見です。
全世界で間違い続けられたまま終わった「ノームコア」の説明 - Togetterまとめ
ノームコアの意味、恥ずかしながら僕もちゃんと理解していませんでした。ちょっと長めですが、お時間があるときに是非ご覧下さい。

最後までご覧いただきありがとうございました