山田耕史のファッションブログ

ファッションは生活であり、文化である。

「円高」がDCブランドブームの火付け役?【書評】「バブル文化論」

・「バブル」のお勉強

昔から歴史は好きだったんですが、去年の座談会以降、現代ファッション史を学ぶ必要性を感じ、時間があれば本を読むようにしています。

雑誌で振り返る、おじさんたちの90年代ファッション座談会〜前編〜FACY
先日こんな本を読みました。
バブル文化論―“ポスト戦後”としての一九八〇年代 :¥ 2,160
(価格は記事執筆時のものです)

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最近は80年代ファッションがトレンド。現在のファッション界で最も影響力を持つブランドのひとつであるバレンシアガが、80年代に流行ったゆったりとした広い肩幅のジャケットが提案するなどバブルファッション界が復活の兆しを見せています。

 
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バブル期のファッションといえば、DCブランドブーム。街は「カラス族」と呼ばれる、全身をモノトーンでコーディネートした若者だらけになりました。


引用元:https://blog.goo.ne.jp/styles2011/c/4452c54389ba55a67bcf38f9755d5b98
以前から僕はなぜDCブランドがブームになったのか、その原因と流れを知りたかったのですが、本書を読んでそのあらましがある程度わかりました。

 

・DCブランドブームの背景に円高あり

DCブランドブームの遠因に、円高がありました。1985年のプラザ合意当時は1ドル=242円でしたが、1988年には1ドル=128円になるという、急激な円高です。
たった3年で円の価値がほぼ倍になっています。
日本では1万2千円だった50ドルのリーバイス501が5千円で購入できるようになったのです。

当時はアルマーニに代表される、ヨーロッパの新進デザイナーが人気を集めていました。円高のおかげでこういった海外のデザイナーズブランドが気軽に買えるようになったのです。
経済状況がファッショントレンドに影響を及ぼしているのは面白いですね。

・日本人デザイナーの躍進

日本人は海外で活躍する日本人が大好きです。

イチローや野茂が活躍すると、メジャーリーグを観るようになりますし、中田英寿がセリエAに移籍すると、テレビで欧州のサッカーが放映されることも増えます。

80年代は日本人デザイナーが次々とパリコレクションデビューを果たしました。

後に「御三家」と呼ばれる三宅一生、山本耀司、川久保玲がヨーロッパでコレクションを発表し、人気を集め始めました。

当初賛否両論があったものの、アルマーニが打ち出したグレージュ(グレーとベージュの中間色)のツイードや、山本耀司や川久保玲の「黒ルック」は次第に高い評価を得るようになりました。

ですが、アルマーニやヨウジヤマモト、コムデギャルソンなどのデザイナーズブランド(DCのDはデザイナーの意です)の商品は高価です。

 当時、原宿のマンションをアトリエに増え始めたメンズビギやメルローズといったキャラクターブランド(DCのCはキャラクターの意です)の商品はデザイナーズブランドよりも手に入りやすい価格で、これが爆発的に売れるようになりました。
こうして、DCブランドブームは日本中を席捲したのです。

 

・80年代の空気感

本書ではファッションだけでなく、お笑い、アイドル、ドラマ、出版などあらゆる方面からバブルを論じています。
お笑いの項ではとんねるず、ドラマの項では「東京ラブストーリー」や「ふぞろいの林檎たち」にフォーカスが当てられています。僕は当時、これらの番組を全く見ていなかったので、今あらためて観て、当時の空気感を味わいたくなりました。
この本を読んで、80年代から90年代のファッションの流れがほぼ理解できました。​ 
最後までご覧いただきありがとうございました!