山田耕史のファッションブログ

ファッションは生活であり、文化である。

デザインに対する感覚は10年でこんなにも変わる。【STREET JACK 2010年10月号】

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これまで2回にわたって分析してきた10年前のティーン向けファッション誌、STREET JACK 2010年10月号

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ド定番アメカジは時代の雰囲気に左右されない

まずは「オシャレ達人のBOOTS&SHOES秋の狙いめ拝見!!」という特集。ビームス、ナノユニバースなどのセレクトショップの提案です。

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大定番のレッドウィングのエンジニアブーツをはじめ、どれもオーセンティックなデザインなので、時代感はほとんどありませんね。

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ブーツや革靴は服と比べるとデザインの制約がかなりあるので、必然的に時代感は出にくいのが特徴です。そういった理由もあるのでしょうか。このページは全体を見渡しても、時代感は低め。

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とはいえ、このクロップド丈のパンツには時代感が出ますね。

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こちらの七分袖のシャツも同様。

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老舗アメカジセレクトショップ、ラブラドールレトリバーは時代感ゼロ。やはりこういったド定番アメカジは時代の雰囲気に左右されません

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こちらでピックアップされているのは起毛系素材のブーツ。ここらへんは2021年の今雑誌に掲載されていても違和感は全くないでしょう。

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セレクトショップスタッフに比べ、時代感が強めな印象のサロンスタッフ。

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こういった細身のシルエット、本当に見なくなりましたね。最近はゆったりシルエットがかなり普及したので、逆にまたこういうの新鮮に思えるようになってきました。

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半袖シャツに中折れ帽、ペイズリー柄の短パンにレザーローファー。前回の記事でもご紹介しましたが、やはりこういった異なるテイストのアイテムによるミックスコーディネートは時代感が強く出ますね。

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ドレスシューズはブラックやブラウンなら全く時代感はありませんが、配色などのデザインが加わると途端に時代感が強く出ます

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お次はプレス。大人な雰囲気。

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「ドレープ感のあるペコスブーツ」は時代感がありますが、それ以外は普遍的なデザイン。

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ドクターマーチンでこんなモデルあったんですね。迷走していたのでしょうか。

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ド定番、クラークスのデザートブーツ。同じく柄としてはド定番のタータンチェック柄とはいえ、こういったデザインは時代感が出ます。

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大胆なデザインが良いという感覚

ミッキーマウスコラボアイテム特集です。

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懐かしのジョイリッチ。大人気だったんですよね。当時はジョイリッチのデザインをパクったTシャツが山ほど出ていました。で、面白いのは「セレブブランドならではの大胆なデザイン」という文言。今の感覚からするとセレブブランドという言葉自体、なんだかなぁ、と思ってしまいますし、大胆なデザインが良い、という価値観もあまりありませんよね。

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時代感が強い「ロック」コーディネートの特徴 

佐藤健さんページ。映画「BECK」の公開の頃だったようです。BECK、漫画は大好きで最後まで読んだんですが、映画は観ませんでした。

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佐藤健さんが「BECK」で演じるのはロックバンドのギターボーカル。ということで、スタイリングもロックっぽい雰囲気なんですが、この見開きのそれぞれのスタイリングは今見ると印象がかなり違います。

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右ページのライダースジャケットにTシャツというコーディネートは、今見てもそんなに時代を感じさせません。というか、同じような格好のロックミュージシャンとか、今でもたくさんいますね。

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が、こちらのドレープ感のあるロングカーディガンはかなり時代感が強め。このような格好の人は、今は相当少数でしょう。

同じ「ロック」がテーマのスタイリングでもアイテムのデザインによってこれほど時代感の違いが出るのは面白いと感じました。ライダースジャケットのデザイン自体は普遍的なので、時代感は出ませんが、コレクション系のモードブランドから派生したと思われるロングカーディガンのデザインは時代感がかなり強め

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とはいえ、コレクション系モードブランドのデザインが全て時代感が強い、という訳ではないんですよね。この辺りもおいおい分析していこうと思っています。

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10年という年月は世間のデザインに対する感覚を大きく変化させる

プレゼントページ。今やスニーカーショップとして海外でも店舗を構えるアトモス。この頃はオリジナルのアパレルにも注力していました。

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赤のネイティブ柄にピンクのジップという、かなりカラフルなパーカ。今の感覚だと、かなり子供っぽい印象です。

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僕は5歳長男や3歳次男の服を買いに様々なお店に行きます。

基本的に子供服は価格帯が下がれば下がるほどデザインは派手になる傾向がありますが、2021年の今では西松屋やしまむらといった超低価格帯の子供服でも今やこのようなポップなデザインの服はほとんど見なくなりました。もっと落ち着いたデザインが主流になっています。

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とはいえ、10年前はこういったデザインの服をティーンズや、それ以上の年齢の人が着ていても全く違和感がなかったんですよね。10年という年月は世間のデザインに対する感覚を大きく変化させることがよくわかります。

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さて、STREET JACK 2010年10月号ですが、まだまだご紹介したい内容がたくさんあるんです。結構面白い内容になると思っていますので、お楽しみに。

この記事があなたのお役に立てれば幸いです!