山田耕史のファッションブログ

ファッションは生活であり、文化である。

物の本質とは。本当の美意識とは。名著「ヘビーデューティーの本」で学ぶ「道具としての服」。

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先日、この本を読みました。 

ヘビーデューティーの本
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ヘビーデューティーの本 (ヤマケイ文庫) [ 小林泰彦 ]
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 内容紹介をAmazonから。

アメリカのアースムーブメントに由来する“ヘビーデューティー”を、1970年代に日本に紹介し、一大ブームを巻き起こしたライフスタイル図鑑を復刻。イラスト・ルポの第一人者・小林泰彦が、山と海外での豊富な経験をもとに、アウトドアウェアやギアの原点を解説し、単なるファッションではないヘビーデューティーの思想を語る。

アウトドアが新しいライフスタイルとして認知されるようになったのが1970年代。そしてそのアウトドアを「ヘビーデューティー」として日本に紹介したのが、1977年に発行されたこの「ヘビーデューティーの本」です。以前から存在は知っていて、読まなきゃなぁとは思っていたんですが、なんとなく手を出せずにいました。

 

ヘビーデューティーとは物の本質をふまえたもの

ヘビーデューティー(heavy duty)とはそもそも「丈夫な、酷使に耐える」という意味です。「ヘビーデューティーの本」では冒頭でヘビーデューティーの意味を以下のように定義していますが、この一節がこの本の真骨頂ではないかと思います。

ヘビーデューティー、イコール「本物」ということ。ヘビーデューティーとは物の本質をふまえたもの。その目的を良く満足させるもの。必要でしかも充分なもの、よく機能するもの、つまり本もののことなのだ。だから、ヘビーデューティーの良さや美しさはもの本来の姿そのままの中にある。当初の目的以外の作為や付加価値はヘビーデューティーにはいらない。また、本来の姿だからこそウソではない本当の美意識が宿るのだ。ほんものの趣味性が入りこめるのだ。

カヌー・トリップのときのフェルト帽子は絶対にダークグリーンでありたいとうのも、ときめつけるのも実はそこからきているのだ。

僕が特に重要だと感じたのが以下の3点。

「ヘビーデューティーとは物の本質をふまえたもの」

「ヘビーデューティーの良さや美しさはもの本来の姿そのままの中にある」

「本来の姿だからこそウソではない本当の美意識が宿る」

ミリタリーやワーク、アウトドアなどのアイテムに多くの人が惹かれるのはこういった理由があるのだと思います。

ちなみにカヌー・トリップのフェルト帽子はこういうの、

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https://www.pinterest.jp/pin/64880050858240289/

赤レースはクライミングブーツはこういうのです。

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https://www.pinterest.jp/pin/649362840009550528/

 

「ヘビーデューティーの本」で紹介されているアイテム

↑の2つのような、アウトドアアイテムの紹介が「ヘビーデューティーの本」の主な内容です。今やファッションアイテムとしても定番的な存在で、僕の書籍「結局、男の服は普通がいい」でも「普通服(アイテム)」としてご紹介しているデイパックがまだまだ目新しいアイテムとして紹介されています。登場しているのはデイパックの始祖的ブランドであるケルティのアイテム。デイパックとはどういうものかを詳しく解説している点に時代を感じます。

KELTY DAY PACK
¥10,394
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デイパックの他にもシェラデザインズのロクヨンクロスのマウンテンパーカや
SIERRA DESIGNS 60/40クロス ベーシックマウンテンパーカー
¥16,280
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ビーンブーツなどのアウトドアアイテム。
L.L.Bean ビーン・ブーツ
¥23,100
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そして今も銘品として愛されるアディダスのSL72やニューバランスの320などが、最新鋭の技術を搭載されたハイテクランニングシューズとして紹介されています。
adidas SL 72
¥8,580

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new balance U320
¥7,500

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2020年の今では迷作レトロスニーカーとして知られているSL72などが、ハイテクシューズとして紹介されているのはなかなか新鮮。もちろん、今では全く見かけないブランドやアイテムも多数掲載されているので、そういったものを見るのも新鮮です。

また、バッグやシューズといったファッションと馴染みの深いアイテムだけでなく、ナイフやログハウスといったアウトドア関連アイテムも紹介されています。

他にも、ヘビーデューティー用語集といった解説や、今も続くL.L.Beanやエディー・バウアーはヘビーデューティーの中心的ブランドとして重点を置いて紹介されており、それぞれのブランドが当時はどういったイメージだったのかがよくわかります。

 

服はファッションである前に道具である

また、同じく冒頭部分にこういった一節もあります。

(ヘビーデューティーの)服装はファッションである前にギア(道具)であり、だから服を着る楽しさも道具を使う楽しさと似ている。そのために作り出されまた再認識されたものこそ、いま我々がヘビーデューティーと呼ぶひとつの体系の服や道具なのだ。

服はファッションである前に道具である。服はどうしてもブランドやデザインといったファッション的な要素が重視されがちですが、服は道具であるという視点を持っていると選び方も変わってきそうです。特に、今は人々の価値観が大きく変化しそうな局面。服だけでなく、様々な物事を選択する際に、どういった視点で、どういった要素を重視するのかを改めて考えてみる良いチャンスなのかもしれません。

この記事があなたのお役に立てば幸いです!