山田耕史のファッションブログ

ファッションは生活であり、文化である。

ファッショントレンドが消滅すると思う、3つの理由。

僕は​ ​「ファッショントレンド」が将来消滅すると思っています。今回はその理由を3つ挙げていきます。

1:マスメディアの影響力が低下している​

インターネットの普及により、マスメディアの影響力が低下しています。 「みんなが見ているコンテンツ」がなくなりました​。
例えばドラマ「HERO」で木村拓哉さんが着用し、大ブームとなったダウンジャケット。

HERO (テレビドラマ) - Wikipedia
これは当時多くの人が「HERO」を観て、このダウンジャケットを木村拓哉さんが着ていることを知っているからこそ大ブームになりえました。ですが、今は「みんなが見ている」レベルのコンテンツはなかなか生まれません。
ファッション誌を読んでいる人も少ないでしょう。仕事で必要な人以外で、自分で趣味として定期的にファッション誌を購読している人はほとんどいないのではないかと思います。
インスタグラムは多くの人が使っていますが、自分が好きな人しかフォローしません。
ファッショントレンドはファッション業界が消費者に毎年新しい服を買わせるために生み出されました。
ファッショントレンドは「みんなが知っている」から意味を持ちます。その知る方法であるマスメディアの影響力が低下すれば、いくらファッション業界がファッショントレンドを喧伝しても、消費者には届きません。

2:ファッション業界が変わりつつある​

 

現在のファッション業界のビジネスモデルの中心になっているのが「パリコレ」などに代表されるコレクション(ファションショー)です。

コレクションでショーを開催しているのは、グッチやシャネル、ルイ・ヴィトンなどのラグジュアリーブランドや、コムデギャルソンやヨウジヤマモトのようなデザイナーズブランド。これらのブランドの商品は当然高価格で限られた人しか購入しません。

これまでのファッション業界はコレクションを頂点としたファッショントレンドのヒエラルキー構造があり、中価格、低価格ブランドがコレクションで発表されたファッショントレンドを模倣した商品を販売することでマス層へファッショントレンドが拡散していました。

ですが、このヒエラルキー構造は崩壊しつつあります。その最大の原因がインターネット。特にSNSの普及です。

インスタグラマーに代表されるように、ファッショントレンドの発信源はコレクションだけではなくなりました

今まではコレクションをチェックしておけばファッショントレンドが把握できていましたが、これからはそう簡単には行きません。

また、後述するようにファッションに対する価値観が多様化しているので、最新のトレンドファッションの服を着ている=イケてる、という従来の価値観の人も少なくなっているでしょう。

 

3:ファッションはどんどん自由になっている​

普段生活していてもなかなか気づきにくいですが、ファッションはどんどん自由になっています。日本の戦後ファッション史を紐解くと、80年代以前は「太陽族」や「みゆき族」、DCブランドブームなど、ファッションに興味がある若者はこぞって同じ服装に身を包んでいました。

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モノがない時代だったので、モノを所有していることがステータスでしたが、供給されるモノが限られているので皆が同じ服を着るしかありませんでした。
ですが、90年代以降は先述のマスメディアの影響力の低下もあり、ファッションが多彩になりました。モノがあふれているので選択肢は無数にあります。これを持っているからイケてる、という価値観が薄れてきたのです。例えば今、ロレックスの時計やルイ・ヴィトンのバッグを持っているからモテる、という可能性はかなり低いでしょう。
ファッションのステータス性は落ち、00年代以降ブームとなった「ライフスタイル系ショップ」のように、ファッションはライフスタイルの一部となったのです。

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自分の趣味や好みをファッションに反映させることも簡単になりました。ニッチな趣味の商品も、minneなどのウェブサービスを使えばかんたんに手に入るようになりましたし、アニメなどのエンターテイメントをモチーフにした服は増え続けています。

minne | ハンドメイド・手作り・クラフト作品のマーケット
例えば以前はアニメTシャツを着ていたり、スチームパンクのアクセサリーを付けていたりしたら奇異の目を向けられることもあったでしょうが、今は多くの人が多様化した価値観に柔軟に受け入れるようになっています。
​​コスパ:¥ 3,080(価格は記事執筆時のものです)

​​ThinkGeek:¥ 10,614(価格は記事執筆時のものです)

アスレジャーのような機能性を追求した今までは街着としては受け入れられなかったスポーツウェアも街着として市民権を得るようになったのも、多様化した価値観が受け入れられるようになったおかげです。
​​NIKE:¥ 5,940(価格は記事執筆時のものです)

今後、より価値観は多様化はさらに進み、それに併せてファッションもますます自由になるでしょう。

・ファッショントレンドの未来​

とはいえ、さすがにファッショントレンドが完全に消滅することはないと思います。ですが、ファッション業界が商売のために存在するファッショントレンドを気にして服を決める必要は全くないでしょう。
最近僕はmistermortという、マークジェイコブスやリーバイスといったファッション企業を渡り歩いてきたMORDECHAI RUBINSTEINという方によるインスタグラムにハマっています。​

​​撮影対象は常識的にはファッショナブルとは言えない、普通の人たちが中心です。 

 
MORDECHAI RUBINSTEINさん(@mistermort)がシェアした投稿 -
 
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 でも、なんとも言えない格好よさがあるのです。僕にはまだ、mistermortのどこが魅力的なのか、言語化できていないのでうまく説明できません。
僕はmistermortに、ファッショントレンド消滅後のファッションの楽しさの秘密が隠されているのではないかと思っています。
何を着たっていいんです。自分が好きなファッションを楽しみましょう。

最後までご覧いただきありがとうございました!

追記:こちらの記事でmistermortの魅力について分析しています。

www.yamadakoji.com