先日、思い出の服を入手しました。2000年頃のイッセイミヤケメンのシャツです。当時のデザイナーは後にユニクロのデザインディレクターも務めた滝沢直己さん。
00SS(多分)イッセイミヤケメンの脱色シャツ。
— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」発売中! (@yamada0221) 2020年11月4日
当時本当に気に入ってて、文字通りボロボロになるまで着倒したので捨てました。
最近「また着たい」と思うようになり、ずっと探し続けてようやく見つけました。
肩に少しダメージがありましたが、まぁ仕方ないかなと。お直しに出すつもりです。 pic.twitter.com/IsA16gLwfR
このシャツを買ったのは約20年前の大学生のとき。僕が最もコムデギャルソンをはじめとしたデザイナーズブランドにハマっていた頃で、よく通っていた梅田阪急のお店で購入しました。
デザインも色合いも着心地も良く、かなり気に入りでした。ですが、気に入っていた分、長年高い頻度で着用したせいもあったのでしょう。襟ががっつりと破れてしまい泣く泣く捨てたのが10年くらい前だったと思います。
数年前からイッセイミヤケの人気が高まっており、高円寺のkissmetなどの古着屋さんでイッセイミヤケの当時の商品を見かけることが増えました。
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kissmetのお店に行ってみると、同じシーズンの似たデザインのシャツが売っていたこともあり、もしかしたら僕の思い出のシャツも手に入るかもしれない、と探しに探して見つました。
ですが、残念ながら肩の所に少しダメージがあり。場所的にバッグのストラップによる摩耗かと思われます。
基本的に破れなどのダメージがある服は買わないことにしているのですが、このチャンスを逃したら二度と出会えないかもしれないと思い、入手しました。
あまり目立たないのでそのままでも着られなくもないのですが、放置しているとダメージはどんどん広がってしまうのは確実なので、お直しをしてから着ることにしました。
素人には不可能なプロのお直し技
以前ダウンベストをお直しに出して、予想以上の出来栄えに感動したコーダ洋服工房にお願いしました。
池の上のコーダ洋服工房にお直しに出してきました。お代は1320円。仕上がりが楽しみです。 pic.twitter.com/fAIr6X3UyQ
— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」発売中! (@yamada0221) November 6, 2020
ダウンベストをお直しに出したときの記事はこちら。
僕のお気に入りのマクレガーバッチドラゴンのタータンチェック柄のダウンベスト。
毎冬ヘビーローテションしていたので、襟部分は擦り切れてしまいました。
それが、このように完璧な状態にリペア。縫製を解いて、中に詰められているダウンを抜き取り、ダメージ部分が隠れるようにダウンを戻してから生地を縫い直したそうです。素人にはまず不可能な作業です。まさにプロフェッショナル。
ポケットの内側もボロボロになっていました。
こちらも、丁寧なステッチでかなり目立たない仕上がりになっています。この3点のお直しで4,860円でしたが、僕的には大満足でした。
1,320円で大満足の仕上がり
今回のシャツのお直し代金は1,320円。
結果発表〜!!
— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」発売中! (@yamada0221) November 23, 2020
かなり近付いてしっかり見ないとわからないくらい、目立たない仕上がりで大満足です。
今回は裏に布を当ててミシンで叩いただけなので、自分でもできなくはないんですが、この精度でやるのはなかなか骨なので、やっぱりお願いして良かったと思います。 pic.twitter.com/QSxZyTI9Uw
ダウンを詰め直すなど、素人には難しい作業が含まれていたダウンベストのときは違い、今回は裏側にあて布をしてミシンで縫うだけの作業。
一応ミシンが扱える僕にも出来ると言えば出来ることですが、やはりステッチの精度が違うと感じました。お直しした箇所を知らなければ気づくことはまずないでしょう。僕がこのレベルまでやるとしたら、かなり集中力と時間が必要になると思います。
安価で高品質だけが高コスパ?
このお直しをしてみて僕が考えたのは、コストパフォーマンスが高い服とは一体どういうものか、ということ。
一般的には、ユニクロに代表されるような価格が安い割に品質が高い商品がコストパフォーマンスが高い服だとされていると思います。
エクストラファインコットンブロードストライプシャツ(ボタンダウンカラー・長袖)
それに比べ、イッセイミヤケのシャツは非常に高価格。はっきりと覚えていませんが、確か3〜4万円くらいしたと思います。1,990円のユニクロのシャツと比べると、約15〜20倍の価格ということです。
また、今回久し振りに手にして気がついたのですが、このイッセイミヤケのシャツにはかなり薄手で華奢な生地が用いられています。風合いを重視しているためでしょう。
おそらく、ユニクロのシャツなら同じような使い方をしていても、襟が破れたり、肩の部分が擦り切れたりはなかなかしないと思います。丈夫さという点では、ユニクロのほうが圧倒的に品質は上でしょう。
つまり、イッセイミヤケのシャツは価格が高いのに品質が低い、ユニクロと比べると非常にコストパフォーマンスが低い服、という見方もできるでしょう。
僕にとってコストパフォーマンスが高い服
最近ファッション業界ではサスティナブルという言葉が流行っていますが、以前こちらの記事で僕なりのサスティナブルについて考えてみました。
この記事でご紹介した僕にとっての「サスティナブルな服」の要素がこちら。
僕的に「サスティナブルな服」を考えてみると、愛着を持って長く着られる服で、そのためには以下のどれかの要素が必要だと思いました。
①シンプルでベーシックなデザイン
②長期間の着用できる耐久性の高さや補修のしやすさ
③自分の好みに合ったデザイン
今回のイッセイミヤケのシャツは、①の「シンプルでベーシックなデザイン」も、②の「長期間の着用できる耐久性の高さや補修のしやすさ」も全く当てはまりません。点数で言えば0点です。
ですが、③の 「自分の好みに合ったデザイン」は10000点。僕がこれまで袖を通してきたシャツの中でも、5本の指に入るくらい気に入っているデザインです。
それだけ気に入っている服がたった1,320円でまた長い年月着られることは僕にとって相当コストパフォーマンスが高いと思います。
好きになれる服に出会えた幸運
同じ人間でも好みの変化は色々ありますが、僕はこのシャツのデザインはここ20年間ずっと好きだったので、おそらくこれからも好きでい続けるでしょう。
今後、このシャツはまた擦り切れたり破れたりするかもしれませんが、そのときはもう捨てることはなく、またお直しに出すでしょう。
ここまで好きになれる服に出会えたことは非常に幸運に感じますし、この服と同じくらい好きになれる服にまた出会えたらな、と思っています。
この記事があなたのお役に立てれば幸いです!