山田耕史のファッションブログ

ファッションは生活であり、文化である。

【読書感想】ワークマンは商品を変えずに売り方を変えただけでなぜ2倍売れたのか

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当ブログでもご紹介しましたが、ワークマンの2020年秋冬商品のなかに、いくつか僕との共同開発商品があります。

www.yamadakoji.com

そういうこともあり、今回のカタログには僕が数箇所登場しています。カタログはワークマンオンラインストアで閲覧可能ですし、ワークマンのリアル店舗でも配布されています。

www.workman.co.jp

 

カタログの発行部数は年間80万部!

 このカタログ、実は年間80万部も発行されているそうです。書籍「ワークマンは商品を変えずに売り方を変えただけでなぜ2倍売れたのか」を読んで、そのことを知りました。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ワークマンは商品を変えずに売り方を変えただけでなぜ2倍売れたのか [ 酒井 大輔 ]
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知られざる超人気刊行物がある。ワークマンの商品カタログだ。発行部数は約40万部。春夏と秋冬で商品を入れ替えるため、年間80万部を発行している。

このカタログはインターネット上でも公開しており、「ネットではそれ以上の方が見ている。しかも全100ページほどのうち8割のページが読まれている」。こう語るのは土屋哲雄氏だ。カタログがここまで熱心に読み込まれている企業は、日本広しといえでもそうそうないだろう。

確かに、ワークマンのカタログって楽しいんですよね。

まず、ボリュームがたっぷりあります。今回のカタログで、全102ページ。そして、それぞれの商品の機能がわかりやすく解説されているので、 読み応えがあります。

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また、安全靴や白衣などの普段あまり馴染みのないワークウェアが見られるのも嬉しいポイント。機能性を追求したガチのワークウェアが大好きなので、思わず読み込んでしまいます。

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白の靴底は床を汚しにくい、なんてこともワークマンのカタログで学びました。

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ワークマンのお買い得感が高い理由

最近は見る機会は減りましたが、一時期アパレル業界のキーワードになっていた原価率。商品のコストパフォーマンスを考えるうえで重要な目安になります。

高品質低価格を謳うユニクロですが、こちらの記事では「ジーンズの原価率は40%と言われていた」とされています。この40%という数字は他の一般的なアパレル企業に比べると圧倒的に高く、それがユニクロの商品のコストパフォーマンスが高いとされる理由の1つです。
www.wwdjapan.com

それに対し、ワークマンの原価率は64%。目標は65%だそうです。おそらく、原価率が60%を超えているアパレル関係の会社はまず存在しないと思います。ワークマンの商品が驚きの低価格なのに機能性にも十分満足できる、お買い得感が高い理由の1つに、この原価率の高さがあります。

また、先に売価を決めてから商品をつくるという手法も重要な要素でしょう。「ワークマンは商品を変えずに売り方を変えただけでなぜ2倍売れたのか」ではかなり具体的な内容が紹介されています。

通常は製造原価を積み上げ、そこに利益を上乗せして売価を決める。しかし、ワークマンの場合は逆だ。まず、この値段で売りたいと売価から決める。そのうえで、どこまでいい機能を詰め込めるかを協力向上と直接交渉して詰めていく。

工場は中国を主力に、ミャンマー、タイなどの東南アジア諸国とバングラデシュに約20箇所ある。工場と直接やり取りするのも、商社やメーカーを間に挟むと、マージン(手数料)が発生するからだ。

ワークマンは、まず全工場に同じ仕様で見積もり依頼を出す。そして、返ってきた価格と、工場ごとの得意不得意を把握したうえで、製造を委託する工場を決める。決して1つの工場に集中させず、素材や製法によって工場を使い分ける分業体制を整えている。そうすることで、全体で「できることの引き出し」を広げているのだ。

 全工場に見積もり依頼を出すというのはかなり意外でした。

 

ノースフェイスのダウンはオーバースペック?

そして、ワークマンでは値段を決めた後にどれだけの機能を盛り込めるかを考えるそうですが、その機能のレベルにもポイントがあります。

「機能や品質で言えば、トップメーカーにはやっぱりかなわない。ただ、トップメーカーの商品は多くの人が必要としていない機能まで盛り込まれているのも事実。だったら、多くの人が必要としている最低限の機能はいくらなら盛り込めるかと考える。もちろん、コストをかければいいものはできるが、それだけ買える人が少なくなってしまう」

例えば10月発売予定の僕との共同開発商品のダウンジャケット、「リペアテックダウンフーディー」もそうでしょう。

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ノースフェイスなどのアウトドアブランドのダウンジャケットは、冬山などの極限状態で着用されることを想定してつくられています。ですので、保温性や軽量性などの機能性は非常に優れており、かなり高価格ですが、一般人が街で着用するのには明らかにオーバースペックです(あえてオーバースペックアイテムを着るという楽しみも、もちろんあります)。

The North Face 1996 Retro Nuptse Jacket
¥56,430

(記事執筆時の価格です)
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ワークマンのダウンジャケットは3,900円(税込)。ノースフェイスの10分の1いや、20分の1くらいの価格ですが、街で着用するのには十分な機能を備えています。

ほとんどの人にとって、ダウンジャケットは3,900円(税込)のワークマンの「リペアテックダウンフーディー」くらいの機能があれば十分お釣りが来ると思います。

以前の記事でもご紹介しましたが、僕はワークマンのブレイクにより、これまであまり一般的ではなかった機能性を基準に服を選ぶという価値観に多くの人が触れたと考えています。


www.yamadakoji.com

このダウンジャケットの例のように、機能性という視点で考えた場合、自分のライフスタイルに必要な服はどんなものなのか、じっくり追求していくと選ぶ服が変わるかもしれません。

 

 れっきとしたビジネス書です

と、僕が面白いと感じたポイントをピックアップしてご紹介してきましたが、「ワークマンは商品を変えずに売り方を変えただけでなぜ2倍売れたのか」はAmazonの紹介文にもある通り、れっきとしたビジネス書です。

【全編コロナ後、書き下ろし! 「ワークマン初のビジネス書」誕生】
作業服専門店がアウトドアショップに転身!?
商品を全く変えず、売り方を変えただけで2倍売れた、
「アパレル史上に残る革命」の舞台裏を渾身ルポ!

消費増税も、新型コロナ禍も、全く揺るがぬ右肩成長。
ワークマンはなぜ、強いのか。その強さは、本物か。
ビジネスモデルのすべてに迫ったノンフィクションの決定版が登場。

●新業態「ワークマンプラス」は、なぜ生まれたのか?
●「ワークマンを変えた男」とは?
●実は「データ経営」企業だった!
●販促費を全くかけずに売り切る秘策!?
●まだまだある「第2、第3のワークマンプラス」

初出し情報多数。
国内店舗数でもコスパでも「ユニクロ超え」を果たしたワークマン、
大躍進のカラクリを仕掛け人が独占激白!

≪目次≫
はじめに   ワークマンとは何者か
第1章   ワークマンを変えた男
第2章   大躍進の裏に「データ経営」あり
第3章   ものづくりは売価から決める
第4章   ファンの「辛辣な文句」は全部のむ
第5章   変幻自在の広報戦略
第6章   店づくりは壮大な実験
第7章   継続率99%! ホワイトFCへの道
第8章   「変えたこと」と「変えなかったこと」
第9章   アフターコロナの小売りの未来

内容の中心は、ワークマンブレイクの立役者である専務取締役、土屋哲雄氏の取り組みの数々。

www.foresight.ext.hitachi.co.jp

組織の意識改革や徹底的にデータにこだわった経営など、一般的なビジネスマンの参考になりそうこともたくさんありました。 

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ワークマンに興味がある人は、読んで損はない内容だと思います。

この記事があなたのお役に立てれば幸いです!