これまで、僕が収集しているヴィンテージモンベルをご紹介してきた、【ブログで古着屋】。
前回からリニューアルし、ただ単に古着をご紹介するだけでなく、その背景にあるカルチャーや歴史を掘り下げ、買う楽しみだけでなく、読む楽しみや、知る楽しみも味わえるようにしていけたらと思っています。
J-POP最盛期1995年
今回ご紹介する古着はこちらです。trfのアルバム「dAnce to positive」のTシャツです。
以前、メルカリマガジンでインタビュー記事も掲載されましたが、1980年生まれの僕にとって90年代のJ-POPは青春時代を象徴する音楽であり、今の自分の嗜好を形成するのに大きな影響を受けた音楽でもあり、その中でも小室哲哉に対する憧れは非常に強いものがありました。
90年代の音楽ソフトの市場規模は凄まじく、最も生産金額売が多かったのは1998年の6,074億円。
そして、『dAnce to positive』が発売されたのは1995年は5,740億円と、まさにJ-POP最盛期と呼ぶべき時代でした。
参考:https://www.riaj.or.jp/f/pdf/issue/industry/RIAJ2020.pdf
1995年のヒットチャートには、今も語り継がれる錚々たる名曲が並びます。
1位 DREAMS COME TRUE:「LOVE LOVE LOVE/嵐が来る」
2位 H Jungle With t:「WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント」
3位 福山雅治:「HELLO」
4位 Mr.Children:「Tomorrow never knows」
5位 Mr.Children:「シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜」
売り上げ約238.2万枚の『dAnce to positive』
アルバムのヒットチャート1位はDREAMS COME TRUEの『DELICIOUS』。
そして、アルバムヒットチャート2位がtrfの『dAnce to positive』でした。
『dAnce to positive』のCD売り上げ枚数は約238.2万枚。
これは日本の歴代アルバム売り上げ第47位、という、まさに90s J-POPの金字塔とも言える一枚でしょう。
『dAnce to positive』には、大ヒットシングルでいずれもミリオンセラーを達成した「CRAZY GONNA CRAZY」、「masquerade」、「Overnight Sensation 〜時代はあなたに委ねてる〜」を収録しています。
プロデューサー小室哲哉
trfのプロデューサーを務めていたのが、小室哲哉です。
https://www.pinterest.jp/pin/128563764349240801/
上掲のメルカリマガジンの記事でもご紹介していますが、僕は中学生の頃から、小室哲哉が率いていたユニット、TM NETWORKが大好きでした。
ですが、TMN(TM NETWORKから改名)は、1994年のライブを最後にプロジェクト終了を発表。後に再始動しますが、紆余曲折を経て2022年現在も活動していますが、当時は事実上解散状態になりました。
TM NETWORKのブレイク以前から、小室哲哉は作曲家として高い評価を得ていました。
作曲家小室哲哉としての代表作が、渡辺美里の「My Revolution」でしょう。
僕が小室ファミリーを認めなかった理由
TM NETWORKでも、小室哲哉はプロデューサーという役割を果たしていましたが、その活動と並行しながら、小室哲哉は他アーティストのプロデュース業に比重を置いていきます。
TMN終了直後の1994年に篠原涼子 with t.komuro名義で発売された「恋しさと せつなさと 心強さと」は、大ヒットし、日本の女性ソロ歌手で初めて売り上げが200万枚を突破したCDシングルとなりました。
前述したように、僕はTM NETWORKは大好きでした。
ですが、TM NETWORK終了後に小室哲哉がプロデュースしていたアーティスト、安室奈美恵やglobe、鈴木あみ、hitomiなどの小室ファミリーと呼ばれる面々には、正直あまり興味がありませんでした。
今思えば、ティーンエージャーならではだったのでしょう。
TM以外の小室哲哉は認めない!というような、変なこだわりがあったのです。
ですが、trfの『dAnce to positive』は、そんな僕でも所有していたくらいのアルバムでした。
確か、購入したのは中古盤だった記憶があります。
そして、どうして僕が『dAnce to positive』を購入したのかは、正直よく覚えていませんが、おそらく「CRAZY GONNA CRAZY」、「masquerade」、「Overnight Sensation 〜時代はあなたに委ねてる〜」の大ヒットした3曲が収録されていたからという理由が大きいのではないかと思います。
このTシャツには、「Overnight Sensation 〜時代はあなたに委ねてる〜」の冒頭の歌詞がプリントされています。
アルバムタイトル『dAnce to positive』も大きくプリントされています。
trfの楽曲では、”dance”が”dAnce”と表記されていることがよくありました。当時の僕は「なんかオシャレだなー」と思って見ていた記憶があります。今改めて見てみると、なかなか良いデザインのロゴだな、と思います。
残念ながら、pのところに小さい穴が空いているのが玉に瑕…ですが、これくらいなら自分で塞いでしまおうかと思っています。
プリント全体的には、何よりも”t”が大きくなっているtrfのロゴが非常に1995年当時の雰囲気を想起させるデザインだな、と感じます。
僕が小室ファミリーを聴くようになった契機
前述の通り、当時あまり聴いていなかった小室ファミリーを僕がよく聴くようになった契機が、2018年の小室哲哉の音楽活動引退です。
現在は復帰し、TM NETWORKも再始動を果たしています。
ですが、小室哲哉の音楽活動引退を知った当時の僕は「小室哲哉が手掛ける新しい音楽はもう聴けないのか」と、少なからずショックを受けました。
そこから改めて、trfを始めとする小室ファミリーの楽曲をよく聴くようになったのですが、TM NETWORK以外の小室哲哉の楽曲は、僕にとって非常に心地が良いのです。
「日本人の耳を教育しちゃった」小室哲哉
その理由は何故だろう?と疑問だったのですが、その答えがこの書籍にありました。
「With t―小室哲哉音楽対論」は、フジテレビで1995年4月13日から1998年4月2日まで放送されていた、小室哲哉が司会を務める音楽トーク番組『TK MUSIC CLAMP』の、トークを収録して書籍です。
その第7回のゲストである坂本龍一が、小室哲哉の影響について、こう語っています。(強調引用者)
TMN時代からヒット曲を作ってきて、ある種日本人の耳を教育しちゃったとこがあるよね。まあ、僕なんてちょっと困るとこもあるんだけど、あまり教育されちゃうと。あの小室流のメロディ・ラインとか、転調とかアレンジも含めて、そのビート感も含めて、先生として教育しちゃったからね。ある層をね。だから、それに引っ掛かるようなパターンを出すと、必ず売れるっていう減少が今起こってると思うわけ。この十年くらいかけてそういう教育活動をやってきたんじゃないの?
この回の動画はYouTubeにアップされており、↑の部分は11分15秒あたりです。
この”先生として教育しちゃった””ある層”に当てはまるのが、僕なのでしょう。
坂本龍一が指摘している通り、”小室流のメロディ・ラインとか、転調とかアレンジも含めて、そのビート感”のどれもが、僕にとってとても心地良いのです。
なので、これはもう一生そのままなのでしょう。
「三つ子の魂百まで」のように、「青春時代に小室哲哉に教育されちゃった耳も、百まで」なのでしょう。
ごめんなさい、参考商品扱いでお願いします
さて、この記事は【ブログで古着屋】なので、trf『dAnce to positive』Tシャツも商品です。
が…ごめんなさい、現時点ではこの価格。参考商品みたいなもの思っていただけるとありがたいです。
今後、お金に困るようなことがあれば、売りに出すかもしれません笑。
90年代のカルチャーを残すために
ヴィンテージモンベル専門店として始まった【ブログで古着屋】ですが、前回から大きくリニューアルしたのには、理由があります。
90年代に青春時代を送り、今も90s J-POPが大好きな人間として、小室哲哉やtrfなどの90年代の音楽についての情報や記憶を、当時のカルチャーとしてこうやってウェブに残しておきたいと思ったからです。
なので、今後の【ブログで古着屋】では90s J-POPのアイテムをご紹介するつもりです。
が、今回のように法外な価格の参考商品扱いではなく、普通に買える価格のアイテムもご紹介予定なので、ご期待下さい。