山田耕史のファッションブログ

ファッションは生活であり、文化である。

往年のDCブランド「パパス」に、今僕がとっても惹かれている理由。

読み応えのある記事が多いウェブマガジン「ぼくのおじさん」で、個人的に非常に惹かれる特集が組まれていました。

それが、日本のメンズファッションブランド、パパスの特集です。

www.mononcle.jp

 

トラディショナルだけどカジュアル

パパスについては、記事で

謎に包まれたパパスというブランドの歴史と概要についてヒアリングして、まとめてみた。ブランドのホームページやWikipediaにも載っていないから、ぜひ読んでみて!

とあるので、そっくりそのまま引用します。

パパスの服はデザインこそトラディショナルなカジュアルだけれど、ラルフやブルックスのような、いわゆるアイビー系のそれとはだいぶ違う。どれもゆったりしたシルエットに、洗い晒したような素材感と優しい配色をまとっており、袖を通すといい感じに力が抜けた雰囲気になる。そして手に取ってみると、ものすごく上等な生地を使っているから、また驚かされる。ちなみにその生地は、糸から染め、柄、プリントにいたるまでほとんどオリジナルだという。いかにもお洒落なんて興味ないですよ、という顔をしていながら、モノ自体は最高峰。

この文章、僕は非常に共感するところばかりなんですが、僕がパパスに惹かれるポイントだと思うのが以下の3つのキーワード。

・トラディショナルだけどカジュアル

・袖を通すといい感じに力が抜けた雰囲気

・ものすごく上等な生地を使っている

これと同じことを、僕も実際にパパスの服を着用して実感しました(後述します)。

 

パパスが生まれた頃の日本のファッションシーン

パパスの歴史についても記事から引用します。

パパスの創業デザイナーをつとめたのは、荒牧太郎さんという方だ。1939年に生まれ、58年に文化服装学院に入学した彼の同期は、KENZOの高田賢三さんやコシノジュンコさん、ピンクハウスの金子功さん、ニコルの松田光弘さんといった、錚々たる面々。〝花の9期生〟と呼ばれた彼らは共に切磋琢磨し、海外旅行が自由化された1964年にパリに留学。そこで荒牧さんは、パリと原宿のセントラルアパートで、今も続くブランド「マドモアゼルノンノン」を創設する。

マドモアゼルノンノンは、その名の通り、レディスブランド。

 
 
 
 
 
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そして、今回ご紹介するパパスは1986年に設立されました。

そんなマドモアゼルノンノンは、1984年に「MEN’S BIGI」で知られるビギグループに参入、全国展開を始める。そして1986年にビギグループから5つのメンズブランドが誕生するタイミングで、パパスもデビューした。

パパスが生まれた1980年代は日本のファッションブランドが元気な時代でした。

その幕開けを告げたのが、コムデギャルソン、ヨウジヤマモトによる「黒の衝撃」

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1980年代中盤からは、DCブランドブームが本格化し、パーソンズやセーラーズといったポップなデザインのブランドが数多く登場しました。

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www.yamadakoji.com

 

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パパスのキーワードは「普通」

このように、主張の強いデザインが多かった1980年代の日本のファッションシーン。

ですが、パパスが掲げたテーマは「アーネスト・ヘミングウェイが生きていたら着そうな服」、そして「お父さんのための服」

「アーネスト・ヘミングウェイが生きていたら着そうな服」が、そのテーマだった。

尖ったデザインのDCブランドが人気を集めるこの時代において、パパスが掲げたのは〝お父さんのための服〟。

アーネスト・ヘミングウェイは言わずとしれた、アメリカの小説家。

https://www.pinterest.jp/pin/94857135891690548/

代表作「老人と海」でノーベル文学賞を受賞しています。

ヘミングウェイはその作品だけでなく、彼自体のライフスタイルにも支持を集めていました。「パパス」はヘミングウェイの愛称である「パパ」が由来です。

https://www.pinterest.jp/pin/124693483421740286/

https://www.pinterest.jp/pin/388154061644213506/

そんな、「アーネスト・ヘミングウェイが生きていたら着そうな服」を目指す、パパスのキーワードは「普通」

俺の服は普通でいいんだよね

著書「結局、男の服は普通がいい」のテーマにもなりましたが、「普通の服」は僕のキーワードのひとつでもあります。

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最高級の生地の良さとつくりの良さ

パパスの服は単なる「普通の服」ではありません。

パパスの3つのキーワードとして「ものすごく上等な生地を使っている」という一節をピックアップしましたが、生地の良さとつくりの良さはまさに「最高級」

〝普通の服〟とはいうものの、そのこだわりぶりは尋常ではなかった。荒牧さんはどんなにコストがかかっても、周囲に反対されても、最高級の素材と日本の工場によるものづくりを貫き、時間があれば足繁く現場に赴き、職人たちを指導、激励した。

他のサイトでも、パパスの品質の高さが特筆されています。

生地は舶来のものを採用しても、縫製は国内工場にこだわり、可能な限り品質管理を目の行き届く場所で行うことで、PAPASの考える高品質な洋服作りを行い、綿素材のカットソーは数十回洗濯しても生地が薄くなりにくく、型崩れしにくい良質な素材と縫製。ジャケットは本場イギリス、イタリア産の良質な生地から中にはPAPASオリジナルのファブリック、袖を通した際のすべりの良さ・PAPASのロゴが織り込まれたオリジナルの裏地や軽い芯地など、広いアームホールで型崩れしにくく、ゆったり着こなせる仕立て。デザイナー・荒巻太郎氏を中心としたPAPASの妥協ないこだわりが随所に感じられる飽きのこないデザインはまさに大人の男性にこそ相応しい服。

www.playful-dc.com

 

穿いた瞬間に「あ、これ上質」

ここで、僕のパパスのチノパンツをご紹介しましょう。

↑で着ているアウターは、袖口や裾が切りっぱなしになったかなり主張の強いデザインの、コムデギャルソンオムプリュスの1994年AWコレクションのアイテム。

ですが、キーワードのひとつに「袖を通すといい感じに力が抜けた雰囲気」とあったように、主張の強い服と合わせても、全体の雰囲気は普段着のような落ち着いた感じになるのが、パパスの服の持つ力ではないかと思います。

パッと見は、普通のチノパンツ。

これ、画像ではなかなか伝わらないと思うんですが、穿いた瞬間に「あ、これ上質」と実感できる素晴らしい生地なんです。

今の気分にぴったりな、ゆったりとしたツータック。

「お父さんのための服」だからでしょうか。ベルトレスでも着用できて、ラクチン。

後ろポケットは両方とも手間のかかるフラップ付き。

こういう小さなポケットって、つくるの面倒なんですよね。つまり、その分コストがかかっているということ。

個人的に趣味がちょっと合わないのが、フラップ裏のチェック柄

ここが無地だったら100点満点だったんですが、基本的には見えない部分なので、良しとしています。

タグには「MANIERE DE HEMING」とあります。「MANIERE」はフランス語で方法という意味。英語にすると「WAY」なので、「MANIERE DE HEMING」→「ヘミングウェイ」、ということなんでしょうか?

 

楽天市場でパパスの古着ディグ

僕は↑のチノパンツに出会ってから、パパスの古着はチェックするようにしています。

メルカリでもパパスの古着は見つかるのですが、それ以外に意外と多いのが楽天市場

ここからご紹介するのは、全て現時点では楽天市場で販売中のものです。

まずは、シャツ。

 古着で出回っているパパスのシャツは、ストライプやチェックなどの柄物が基本。無地はあまり見ません。シャツは襟のフォルムや全体的なシルエットなどが、昔のY'sっぽいなぁ、と思っています。

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パンツはゆとりのあるツータックがメイン

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カシミア混のコーデュロイなど、他ではなかなかお目にかかれない生地のものも。

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こちらのセットアップは80年代のギャルソンぽい雰囲気

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個性的かつクオリティの高いプリント

プリントものが多いのも、パパスの特徴。  

こちらはワーカーがモチーフ。

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こちらはアロハシャツ。

このプリント、かなりクオリティが高くないですか?

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こちらのアロハもそう。

 

プリントの技術については正直あまり知識はないんですが、かなり精巧なのでコストもかなりものなんじゃないかと思います。

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リユースショップでお買い得ディグ

「ぼくのおじさん」では、パパスを着用している若者たちの写真が見られます。

www.mononcle.jp

 
 
 
 
 
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記事でも触れられていますが、パパスは新品だとかなり高価。

上掲の楽天市場もそうですが、トレジャーファクトリースタイルやセカンドストリートなどのリユースショップでは、たまにかなりのお買い得価格になっているパパスをディグることが可能です。

ツイッターでこんなリプライもいただきました。

もし見つけたら、まずは一度試着することをお勧めします。

僕みたいに、着用した瞬間に「あ、これ上質」となるかもしれません笑。