90年代のファッション誌を中心に、昔のファッション誌のアーカイブを兼ねてご紹介する企画、ファッションアーカイブ。
これまでの記事はこちらから。
今回ご紹介するのは、メンズノンノ2004年8月号です。
2004年ってどんな年?
誌面に入る前に、2004年はどんな年だったのかを見ていきましょう。
国際
・マーク・ザッカーバーグがFacebookを開設
・アテネオリンピック開幕
・シアトル・マリナーズのイチローが84年ぶりにシーズン最多安打記録257本を更新
・スマトラ島沖地震
日本経済
・2003年後半から2004年初めにかけて、海外経済が急速に回復するなかで、比較的高い投資や消費の伸びに支えられて景気回復の勢いが増していく動き
・景気動向には、海外経済や原油価格の動向、情報化関連財の調整など、いくつかのリスク要因がある一方、90年代にみられた景気回復とは異なる景気の腰の強さもある
・日本銀行が量的緩和政策を継続するなか、金利の動向は総じて安定して推移
・景気回復に伴って徐々にデフレの程度が緩やかに
・失業率の低下によって雇用不安が減少雇用環境が引き続き改善するなかで、消費は緩やかに増加
・家計はマインドの変化に敏感な耐久財消費を中心に消費を増やしており、また、住宅についてもこのところ増加
参考:
国内
・「冬のソナタ」ブーム
・Winnyの開発者が京都府警察に逮捕
・新潟県中越地震
・東北楽天ゴールデンイーグルスがパ・リーグの新規参入
・「ニンテンドーDS」が日本で発売
・国内で鳥インフルエンザの感染が公式に確認
・「って言うじゃない… …残念!! ○○斬り!」(波田陽区)
・『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』放送開始(僕個人的にめちゃくちゃ好きな作品です)
ヒット曲トップ5
1位 平井堅:「瞳をとじて」
2位 Mr.Children:「Sign」
3位 平原綾香:「Jupiter」
4位 ORANGE RANGE:「花」
5位 Mr.Children:「掌/くるみ」
映画
下妻物語
世界の中心で、愛をさけぶ
イノセンス
スチームボーイ
2004年の僕
24歳。大学卒業後、服飾専門学校に入学、そして2003年4月からパリに渡り、9月からは現地の服飾専門学校での授業が始まりました。ですので、この時期の日本国内の話題に関してはあまり馴染みがなく、オレンジレンジなどのこの年のヒット曲もあまり良く知りません。
ですが、アニメやお笑いなど、自分が当時好きだった分野に関しては、ファイル交換ソフトを活用し入手していました。
最近寝る前に攻殻SACを久し振りに見直しているんですが、少佐のパンツのローライズっぷりにびっくりしました。
— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」(KADOKAWA)発売中! (@yamada0221) 2021年9月2日
この画像は2nd GIGのもので放送は2004年。まだまだローライズが一般的だった頃。
もし今リメイクされるとしたら、少佐のヘソが隠れるくらいのパンツを穿いているかもしれませんね。 pic.twitter.com/xn89BvVpQX
エディ・スリマンの影響が色濃いロンドン&パリスナップ
さて、誌面に戻ります。表紙はKj(降谷建志さん)。late90s〜early00sを代表するファッションリーダーのひとりでしょう。
エドウィン広告。
ソニー広告。中島美嘉さん。
当時の僕は、PCでCDを焼くようになったので、MDウォークマンからCDウォークマンに移行していた記憶があります。
右ページ、日産キューブ広告。シンプル。
右ページエヴィアン広告。中村獅童さん。
”ワールドストリートスナップグランプリ’04”。スナップ特集です。
長瀬哲郎さんらスタイリスト3人が選ぶベスト。
ジーパン率高し。裾はクッション多め。
ロンドン。
”ディオールのジャケットに細身のブラックジーンズ”。
ディオール・オムの大きな特徴のひとつがロックテイスト。↑のような黒のジャケットにスキニージーンズもそうですし、↓のような深いVネックによる胸元の露出も当時のトレンドでした。
2001年秋冬シーズンにエディ・スリマンがクリエイティブディレクターに就任してからのディオール・オムの大ヒットは00年代以降のメンズファッション最大のエポックと言えるでしょう。
これ系のデザインって確実に00sのディオールオムの系譜だと思っています。こちらは03AWコレクション。
— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」(KADOKAWA)発売中! (@yamada0221) 2020年12月13日
20年近く影響力を持ち続けるエディ・スリマンのデザインって、やっぱりメンズファッションを大きく変えた一大エポックだったんでしょうね。 pic.twitter.com/bDfcoYQmEI
エディ・スリマンが撮影した、03AWディオールオムのビジュアル。圧倒的な世界観。
— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」(KADOKAWA)発売中! (@yamada0221) 2020年12月13日
正直、僕の好みではありませんが、格好良いのは格好良いですよね。この世界観に惹かれる人が多いのは理解できます。
なんだろう。メンズファッションの答えの1つ、みたいな事なのかも。 pic.twitter.com/axWBKwsXSD
ロンドンなどの海外のスナップでは日本に比べると「右向け右」的なトレンド追従はそれほど見られないものの、それでも総じてシルエットはタイト。
そして、ジーンズが多く、裾のクッションはやはり多め。
1週間コーディネート。
コンパクトなシルエットのトップス、ジーンズの股上はかなり浅め。
僕がいた頃のパリです笑。
ロックテイストメインの傾向はパリでも同様。
左下のようなコーディネート、今の40〜50代のオジサンに結構いるんじゃないでしょうか。
以前のこちらの記事で考察したような理由かもしれなせn。
パリスナップ続きと1週間コーディネート。
ディオール・オム&ナンバーナインのロックファッション全盛期
東京。
ディオール・オムだけでなく、当時は宮下貴裕さんが手掛けていたナンバーナインが2003年秋冬コレクションで打ち出したグランジも人気。
https://www.pinterest.jp/pin/286471226287759946/
また、前年の2003年にはアンダーカバーがパリコレクション進出、伊勢丹メンズがオープン、原宿には個性的なブランドを扱うセレクトショップ、カンナビスがオープンするなど、メンズでもデザイナーズブランドの人気が今よりも格段に高かった時代でした。
このページはかなり象徴的ではないかと。
特に中央の方、レザー素材のピークドラペルジャケットにネックの広い黒のカットソー、ディオール・オムの激しい加工のスキニージーンズ、主張の強いベルト、裾はブーツイン、そして多数のウォレットチェーンと、野菜マシマシ油多め的な当時のトレンド全部入り。
こちらもディオール・オムの黒のジャケットにスカルプリントのUネックカットソー、スタッズ付きのレザーサンダルと、トレンドど真ん中コーディネート。
こっちはちょっと雰囲気の変わった、やや草食的な方。ですがやはり胸元ざっくりのカットソー。袖口は切りっぱなしと思われるラフな仕様。生地もかなり薄いと思われます。
大阪。
インナーカットソーの胸元のざっくり具合が凄いです。高さ的には乳首の高さくらいではないでしょうか。もしかしたら、メンズカジュアルファッション史上で一番胸元がざっくりしていたのはこの時代かもしれません。
札幌、仙台。
名古屋、金沢。
京都、神戸。
広島、福岡。
ガールズ。当時のレディスで人気だったのは、セレブカジュアル。
メンズ同様、ジーパン人気。
レイヤードコーディネートも目立ちます。
次回に続きます。