山田耕史のファッションブログ

ファッションは生活であり、文化である。

『りぼん』の表紙を飾り、全国の小中学生の憧れとなった「地雷系ファッション」の系譜。

小中学生向け少女漫画雑誌『りぼん』の最新号の表紙が凄いことになっている、という話題を目にしました。

 

『りぼん』の表紙が完全に「地雷系」

へぇ、どんな感じ?と見てみると、ツインテール、リボン、包帯を巻かれたキャラ、パープルとブラックを基調とした色合いなど、完全に「地雷系」ファッション

ちなみにこのご時世、『りぼん』も電子版で読めるようになっています。

表紙だけでなく、連載漫画の多数が地雷系の特徴のひとつであるツインテールの髪型をしています。

周囲がそんな雰囲気にも関わらず、思いっ切りマイペースなちびまる子ちゃんの存在が個人的には面白かったんですが笑。

 

ハロウィンの仮装=自分の憧れの姿

僕のツイートに対し、この表紙は11月号でハロウィンの仮装的なコンセプトでつくられているのでは、という指摘がありました。

確かに、表紙のメインになっている「初×婚」という作品の単行本の表紙や内容を見てみると、地雷系とは程遠い雰囲気。

初×婚 1 (りぼんマスコットコミックス): 黒崎 みのり

初×婚 7 (りぼんマスコットコミックス) | 黒崎 みのり

ですが、念の為に過去3年間の『りぼん』11月号の表紙をチェックしてみると、ハロウィン的な仮装はしていなさそうな感じ。今年が初の企画なんでしょうか。

りぼん 2021年 11 月号 [雑誌] 

りぼん 2020年 11 月号 [雑誌] 

りぼん 2019年 11 月号 [雑誌]

それはさて置き、子供がハロウィンの仮装をするときは、「自分がなりたいもの」を選ぶことがほとんどだと思います。

僕は、現在10歳の長女が0歳の頃から通っていた保育園に、今も5歳次男を毎日連れて行っています。

その保育園ではハロウィンの日はちょっとした仮装がOKになるのですが、女の子に一番人気の仮装はディズニープリンセスのドレスであることは、毎年変わりません。

アナ雪や美女と野獣など、自分たちの憧れのプリンセスのドレスを着て、嬉しそうにしています

『りぼん』の読者はそれよりももっとお姉さんですが、やはりハロウィンの仮装=自分の憧れの姿であることは変わらないのではないでしょうか。

つまり、小中学生が読者である『りぼん』のハロウィン企画で選ばれた地雷系ファッションは、現在の小中学生の憧れのファッションである、と言えそうです。

 

2年間でこんなに広がった地雷系ファッション

当ブログで初めて地雷系ファッションに触れたのが、2年前の2020年のこちらの記事。この記事では「地雷ちゃん」という表現になっています。

www.yamadakoji.com

量産ちゃん・地雷ちゃんコーデ特集 – レディースファッション通販の夢展望【公式】

2年後の今、量産型・地雷系ファッションについて改めて調べてみると、人気ゲーム、アイドルマスターのキャラクターの服装にも取り入れられているなど、明らかにその広がりが実感できました。

また、LittleDearMyLoveという子供向けの量産型・地雷系ファッションブランドも登場していました。

 
 
 
 
 
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LittleDearMyLoveは、既に展開されていた大人向け量産型・地雷系ファッションブランドDearMyLoveの子供版として、2022年2月に開始されています。

 
 
 
 
 
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セーラーレースリボンセットアップ – レディースファッション通販の夢展望【公式】

展開サイズは110cm〜140cmなので、幼稚園年中くらいから、小学校高学年までが対象と言えるでしょう。

レースリボン学園セーラーワンピース – レディースファッション通販の夢展望【公式】

ぬいぐるみプリントなど、地雷系の特徴的なデザインがそのまま取り入れられています

選べるプリント柄ロンT – レディースファッション通販の夢展望【公式】

ストーンバックルサスフリルスカート – レディースファッション通販の夢展望【公式】

このビジュアルからも分かる通り、量産型・地雷系ファッションの親子お揃いコーディネートも提案しているようです。

https://www.instagram.com/p/CZssuF6hg4M/

 

原宿のファッションフリーク→新宿歌舞伎町の不良→全国の小中学生の憧れ

2021年に公開されたこちらの記事では、量産型・地雷系ファッションのルーツはロリータファッション、ゴスロリファッションにある、と分析されています。

harajuku-pop.com

そして、そのロリータとゴスロリは「元祖原宿系ファッション」であるとしています。

1997年に創刊されて、原宿のストリートファッションのクリエイティビティを世界に発信した雑誌、FRUiTSの紙面にはロリータやゴスロリや、その系譜に連なるファッションが数多く登場していました。

 
 
 
 
 
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そんなロリータ・ゴスロリファッションは2010年代終盤に量産型・地雷系ファッションに進化し、新宿歌舞伎町に集まるティーンズが着用する、いわば不良(古い表現ですが)ファッションとなります

www.yamadakoji.com

そしてその不良ファッションだった地雷系ファッションが、2022年の今は『りぼん』の表紙を飾っているのです。

つまり、1990年代に原宿のファッションフリークに愛されたロリータ・ゴスロリは、2010年代には新宿歌舞伎町の不良の象徴となり、2020年代の今は全国の小中学生の憧れのファッションとなっているのです。

 

量産型・地雷系は小中学生のリアルファッションとなるのか

過去の『りぼん』の表紙はどうだったのか、同じ11月号を10年ごとに調べてみました。

1992年→2002年→2012年→2022年の順に並べてみました。

1992年〜2002年の間ではそれほど雰囲気に変化はないようですが、2002年〜2012年では結構雰囲気が変わり、2012年〜2022年では更に大きく雰囲気が変わっているように感じます。

これはファッションを含めた価値観の変化が影響を与えており、そのスピードがどんどん速くなっていることの表れではないでしょうか。

価値観の変化は今後もっと早くなるのか。

それとも。

そして今後、量産型・地雷系ファッションは小中学生の憧れのファッションから、実際に着用されるファッションとなるのか

ちょうと僕には小学生の娘がいるので、リアルタイムに観察できそうです。

楽しみに注視していたいと思います。