山田耕史のファッションブログ

ファッションは生活であり、文化である。

パンクの女王ヴィヴィアン・ウエストウッドが語る「おしゃれ」と「センス」。

引き続き、ファッションデザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッドの自伝から、興味深かった点をピックアップしてご紹介します。

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おしゃれとは、美しい女性を目指すこと

今回ご紹介するのは、ヴィヴィアン・ウエストウッドが語る「おしゃれ」「センス」について。

https://www.pinterest.jp/pin/390546598950657756/

ファッションでインパクトを与えるためにまずすべきことは、美しさを演出すること。美しい女性を目指す。似合う服を着る。おしゃれとは本来そういうことよ。みんなそう。署名がなくたって、それが正しいことぐらいわかるはず......。 わたしの作品はイギリスの伝統的なテーラリングが基礎になっている。そして、過去を参考にしているの。過去に目を向ければ、本当に優れたものがなにかわかるようになるわ。物事がどのように行なわれ、組み立てられ、形成されるか、そのセンスを身に着けることができるの。そうして学んだ技術を真似る努力をすれば、自分自身の技術が確立できる

おしゃれとは、美しい女性を目指すこと。

そして、似合う服を着ること。

当たり前と言えば当たり前ですが、それが真理なんでしょうね。

「美しい女性」は、「格好良い男性」と置き換えればいいでしょうか。

なんだかんだで、まずは「美しい自分になりたい」「格好良い自分になりたい」という思いが出発点であり、そこから生まれる好奇心や探究心が、「おしゃれ」の原動力になるのでしょう。

「似合う服を着る」。

これって結構難しいですよね。

「自分が考える自分に似合う服」と、「他人が考える自分に似合う服」って違ったりしますし、「他人」は無数にいるので、それぞれでまた考えが違ったりします。

 

歴史を知ることでセンスを身に着ける

そういった難しい課題を解決するのに必要なのが、「センス」なのかもしれません。

ヴィヴィアン・ウエストウッドが語る「過去に目を向ける」というのは言い換えると、歴史を知る、ということではないかと思います。

その対象は、ファッションだけではないでしょう。

文学、音楽、映像、美術、食などなど、自分の興味が向くものだったり、人から聞いて気になったものだったり、とにかく、誰かが良いと感じているものには、それなりの理由があるでしょうから、その理由を探ってみるのが、歴史を知ることだと思います。

最近僕がその良さに気づいたのが、子供向けの絵本です。

我が家では寝る前に、子供達に絵本を読むことがよくあります。

「ぐりとぐら」や「おばけのてんぷら」などの名作を何度も声を出して読み聞かせをすることでようやく気づいたのですが、絵本の文章ってとても洗練されているんです。

特に名作と呼ばれ、長年読み続けられている絵本は、子供でも理解できる簡単な言葉が使われていて、表現もとてもシンプルです。

ですが、その言葉選びや、言葉で構成されるリズムは、非常に完成度が高く、美しさすら感じられることもあります。

使われる言葉がシンプルだからこそ、美しくなるのでしょう。

素人がおいそれと真似できないことがわかります。

以前は同じ絵本を何度も読むことが正直面倒に思うことがありましたが、このことに気が付いてからは、僕自身が絵本の文章の美しさを味わうという楽しみ方ができるようになりました。

こういうことも、ヴィヴィアン・ウエストウッドが語る「本当に優れたものがなにかわかるようになる」ことではないかな、と思っています。

このことが直接自分のファッションに影響はしないでしょうが、そうやって素敵なものを感じるセンスは身に着いていっていると思います。

 

辛い経験はその人の深みになる

以前の記事で、コムデギャルソンの川久保玲のインタビューをご紹介しました。

https://www.pinterest.jp/pin/379428337346018675/

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コムデギャルソンのメンズラインに関するインタビューです。

ここで、川久保玲は男性のファッションについて、こう語っています。

服というのは、とくに男のものは、本来その人が持っているパーソナリティがにじみ出てくるものであるべきだ、と思っています。

男のファッションというのは、着る人の持つ土台、つまり個性やパーソナリティが自然とにじみ出るのがかっこいい、と思うのです。

その人が持っているパワーが素晴らしいと、服もなぜかよく似合う。

ファッションは、着る人のパーソナリティがにじみ出るのが格好良い。

そして、川久保玲も多大な影響を受けたであろう、ヴィヴィアン・ウエストウッドはこう語っています。

それで思い出したのが15歳の頃の記憶だった。その頃わたしには24歳の友達がいてね。マジョリー・ネイラーという名前で、綿工場で織工として働いていたわ。その人はずっとカーラーを巻いたままで、一日中外さなかった。それが、ある晩、 彼女が出かけることになって、カーラーを外したの。彼女がカーラーを外すのはお出かけのときだけだったのよ。パンクといっても、その表現はさまざまね。大きすぎる服を着たり、逆に、小さすぎる服を着てみたり、誰かのおさがりみたいに見えるけど、なんでもありだったの。当時は、それを全部ひっくるめてファッションと呼んでた。それから、わざと古ぼけてみせた服を着る人もいたわね。 わたしたちより苦労していたり、波乱万丈な人生を送ってきたりした人もいた。わたしはこんなふうに分析するの。辛い経験をした人は、その分、人として深みがでる。その深みは人よりもいろいろな経験をしてはじめて得られるものなの。だからこそ、そういう人たちの服装には風格のようなものが漂う。威厳というか。人生がにじみ出るのね

僕は大変なことに直面したときに、大変であればあるほど後々面白く話せる「ネタ」になる、と考えるようにしています。

この書籍でも多く語られていますが、ヴィヴィアン・ウエストウッド自身も数多くの辛い経験を重ねています。

辛い経験は、その人の深みになり、それが服装にも風格としてにじみ出る。

https://www.pinterest.jp/pin/416231190576004838/

今もなお、ヴィヴィアン・ウエストウッドが格好良いのは、彼女の人生がにじみ出ているからなのでしょう。

続きます。