【普通の古着】とは気軽に手に入れられる古着のことです。
僕がファッションに興味を持ち始めた高校時代、僕は近所にある古着屋さんでよく買い物をしていました。
他に服屋なんて全くない住宅街にあったそのお店には、手頃な価格の古着が並んでおり、気軽に古着を楽しむことができました。
そういった経験もあってか、僕は今も手頃な価格の古着が好きです。
とはいえ、価格が手頃であれば、どんな古着でもいいという訳ではありません。
僕が書籍「結局、男の服は普通がいい」で提案している「普通服」のように、シンプルでベーシックなデザインのものが中心。
そして、古着ならではの面白さがあることは必須条件です。
【普通の古着】では、ヴィンテージやレアという価値観ではない、僕なりの古着の楽しみ方をご紹介していきます。
僕的にスペシャルなパンツ
今回の【普通の古着】ご紹介するのは、僕的にスペシャルな一着。
この秋から冬にかけて一番ヘビーローテションしてたパンツです。
今日の服装。
田中オムのジャケット&シャツに、チャップスのスラックス、チープアシックス。
ジャケットは20年前に大学の卒業式用に買ったものですが、この画像だと良さが全然伝わらないすね…
そのうちちゃんと写真を撮って、ブログでご紹介しようと思います。 pic.twitter.com/iD54qBVXEP— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」発売中 (@yamada0221) 2022年12月9日
今日の服装。
20年間着倒して、全く同じのをメルカリで買い直したギャルソンシャツの縮絨シャツに、ラルフのシャツ、チャップスのスラックス、チープアシックス。 pic.twitter.com/EMgg0NuZvv— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」発売中 (@yamada0221) 2022年12月2日
今日の服装。
プリュス94AW縮絨ニットにチャップスラルフのスラックス、そして徒歩での西荻窪→吉祥寺でも疲れ知らずの「チープアシックス」。
後ろにロックマンが見切れてる笑 pic.twitter.com/XWYB6GvlHo— 山田耕史 書籍「結局、男の服は普通がいい」発売中 (@yamada0221) 2022年11月25日
チャップス・ラルフ・ローレンのスラックスです。
チャップス・ラルフ・ローレンは、ラルフ・ローレンのセカンドラインとして設立されたブランド。
↑の記事でもご紹介しているシャツは、ラルフ・ローレンとの関係性が解消された後の商品ですが、今回ご紹介するスラックスのタグにはラルフ・ローレンのロゴが入っているので、まだラルフ・ローレン傘下のブランドであったことがわかります。
デザインはいたって普通のスラックス
このチャップス・ラルフ・ローレンのスラックスは、デザイン的には特に特徴はありません。
ツータックでゆとりのあるシルエットであることは、ちょっとイマドキ感はありますが、同じようなスラックスを見つけるのは、特に大変なことではありません。
では、このチャップス・ラルフ・ローレンのスラックスが僕にとってスペシャルな理由はなんでしょうか。
スペシャルな理由は生地です。
タグを見ると、レーヨン63%、ポリエステル37%。
写真でどこまで伝わるでしょうか。この生地の質感と肌触りが非常に良いのです。
実際に着用したらこんな感じ。
ウエストが36インチとちょっと大きめなので、歩くと生地が足にサワサワ当たるのですが、それが実に良い心地なんです。
穿いていて気持ち良いパンツって、いいもんです。
高機能素材レーヨン
なぜ、この生地の質感と肌触りがそんなに良いのか。その秘密はレーヨンにありました。
ウィキペディアによるとレーヨンの概要です。
レーヨン(rayon)とは、植物体の中に含まれる繊維素を取り出し、化学薬品で一度溶解した後に繊維状に再生した、化学繊維の一種である。絹に似せて作った再生繊維であり、日本ではかつて人絹(じんけん、人造絹糸)とも呼ばれていた。
そして、その名もダイワボウレーヨン株式会社という会社のサイトによると、レーヨンはかなりの高機能素材であることがわかります。(強調引用者)
POINT1 生分解性再生可能な木材を原料として生産されたレーヨンなので、自然界では微生物の作用により生分解します。POINT2 肌にやさしいレーヨンはなめらかな表面構造により、心地よい肌触りが特徴です。
衣料、衛生材料、コスメや産業資材など様々な用途で活用されています。
また、レーヨンのpHは5~6で弱酸性域にあり、一般的に言われている「肌にやさしい」pH領域の繊維です。POINT3 高い吸湿性・吸水性
レーヨンは公定水分率が11%であり、ポリエステルなどの合成繊維と比べ、はるかに高い吸湿性があります。
天然繊維と比較しても、ウール(15%)に次いでシルク(11%)と同等の公定水分率を示す潤いのある繊維です。また、繊維中に多くの水を取り込むことが可能であり、自重の約80%もの水を繊維内部に溜めることが出来ます。POINT4 吸湿発熱レーヨンは湿気を吸収し、水分子の持つ運動エネルギーが熱エネルギーに変換されて暖かくなります。
これを「吸湿発熱」といいます。POINT5 接触冷感レーヨンは触れた時に少しひんやり感じます。
これは熱伝導率が大きいためであり、コットンよりもひんやりする感覚があります。POINT6 発色性が良好ミクロで見ると、繊維は分子が長く繋がった鎖状の構造をしています。その配列は繊維の種類によって異なり、密な構造の「結晶領域」と粗な構造の「非結晶領域」が存在します。染料は主に非結晶部分に浸透して染着されますが、レーヨンはコットンと比べてこの「非結晶領域」が多いため、より発色性が良好と言われています。POINT7 高い制電性他の繊維に比べると電気抵抗値が小さく、制電効果が期待できます。POINT8 高い耐熱性レーヨンは合成繊維のように熱によって軟化や溶融することはありませんが、260~300℃で着色分解し始めます。POINT9 なじみやすさコットンなどの天然繊維、ポリエステルやアクリルなどの合成繊維、様々な繊維と相性が良く、混綿・混紡・交編・交織など色々な組み合わせでレーヨンの持つメリットをご利用頂けます。POINT10 均一な仕様同じセルロース繊維であるコットンは、産地や気候により白さや太さ・長さが異なりますが、レーヨンは人に手によって生産される再生セルロース繊維なので、均一で安定した製品をご提供可能です。また当社の独自の技術により、機能薬剤練り込みや異型断面、極細繊度・極太繊度など様々な差別化原料の生産・販売を行っています。
見た目や肌触りの良さだけでなく、吸湿性や接触冷感などの機能もあるとは、知りませんでした。
更に、このスラックスは、薄手のウール生地のような質感にも関わらず、気軽に洗濯でき、そして皺にもなりにくいという嬉しい特徴もあります。これは、レーヨン×ポリエステル素材であるからと思われます。
下北沢のなんてことのない古着屋さん
僕はこのスラックスを下北沢の古着屋さん、西海岸で見つけました。
下北沢の西海岸は↑の記事でもご紹介していますが、手頃な価格の古着が大量に並んでいる、若者に人気のお店。高価でレアなヴィンテージ古着ではなく、普段着として気兼ねなく着られる古着を売る、言ってしまえばなんてことのない古着屋さんです。
このスラックスは、そんななんてことのない古着屋さんに、なんてことのない雰囲気で並んでいました。
そして価格はアンダー5,000円。
お値段も、なんてことありません。
自分的スペシャルに出会える楽しさ
一般的にはそんなに価値がないかもしれないけれど、自分的には超スペシャル!と思える服に出会えるのが、古着の楽しさだと思います。
そんな服に出会えたときって、本当にテンションが上がるんですよね。
だからこれからも僕は、なんてことのない古着屋さんを廻り続けてしまうのだろうと思います。