山田耕史のファッションブログ

ファッションは生活であり、文化である。

【書評】カルチャーやビジネスまで学べる「東京スニーカー史」はファッション関係者必読です。



 


こんな本を見つけました。
東京スニーカー史 (立東舎)

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発売されたのは2016年の3月。当時は結構話題になっていたそうですが、私は全然知りませんでした。多分仕事で忙殺されていたころだったと思います。
エアマックスがファッションにハマるきっかけだった私はスニーカーが大好物。「東京スニーカー史」というタイトルから「スニーカー業界の身内トーク集的な感じかな」とあまり期待せずに読み始めたのですが、あまりの内容の充実っぷりに久し振りに楽しく集中して読書ができました。著者のインタビューはこちら。
『東京スニーカー史』の著者・小澤匡行さんに聞く「改めてスニーカーを楽しむきっかけに」  |  some(z)up

 

・ファッション、カルチャー、スポーツ、ライフスタイル、ビジネスがスニーカーを通して学べる

本書の最大の特徴は単なるスニーカーの回顧録ではないところ。その時代時代で様々なスニーカーが人気を集める裏側にはファッション、カルチャー、スポーツ、ライフスタイル、ビジネスなど複雑な要素が絡み合っていることをわかりやすく解説してくれています。
例えばアディダスのスーパースターはRUN D.M.Cが着用し大ヒットした、という話は有名ですが、
adidas SUPERSTAR

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エアジョーダンに代表されるバスケットボールシューズがファッションとして取り入れられるようになったのは、スニーカーを酷使するスケーターがバスケットボールシューズの頑丈さに目をつけたのがきっかけ、ということなどは知りませんでした。
NIKE AIR JORDAN 1.5

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他にも「このスニーカーがブームになったのはこんな要因があったのか」と驚くことばかり。そのいくつかは読みながらTwitterでつぶやいていますが、これでも私が本書を読んで驚いたことのまだまだ一部です。

Twitterの140文字に収めるのが難しかったのでつぶやけなかった内容も多数あります。為替相場が日本でのスニーカー普及に影響したことや、エアマックス95ブーム時のナイキ社のメディアコントロールなど、スニーカーに強い思い入れがない人でも楽しめる内容だと思います。

 

・幅広いインタビュー対象

スニーカーを語る上で欠かせない藤原ヒロシ氏はもちろんのこと、山男フットギアやチャプター私のようなハイテクスニーカー世代には馴染みの深いスニーカーショップ関係者やナイキ、コンバースなどのスニーカーメーカーの社員といったの現場スタッフだけでなく、尾山基氏(アシックス)や設楽洋氏(ビームス)といった経営者、尾花大輔氏(ミスターハリウッド)、相澤陽介氏(ホワイトマウンテニアリング)、清永浩文氏(ソフ)といったファッションブランドデザイナー、今をときめくデザイナーブランドsacaiのクリエイティブディレクター源馬大輔氏、ストリートファッション好きとしても知られる俳優佐藤隆太氏など、多彩さに驚かされます。
職業も立場も異なる人による意見が多く掲載されているので、全体としてバイアスの少ない俯瞰的な仕上がりになっていると思います。
スニーカー好き、ファッション関係者は必読の一冊2段組の全203ページ、

巻末には主要なスニーカーが網羅されているといっても過言ではない「名作スニーカー図鑑」もついておりかなりのボリューム。

年末年始のお休みにオススメの一冊です。これだけの情報をまとめ上げた著者の小澤匡行氏には最大限の賛辞を送りたいと思います。
東京スニーカー史 (立東舎)

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最後までご覧いただきありがとうございました!